薬価削除手続きの明確化と2027年3月で消える657品目の医薬品の全解説

  1. 薬価削除手続きの明確化と2027年3月で消える657品目の医薬品の全解説
  2. そもそも「薬価基準」と「薬価削除」とはどういう仕組みか
    1. 薬価削除とは何か
    2. 医療現場の混乱を防ぐ「経過措置期間」
  3. 薬価削除手続きが見直された背景と新たなルール
    1. なぜ今、手続きの明確化が必要だったのか
    2. 明確化された薬価削除手続きの具体的な中身
      1. 1. 告示改正の時期の固定化
      2. 2. 経過措置期間の原則
      3. 3. 経過措置期間の延長ルール
      4. 4. 学会確認手続きの簡素化
      5. 5. 中医協への報告タイミング
  4. 今回の薬価削除品目(657品目)の全体像
    1. グループ1:同一成分の他社製品が残る品目(610品目)
    2. グループ2:同一成分・組成のお薬が完全に存在しなくなる品目(47品目)
  5. 同一成分・組成が存在しなくなる47品目の全リスト
    1. 感染症関連・ワクチン製剤
    2. 循環器・血圧・心臓関連薬
    3. 抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)・再生医療等製品
    4. 抗生物質・抗菌外用薬・消毒関連
    5. 呼吸器系・喘息治療薬
    6. 消化器系・代謝系・酵素・ビタミン製剤
    7. ホルモン・副甲状腺・難病関連薬
    8. 皮膚科・消炎鎮痛・外用薬
    9. 精神神経系・自律神経系関連薬
    10. 検査・血液製剤・その他特殊医薬品
  6. 服用中・使用中のお薬が含まれていた場合の向き合い方
    1. 1. 決して自己判断で服用を中止しない
    2. 2. 十分な猶予期間(2027年3月末まで)がある
    3. 3. 必ず安全な「代替薬」が存在する
  7. 医薬品の安定供給と少量多品目構造の適正化に向けて
  8. まとめ

薬価削除手続きの明確化と2027年3月で消える657品目の医薬品の全解説

病院やクリニックを受診した際、あるいは調剤薬局でお薬を受け取る際、私たちが日頃当たり前のように健康保険を使って処方してもらっている医薬品ですが、実は時代や医療情勢の変化に伴って、保険診療の対象から外れる(公的なリストから削除される)お薬があることをご存じでしょうか。

厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)において、「薬価基準から削除する品目」についての審議が行われ、合計657品目もの医薬品が公的な薬の価格リストである「薬価基準」から削除される方向で進められることになりました。これらのお薬は、令和8年(2026年)11月頃に「経過措置」と呼ばれる移行期間に入り、令和9年(2027年)3月末をもって保険診療での使用期限を迎える予定となっています。

あわせて、これまで必ずしも明確に一本化されていなかった「薬の供給停止や薬価削除の手続き」に関する明確なルール作りも行われました。

なお、今回削除の対象となる全657品目のうち、他の610品目につきましては同じ有効成分を含む別のお薬が引き続き存在します。全品目の詳細につきましては、本ブログに別途「2027年3月で経過措置が切れる医薬品」というPDFファイルを以下にアップロードいたしますので、そちらを合わせてご覧ください。

2027年3月で経過措置が切れる医薬品リスト


そもそも「薬価基準」と「薬価削除」とはどういう仕組みか

日常の医療を支えている制度について、基礎的な仕組みから整理してみましょう。

私たちが医療機関で保険証やマイナンバーカードを提示して治療を受ける際、使用される注射薬や処方される飲み薬、塗り薬などは、国が定めた価格で使用されています。この国が定めた公的な医薬品の価格リストを「薬価基準(やっかきじゅん)」と呼びます。

医師が患者さんに対して健康保険を使って薬を出すためには、そのお薬が必ず薬価基準に掲載(収載)されていなければなりません。薬価基準に載っているからこそ、私たちは窓口で1割から3割といった自己負担分を支払うだけで治療を受けることができるのです。

薬価削除とは何か

薬価基準に一度収載された医薬品であっても、永遠にそのリストに残り続けるわけではありません。

  • 医療の進歩によって、より効果が高く副作用の少ない新薬が登場し、古いお薬の出番がほとんどなくなった場合

  • 製造元の製薬会社が事業の撤退や工場の再編、設備の老朽化などを理由に製造を続けられなくなった場合

  • 他社への事業承継や、後発医薬品(ジェネリック医薬品)への移行が進んだ長期収載品(先発医薬品)を整理する場合

このような事情が生じた際、製薬企業は国に対して「供給停止に係る事前報告書」や「薬価基準収載品目削除願(薬価削除願)」を提出し、保険のリストから外してもらう手続きを行います。これが「薬価削除」です。薬価基準から削除されると、その医薬品は公的な健康保険を使った診療の中では使えなくなります。

医療現場の混乱を防ぐ「経過措置期間」

ある日突然、「今日からこの薬は保険で使えなくなりました」と決まってしまうと、病院や薬局は在庫の薬を破棄しなければならず、患者さんも今日から飲む薬がなくなってしまい、大混乱に陥ってしまいます。

そこで設けられているのが「経過措置期間(使用期限)」という猶予制度です。薬価基準から削除することが決まったお薬は、いきなり使えなくなるのではなく、まず「経過措置品目」というステータスに移行します。この期間中であれば、医療機関や薬局は残っている在庫を使用することができ、医師も患者さんの状態を見ながら別のお薬への切り替え(処方変更)を落ち着いて進めることができます。

今回の審議では、対象となるお薬について「令和8年11月頃に経過措置へ移行し、経過措置期間は令和9年(2027年)3月末までとする」というスケジュールが示されました。


薬価削除手続きが見直された背景と新たなルール

これまでも薬価削除の手続きは行われていましたが、近年、国内の医薬品供給を巡る環境は大きな転換期を迎えています。今回の資料では、薬価削除の手続きそのものを大きく見直し、明確化・簡素化する方針が打ち出されました。その背景と具体的な新ルールについて確認していきます。

なぜ今、手続きの明確化が必要だったのか

近年、ジェネリック医薬品を中心として、全国的な医薬品の供給不足や出荷調整が続いており、社会的な問題となっています。この問題の根底には、日本の医薬品産業が抱える「少量多品目生産」の構造があります。

多くの製薬会社が、利益のほとんど出ない古いお薬や需要の極めて少ないお薬を多品種にわたって少しずつ作り続けているため、工場の生産ラインが圧迫され、効率的な生産や徹底した品質管理が難しくなっていたのです。

令和6年5月22日に取りまとめられた「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会 報告書」において、次のような提言がなされました。

「関係学会や製薬企業双方の負担軽減も考慮し、供給停止・薬価削除プロセスについて、少量多品目生産の適正化の観点からプロセスの明確化を図るとともに、一定の条件の下で簡素化するなどの方策について検討を行うべきである」

需要がなくなった薬や他のお薬で十分に代替できる薬については、適切なルールのもとでスムーズに撤退・整理を進められるようにし、製薬会社が主力製品や本当に必要とされている薬の安定供給に集中できるようにすることが狙いです。

明確化された薬価削除手続きの具体的な中身

今回の決定により、薬価削除の手続きは以下のようにルール化されました。

1. 告示改正の時期の固定化

国が「これらのお薬を経過措置品目に移行します」と公に知らせる告示改正の時期が、原則として「毎年3月」および「毎年11月」の年2回に統一されました。これまでは時期がばらつくこともありましたが、スケジュールが固定されることで、医療機関や製薬会社が先々の計画を立てやすくなります。

2. 経過措置期間の原則

告示が改正されて経過措置品目となってから、実際に薬価から削除されるまでの猶予期間は、「告示改正後の最初の3月末まで」と定められました。

例えば、11月に告示された場合は翌年3月末までの約4〜5か月間、3月に告示された場合は翌年3月末までの約1年間が経過措置期間となります。

3. 経過措置期間の延長ルール

医療現場での在庫消化や患者さんの切り替えにどうしても時間がかかる場合、製薬企業が申請を行うことで、中医協への報告を経て「翌年度末まで(1年間)」経過措置期間を延長できる仕組みも明文化されました。

4. 学会確認手続きの簡素化

これまでは、薬を削除する際に「本当にその薬を保険から消しても治療に困らないか」を関係する医学会に確認していました。新ルールでは、製薬企業から供給停止の事前報告書が出された段階で厚労省が学会へ撤退可否の確認を行います。その後、正式な削除願が出された段階で再度学会確認を行いますが、「そのお薬の市場シェアが一定割合以下の場合」には、2回目の学会確認を不要として手続きを迅速化することとされました。

また、他社へのお薬の引き継ぎ(承継)や、改良された新しいお薬への切り替え(代替新規)、長期収載品の撤退(G1撤退)など、あらかじめ確実な代替品が存在するケースについては、最初から学会確認を不要とし、中医協への報告だけで進められることになりました。

5. 中医協への報告タイミング

こうしたルールに基づいて薬価削除を行おうとする品目は、経過措置品目が示される告示改正予定時期の「おおむね1か月前」を目安に、中医協へ報告されることになりました。


今回の薬価削除品目(657品目)の全体像

今回の中医協で報告された「薬価基準から削除する品目」は、合計で657品目にのぼります。これらは令和8年11月頃に経過措置へ移行し、令和9年(2027年)3月末で使用期限を迎える予定の品目です。

この657品目の内訳は、大きく2つのグループに分かれています。

グループ1:同一成分の他社製品が残る品目(610品目)

657品目のうち大多数を占める610品目は、ある製薬会社がそのお薬の販売を終了して薬価から削除するものの、同じ有効成分を含んだ別のお薬(他社のジェネリック医薬品や先発医薬品など)が市場に引き続き流通している品目です。

例えば、高血圧や高脂血症、アレルギー疾患などの一般的な治療薬において、特定のメーカーが製造から撤退する場合などがこれに当たります。この場合、患者さんにとっては処方される薬のメーカー名やシートのデザインが変わる可能性はありますが、同じ成分のお薬が世の中に存在するため、治療そのものが続けられなくなる心配はありません。

この610品目の一覧については、本ブログに別途アップロードしているPDFファイル「2027年3月で経過措置が切れる医薬品」に網羅されていますので、気になるお薬がある場合はそちらでご確認ください。

グループ2:同一成分・組成のお薬が完全に存在しなくなる品目(47品目)

注意が必要なのは、残りの47品目です。

これらは、今回の薬価削除が行われることによって、「同じ有効成分・同じ組成を持つ医薬品が、日本の公的保険診療の中から完全に存在しなくなる品目」です。

「成分そのものが消えてしまうと、治療に困る人が出てくるのではないか」と不安に思われるかもしれませんが、この47品目については、事前に厚生労働省が関係する専門医学会に対して意見照会を行い、すべての学会から「削除について了承」が得られています。

つまり、「同一成分の薬はなくなるものの、作用の似た他の成分のお薬(代替薬)が既に広く普及しており、臨床上そちらに切り替えることで全く問題が生じない」と医学的に確認された品目だけが選ばれています。

2026年8月後発品承認 2026年12月発売予定:トラゼンタ・インチュニブなど(エクセル・PDFダウンロードあり)
2026年8月後発品承認 2026年12月発売予定:トラゼンタ・インチュニブなど(エクセル・PDFダウンロードあり) 厚...

同一成分・組成が存在しなくなる47品目の全リスト

それでは、今回の薬価削除によって同一成分・同一組成の製品が完全に市場から姿を消すことになる47品目について、資料に記載されている名称をすべて確認していきましょう。

なお、厚生労働省の規定により、飲み薬や貼り薬など異なる投与経路に同じ成分が存在していたとしても、「注射薬」や「外用薬」といった特定の投与形態において同一成分・組成がなくなってしまう場合は、同一のものが存在しない品目として扱われています。

以下が、今回指定された47品目の全薬品名です。

感染症関連・ワクチン製剤

  1. アクトヒブ(サノフィ)

    インフルエンザ菌b型(ヒブ)による感染症を予防するためのワクチンです。現在は複数のワクチンが1つにまとまった混合ワクチン(5種混合ワクチンなど)への移行が進んでいるため、単体ワクチンとしての役割を終える形となります。

循環器・血圧・心臓関連薬

  1. アラセプリル錠12.5mg「日医工」(日医工)

  2. アラセプリル錠12.5mg「日新」(日新製薬(山形))

  3. アラセプリル錠25mg「日医工」(日医工)

  4. アラセプリル錠25mg「日新」(日新製薬(山形))

  5. アラセプリル錠50mg「日医工」(日医工)

  6. アラセプリル錠50mg「日新」(日新製薬(山形))

  7. セタプリル錠25mg(住友ファーマ)

    血圧を下げるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であるアラセプリル製剤です。先発品であるセタプリルおよび各社のジェネリック医薬品が揃って削除対象となっており、アラセプリル成分のお薬は姿を消すことになります。血圧を下げるお薬には、他に数多くの優れた代替薬が存在します。

  8. メフルシド錠25mg(日医工)

    高血圧症や浮腫(むくみ)の治療に用いられてきた利尿降圧剤です。こちらも他の利尿薬や降圧薬で代替が可能です。

  9. ミケランLAカプセル15mg(大塚製薬)

    不整脈や高血圧症に用いられるベータ遮断薬(カルテオロール塩酸塩)の徐放性カプセル製剤です。

抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)・再生医療等製品

  1. アロフィセル注(武田薬品工業)

    クローン病に伴う複雑痔瘻の治療に用いられる体細胞加工製品(同種異系脂肪組織由来幹細胞)です。

  2. タズベリク錠200mg(エーザイ)

    特定のリンパ腫や肉腫の治療に用いられる分子標的薬(EZH2阻害剤)です。

  3. フルツロンカプセル200(太陽ファルマ)

    フッ化ピリミジン系の抗悪性腫瘍薬(ドキシフルリジン)です。現在のがん化学療法では、より標準的な代替レジメンやお薬が確立されています。

抗生物質・抗菌外用薬・消毒関連

  1. エポセリン坐剤125(長生堂製薬)

  2. エポセリン坐剤250(長生堂製薬)

    セフェム系抗生物質(セフチゾキシムナトリウム)の小児向け坐剤です。現在は経口抗生剤や点滴静注製剤での治療が主流となっています。

  3. ベトネベートNクリーム(グラクソ・スミスクライン)

  4. ベトネベートN軟膏(グラクソ・スミスクライン)

    ステロイド成分(ベタメタゾン吉草酸エステル)に抗生物質(フラジオマイシン硫酸塩)を配合した皮膚用外用剤です。医療用医薬品のラインナップから外れることになります。

  5. チモール「VTRS」原末(ヴィアトリス・ヘルスケア)

    殺菌・防腐効果を持つ調剤用の原末薬品です。

呼吸器系・喘息治療薬

  1. フェノテロール臭化水素酸塩DS小児用0.5%「タカタ」(高田製薬)

  2. ベロテックエロゾル100(日本ベーリンガーインゲルハイム)

    気管支を広げて呼吸を楽にする気管支拡張薬(フェノテロール臭化水素酸塩)の製剤です。吸入薬のエロゾルや小児用ドライシロップが対象となります。喘息等の吸入治療薬は、現在より安全性の高い吸入ステロイドや長時間作用性ベータ刺激薬などの新しいデバイスに移行しています。

消化器系・代謝系・酵素・ビタミン製剤

  1. アニスーマ坐剤(長生堂製薬)

    痔の痛みや腫れを抑えるために用いられる痔疾用坐剤です。

  2. M・M配合散(日新製薬(山形))

    消化異常や炎症を抑える消炎酵素配合の内服薬です。

  3. 乾燥酵母エビオス(アサヒグループ食品)

    ビタミンB群やミネラル、アミノ酸を含む乾燥酵母製剤です。

  4. ビタダン配合錠(メディサ新薬)

    複数のビタミンB群を補給するためのビタミン配合錠です。

  5. ミルラクト細粒50%(高田製薬)

    乳糖を分解する酵素(ガラクトシダーゼ)のお薬です。

  6. セスデン注7.5mg(ニプロ)

    消化管のけいれんや痛みを鎮める鎮痙注射薬(オキサプロジウム)です。

ホルモン・副甲状腺・難病関連薬

  1. ボンゾール錠100mg(田辺ファーマ)

  2. ボンゾール錠200mg(田辺ファーマ)

    子宮内膜症や遺伝性血管性浮腫などの治療に用いられてきたダナゾール製剤です。

  3. マイオザイム点滴静注用50mg(サノフィ)

    ポンペ病(糖原病II型)の酵素補充療法に用いられてきたアルグルコシダーゼ アルファ製剤です。現在は改良された次世代の酵素製剤への切り替えが進められています。

  4. レグパラ錠12.5mg(協和キリン)

  5. レグパラ錠25mg(協和キリン)

  6. レグパラ錠75mg(協和キリン)

    透析患者さんの二次性副甲状腺機能亢進症などに用いられてきたシナカルセト塩酸塩の内服錠です。現在はこの分野において、消化器系の副作用を軽減した後継の経口薬や、透析回路から直接投与できる注射薬へのシフトが進んでいます。

皮膚科・消炎鎮痛・外用薬

  1. オルセノン軟膏0.25%(サンファーマ)

    皮膚潰瘍や褥瘡(床ずれ)の治療に用いられてきたトレチノイントコフェリル軟膏です。

  2. グリメサゾン軟膏(藤永製薬)

    皮膚の炎症を抑えるステロイド配合外用剤です。

  3. ゼスタッククリーム(三笠製薬)

    消炎や抗真菌作用を持つ外用クリーム剤です。

  4. レリフェン錠400mg(三和化学研究所)

    関節リウマチや変形性関節症の痛み・炎症を抑える非ステロイド性消炎鎮痛薬(ナブメトン)です。

精神神経系・自律神経系関連薬

  1. ドグマチール筋注100mg(日医工)

  2. ドグマチール筋注50mg(日医工)

    胃潰瘍やうつ病、統合失調症などに用いられるスルピリドの筋肉注射製剤です。経口の飲み薬(ドグマチール錠や細粒など)は引き続き存在しますが、「筋注用のアンプル製剤」が今回姿を消すことになります。

  3. ワゴスチグミン散(0.5%)(共和薬品工業)

  4. ワゴスチグミン注0.5mg(共和薬品工業)

  5. ワゴスチグミン注2mg(共和薬品工業)

    コリンエステラーゼを阻害してアセチルコリンの働きを高めるネオスチグミン臭化水素酸塩・メチル硫酸塩製剤(散剤および注射剤)です。

  6. レスカルミン注(日新製薬(山形))

    麻酔時や筋弛緩からの回復補助等に用いられてきた注射製剤です。

検査・血液製剤・その他特殊医薬品

  1. ガンマガード静注用5g(武田薬品工業)

    重症感染症や免疫疾患に用いられる完全分子型献血グロブリン製剤です。

  2. スパトニン錠50mg(田辺ファーマ)

    ジエチルカルバマジンクエン酸塩を有効成分とし、フィラリア症(糸状虫症)などの治療に用いられてきたお薬です。

  3. セレブロテックキット(日本メジフィジックス)

    放射線を用いた核医学検査(脳血流シンチグラフィ)で脳の血流状態を調べるための放射性医薬品診断用キットです。

  4. 硫酸バリウム散97.5%「ホリイ」(堀井薬品工業)

  5. 硫酸バリウム散98.8%「ホリイ」(堀井薬品工業)

    胃や食道などのX線造影検査に用いられるバリウム製剤の散剤タイプです。

202703薬価削除


服用中・使用中のお薬が含まれていた場合の向き合い方

ご紹介したリストの中に、ご自身やご家族が普段使っているお薬の名前を見つけて、不安を感じた方もいらっしゃるかもしれません。そうした際に知っておいていただきたい重要なポイントを整理しました。

1. 決して自己判断で服用を中止しない

最も大切なことは、「リストにお薬の名前があったからといって、自分の判断で急に飲むのをやめたり、使うのを中断したりしない」ということです。

お薬の服用を勝手にやめてしまうと、血圧の急上昇や持病の悪化、思わぬ体調不良を引き起こす危険性があります。今回削除が決まったお薬であっても、後述の通り2027年3月末までは保険を使って今まで通り使用することができます。

2. 十分な猶予期間(2027年3月末まで)がある

今回の中医協の決定では、令和8年(2026年)11月頃に経過措置へ移行し、その使用期限は「令和9年(2027年)3月末まで」と設定されています。

つまり、実際に保険が使えなくなるまでにはかなりの時間的猶予があります。次回の定期受診や、かかりつけ薬局でお薬を受け取る際に、医師や薬剤師に「このお薬が今後整理されると聞いたのですが、次からはどのお薬に切り替えますか?」と落ち着いて相談すれば十分に対応できます。

3. 必ず安全な「代替薬」が存在する

「同一成分がなくなる」と聞くと強い不安を覚えるかもしれませんが、前述の通り、専門医学会が「医療上の問題は生じない」と確認した上で削除が了承されています。

現代の医療現場には、今回削除されるお薬と同等以上の治療効果を持ち、より使いやすく改良されたお薬が数多く揃っています。医師や薬剤師と相談しながら、現在の病状に最も適した新しい処方へとスムーズにバトンタッチしていくことが可能です。


医薬品の安定供給と少量多品目構造の適正化に向けて

今回行われた薬価削除手続きの明確化と大規模な品目整理は、日本の医療体制が抱える構造的な課題を解決するための重要な一歩でもあります。

これまで日本の製薬業界では、過去に承認された膨大な数のお薬が、需要が極めて少なくなった後も慣例的に製造・販売され続けてきました。その結果、製造工場では頻繁に生産ラインの組み換えが必要となり、製造コストの上昇や現場の過重な負担、ひいては近年の医薬品供給不安を引き起こす一因となっていました。

国や産業界が目指しているのは、使われなくなった古いお薬を適切なルールに従って計画的に整理し、製薬企業が医療上真に不可欠なお薬や品質管理にリソースを集中できる環境を整えることです。

患者さんにとっては、慣れ親しんだお薬の名前が変わることに一時的な戸惑いがあるかもしれませんが、医療制度全体を持続可能にし、将来にわたって安心してお薬を届けてもらうための前向きな再編であると捉えることができます。


まとめ

今回の審議および改定の要点を振り返ります。

  • 薬価削除ルールの明確化: 後発医薬品の安定供給問題や少量多品目生産の歪みを解消するため、告示時期を年2回(3月・11月)とし、経過措置期間を「最初の3月末まで」とするなどの明確なルールが策定されました。

  • 657品目の薬価削除: 令和8年11月頃に経過措置へ移行し、令和9年(2027年)3月末で使用期限を迎える予定となっています。

  • 同一成分が消える47品目: 657品目のうち610品目は同成分の別製品が残りますが、47品目は同一成分・組成がなくなります。これらについても医学会によって代替薬の存在が確認されており、医療上の支障は生じないとされています。

  • 患者さんの対応: 2027年3月末まで十分な移行期間が確保されています。自己判断で中止せず、定期受診の際にかかりつけ医や薬剤師と相談して切り替えを進めてください。

本ブログでは、今回詳しく触れなかった「同成分の別製品が存在する610品目」も含めた全一覧をまとめたPDF資料「2027年3月で経過措置が切れる医薬品」をアップロードしております。現在処方されているお薬の状況を網羅的に確認したい方は、ぜひそちらの資料もご活用ください。

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