高齢者は毎年インフルエンザワクチンを接種すると重症化リスクを減少させることができる
スペインの研究チームは、65歳以上の高齢者は4シーズン連続してインフルエンザワクチンの予防接種を行うと、重症化リスクを減少することができると報告しました。
被験者
・65歳以上の入院患者:598人
・65歳以上の集中治療室で入院後に死亡した重症患者群:130人
・プラセボ
4シーズン連続でインフルエンザワクチンを接種すると重症化リスクを減少できる
結果
4シーズン連続でインフルエンザワクチンを接種すると
・入院するリスクを31%減少させる
・集中治療室へ入院するリスクを74%減少させる
・死亡リスクを70%減少させる
ことが報告されました。
非常に興味深いことに、1シーズンのみインフルエンザワクチン接種を行った場合は、インフルエンザによる重症化リスク減少効果は認められませんでした。
このことから筆者らは「高齢者は毎年インフルエンザワクチンの予防接種を行うことが重症化リスク軽減につながる」とまとめています。
厚生労働省によるインフルエンザワクチンの有効率に関する報告
「インフルエンザワクチンの有効性」は、ヒトを対象とした研究において、「ワクチンを接種しなかった人が病気にかかるリスクを基準とした場合、接種した人が病気にかかるリスクが、『相対的に』どれだけ減少したか」という指標で示されます。6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています※2。「インフルエンザ発病防止に対するワクチン有効率が60%」とは、下記の状況が相当します。
・ワクチンを接種しなかった方100人のうち30人がインフルエンザを発病(発病率30%)
・ワクチンを接種した方200人のうち24人がインフルエンザを発病(発病率12%)
→ ワクチン有効率={(30-12)/30}×100=(1-0.4)×100=60%
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ワクチンを接種しなかった人の発病率(リスク)を基準とした場合、接種した人の発病率(リスク)が、「相対的に」60%減少しています。すなわち、ワクチンを接種せず発病した方のうち60%(上記の例では30人のうち18人)は、ワクチンを接種していれば発病を防ぐことができた、ということになります。
現行のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません。しかし、インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。
日本国内において、インフルエンザにより亡くなる方は年間1000人前後、インフルエンザが原因となって肺炎や持病の悪化で亡くなる方は年間1万人前後と報告されております。
インフルエンザワクチンの予防接種を行うことは1シーズンで60%有効率が有しており、高齢者が継続的に予防接種を続けることは重症化リスク低減につながることから、シーズン初めに患者様へインフルエンザワクチンの予防接種を行うことの日本国内において、インフルエンザにより亡くなる方は年間1000人前後、インフルエンザが原因となって肺炎や持病の悪化で亡くなる方は年間1万人前後と報告されております。
意義が明確にお伝えしてもいいのかもしれません。
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