アットリンク不正アクセスで何が起きた?影響と対応を徹底解説
2026年10月15日、医療系IT大手企業である株式会社メドレーが提供する医療機関向け業務支援システム「アットリンク(@link)」が、第三者による不正アクセスを受けたことが明らかになりました。この事態を受けて、メドレー社は被害の拡大を防ぎ原因調査を進めるため、10月14日深夜からシステム全体および患者向けアプリなどの関連サービスを緊急停止しています。
アットリンクは、主に全国の産婦人科や婦人科クリニックなどを中心に広く導入されているシステムです。今回のサービス停止と不正アクセスによって、最大で全国787カ所の医療機関に影響が及んでおり、診察の予約や受付、院内での呼び出しなど、日常の診療業務に多大な支障が生じています。さらに深刻な問題として、これらの医療機関に登録されていた多くの患者の個人情報が外部へ漏洩した可能性が懸念されています。
突然のシステム停止により、受診予定だった方や現在通院中の方、妊娠中で定期健診を控えている方々の間では、「自分の予約はどうなっているのか」「預けている大切な個人情報やエコー動画は無事なのか」といった不安の声が急速に広がっています。
この記事では、今回発生したアットリンクへの不正アクセス事件の詳しい経緯から、具体的にどのような機能が使えなくなっているのか、医療機関の現場でどのような混乱が起きているのか、そして通院中の方々が今すぐ取るべき具体的な対応策までを網羅して解説します。
不正アクセス発覚からサービス停止までの経緯
まずは、今回の一連のトラブルがどのようにして発覚し、どのようなタイムラインでサービスの停止や公表に至ったのか、時系列に沿って整理します。
発覚のきっかけは外部機関からの指摘
メドレー社の発表によると、事態の端緒となったのは2026年10月11日のことでした。外部のセキュリティ専門機関から「システムに対して不正なアクセスが行われている疑いがある」という情報提供を受けたことが発端です。
メドレー社はこの指摘を受けて直ちに内部調査を開始し、その結果、実際に第三者による不正アクセスが行われていた痕跡を確認しました。インターネットを通じて提供されるクラウドサービスでは、不審な通信や侵入の兆候を自社だけで即座に察知することが難しいケースも少なくありません。今回は専門機関からの通報によって、システムの異常が表面化する形となりました。
被害拡大を防ぐための深夜の緊急サービス停止
不正アクセスの事実を確認したメドレー社は、さらなる情報の流出や不正な改ざんといった被害の拡大を食い止めるため、2026年10月14日の深夜、アットリンクに関連するすべてのサービスを遮断する緊急措置に踏み切りました。
夜間にシステムを一斉停止させた背景には、医療機関の診療時間外に対処することで日中の混乱を最小限に抑えつつ、侵入経路の遮断とサーバー内の保全調査を急ぐ狙いがあったと考えられます。しかし、事前の予告がない突然のシステム遮断であったため、翌朝の診療開始を控えた医療現場には大きな衝撃を与えることになりました。
公表と関係機関への通報
サービス停止の翌日となる10月15日、メドレー社は本件について公式なニュースリリースを発表し、メディア各社が一斉に報道しました。同時に同社は、個人情報の保護を監督する行政機関である個人情報保護委員会への正式な報告を行い、警察への相談および被害申告を実施しています。
現在は、原因の究明、不正侵入されたルートの特定、そして実際にどのようなデータが閲覧・窃取されたのかという被害範囲の確定に向けて、外部のサイバーセキュリティ専門会社と連携しながら徹底的な調査が進められています。現時点ではシステムの再開見通しは立っておらず、調査の進捗を見守る状況が続いています。
医療機関を支える「アットリンク」とはどのようなシステムか
今回被害を受けた「アットリンク」とは、そもそもどのようなシステムで、なぜここまで大きな影響を及ぼしているのでしょうか。その役割と重要性について解説します。
産婦人科領域で圧倒的なシェアを持つ基幹システム
アットリンクは、医療機関の受付業務、予約管理、診察室への呼び出し、待合室の混雑緩和などを一元的に管理・支援するITシステムです。もともとはオフショア株式会社という企業が開発・運営していましたが、2024年にメドレー社が同社を買収し、メドレーグループの主要な医療DXサービスの一つとして展開されていました。
このシステムの大きな特徴は、特に「産婦人科・産科・婦人科」の領域に特化したきめ細かな機能が豊富に備わっている点です。一般的な内科や整形外科とは異なり、産婦人科では妊娠週数の管理、胎児の超音波(エコー)検査の記録、入院や分娩の進行管理など、専門性の高い特有の業務が多く存在します。アットリンクはこれらを網羅的にサポートできるため、全国の産科・婦人科クリニックから絶大な支持を集め、主力システムとして定着していました。全国で約787カ所という導入数は、日本の産婦人科診療を支えるインフラとして極めて大きな規模です。
患者と医療機関の双方をスムーズにつなぐデジタル基盤
アットリンクは、病院側の業務を効率化するだけでなく、受診する患者にとっても生活に溶け込んだ便利なツールでした。
患者はスマートフォンに「アットリンクアプリ」をインストールしておくことで、24時間いつでも診療の空き状況を確認して予約を入れることができます。また、病院に到着した際も、紙の診察券を出したり問診票を手書きしたりする必要がなく、スマートフォンの画面に表示されたQRコードやデジタル診察券を読み取り機にかざすだけで、スムーズにチェックインが完了します。
待合室では、モニターに診察の順番が表示され、自分の番が近づくとスマートフォンへ通知が届くため、長時間の待ち時間を待合室の外で過ごすことも可能でした。このように、アットリンクは受診の入り口から出口までをデジタルで円滑につなぐ架け橋となっていたのです。
停止された機能一覧と患者への具体的な影響
10月14日深夜のサービス停止により、アットリンクが提供していた多岐にわたる機能がストップしました。患者側の視点から見ると、具体的にどのような不都合が生じているのかを整理します。
アプリおよびWEBからの予約・変更が不可能に
患者にとって最も直接的な影響は、スマートフォンアプリやWEBサイトを経由した診療予約が一切行えなくなったことです。
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新規の診察予約を入れることができない
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すでに取っていた予約の日時を変更したり、キャンセルしたりすることができない
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自分が何月何日の何時に予約を取っていたのか、アプリ上で確認することができない
予約制を採用している産婦人科クリニックでは、この予約機能の停止が大きな足かせとなっています。患者自身が予約日時を忘れてしまったり、体調不良で日程を変えたくてもアプリ上で操作できなかったりするため、医療機関の電話窓口に問い合わせが殺到する要因となっています。
デジタル診察券と自動チェックイン機能の停止
これまで来院時に使われていた「デジタル診察券」の表示機能が利用できなくなりました。これに伴い、クリニックの入り口に設置されていたタッチパネル式の再来受付機やQRコードリーダーによる自動チェックイン機能も停止しています。
その結果、来院した患者は受付窓口に直接並び、口頭で氏名を伝えたり、従来のプラスチック診察券や身分証明書を提示して手作業で受付を行わなければならなくなっています。
事前問診やオンライン決済の利用停止
受診前にあらかじめ自宅などで体調や症状を入力しておく「アットリンク問診」も停止しています。これにより、病院に到着してから紙の問診票に手書きで記入する必要が生じています。
また、診察後の会計を登録済みのクレジットカードで自動的に済ませられる「オンライン決済機能」も停止しているため、受診後は会計窓口で現金や通常のクレジットカードを使って対面で支払いを済ませる必要があります。
エコー動画や記念ムービーなどの閲覧・保存機能の遮断
産婦人科特有の機能として患者から非常に人気の高かったコンテンツ閲覧機能も、すべて停止対象となっています。
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EchoDiary(エコーダイアリー):妊婦健診時の胎児超音波画像を録画し、スマートフォンでいつでも動画として見返せるサービス
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Wovie(ウービー):医療機関から配信される母親学級の案内動画や各種説明動画などの配信プラットフォーム
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DearBaby(出産記念ムービー):出産のお祝いとして提供されるオリジナル動画やメッセージサービス
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マタニティダイアリー・最終月経日記録:妊娠の経過や体調の変化を記録・確認する機能
これらの機能が停止したことにより、妊娠中の貴重な記録を振り返ったり、遠方に住む家族やパートナーにエコー動画を共有したりすることができなくなっています。「記録していたエコーデータは消えてしまったのか」と心配する声も上がっていますが、これらはサーバーの安全確認と保全のためにアクセスが遮断されている状態であり、データの完全な消失が確定したわけではありません。とはいえ、手元で確認できない状態が続いていることは、患者にとって大きな精神的ストレスとなっています。
医療現場の混乱とクリニック側が取っている緊急対応
アットリンクの停止は、導入している病院やクリニックの日常業務を根底から揺るがしています。突如として最先端のデジタル環境からアナログ業務への後退を余儀なくされた医療現場の状況を見ていきましょう。
予約の確認が取れず、受付業務が逼迫
報道でも取り上げられている通り、都内のある婦人科クリニックでは、15日午前0時からシステムが使えなくなるという連絡を受け、急きょ臨時の予約受付サイトを手作業で立ち上げるなどの対応に追われました。
最も大きな問題は、「本日誰が、何時に、何の目的で受診しに来るのか」という予約一覧データが、院内の端末からリアルタイムで確認できなくなったことです。患者が来院しても、本当にその日時に予約が入っていたのかをすぐに照合できず、紙のカルテを探し出して突き合わせる作業が発生しています。
これまで自動化されていた受付業務が手作業に逆戻りしたことで、受付窓口には長い列ができ、カルテの確認や問診票の記入・確認に時間がかかるため、診察開始までの待ち時間が普段の数倍に膨れ上がっているケースも報告されています。
待合室の呼び出しや院内オペレーションへの打撃
院内における患者の案内にも混乱が生じています。アットリンクでは、待合室の大型モニター(デジタルサイネージ)に受付番号を表示したり、診察室の準備が整うと自動で呼び出したりする仕組みが整っていました。これにより、プライバシーに配慮して患者の個人名を大声で呼ばずに済む運用が一般的になっていました。
しかし、これらのサイネージ機能や自動呼出システムが停止したため、スタッフが待合室に出て直接患者を探したり、口頭で番号やお名前を呼んだりといった運用に変更されています。さらに、入院中の患者管理や手術・処置のスケジュール管理といった院内の基幹業務も手動での確認を余儀なくされており、医師や助産師、看護師、医療事務員が本来の診療業務以外の確認作業に忙殺される事態となっています。
メドレー社による医療機関への支援と代替措置
混乱する医療機関を支援するため、システムの提供元であるメドレー社は以下のような緊急措置を実施しています。
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予約一覧データのPDF抽出と安全な提供
アットリンクのデータベースに残されていた直近の予約情報について、医療機関ごとにPDFファイルとして抽出し、セキュリティを担保した特別な通信経路を用いて各医療機関へ順次配布しました。これにより、各医院は「誰が予約していたか」を最低限確認できるようになりました。 -
手動運用のためのマニュアル配布
アットリンクが稼働していない状態を想定した「院内運用マニュアル」を作成し、導入医院に緊急配布しました。システムに依存しない受付から会計までのフローを提示し、現場の混乱を少しでも緩和させようとしています。 -
カスタマーサポートによる伴走支援
運用の切り替えに戸惑う医療機関をサポートするため、専任のサポートチームを組織して電話やメールを通じた現場支援を継続しています。
想定される個人情報漏えいのリスクとサイバー攻撃の背景
今回の事件で最も重大視されているのが、患者のプライバシーに関する個人情報の漏洩リスクです。医療データという極めてセンシティブな情報が関わっているため、社会的な関心も非常に高くなっています。
どのような情報が漏洩した可能性があるのか
メドレー社の公表によると、アットリンクを利用していた最大787カ所の医療機関に登録されている患者のデータが、外部から不正に閲覧または窃取されたおそれがあります。
対象となり得る情報項目としては、主に以下のようなものが考えられます。
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患者の氏名、生年月日、年齢
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自宅住所、電話番号、メールアドレスなどの連絡先
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診療予約の日時、受診歴、診察券番号
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最終月経日や妊娠週数などの基礎的な診療関連情報
なお、医師が詳細な治療経過や投薬内容を記録する「電子カルテ」の本体データそのものが直接外部に持ち出されたのかどうか、またエコー動画や決済時のクレジットカード情報そのものが漏洩したのかどうかについては、現時点では専門機関によるフォレンジック調査(原因究明のための電子的鑑識調査)の真っ最中であり、確定した事実は明らかになっていません。
医療情報が持つプライバシーの特殊性
医療機関が保有するデータは、個人の健康状態、病歴、身体的特徴、家族構成など、個人の人生において最も他人に知られたくない極めて機微(センシティブ)な情報で構成されています。特に産婦人科における情報は、妊娠の有無、不妊治療の通院歴、過去の分娩歴、胎児の発育状況など、プライバシーの中でも最高度の保護が求められる性質のものです。
万が一、これらの情報が外部に流出した場合、一般的なネット通販などのアカウント情報漏洩と比べても、患者が受ける心理的苦痛や不安は計り知れません。メドレー社が個人情報保護委員会に速やかに報告し、警察のサイバー犯罪対策部門と連携して徹底調査を行っているのは、事態の重大性が極めて高いためです。
なぜ医療機関や医療系クラウドが狙われるのか
近年、国内外を問わず、病院や医療ITサービスを標的としたサイバー攻撃が急激に増加しています。その背景にはいくつかの要因があります。
第一に、医療サービスは「患者の命や健康」に直結しているため、システムを長時間停止させることが極めて困難であるという点です。攻撃者側から見れば、業務を止めることで強いプレッシャーをかけやすく、身代金目的のサイバー攻撃(ランサムウェアなど)の格好の標的になりやすいという特徴があります。
第二に、医療現場のデジタル化(医療DX)が急速に進んだことで、多くのクリニックがクラウドサービスを導入し、インターネット経由で膨大な患者データを集約して管理するようになった点です。個々のクリニックのサーバーを一つずつ攻撃するよりも、多数の医療機関が一元利用しているIT事業者のクラウド基盤を攻撃した方が、一度に大量の機微情報を手に入れられるため、悪質な攻撃者にとって効率的なターゲットとなってしまっているのが現状です。
通院中の患者が今すぐ確認すべきことと自衛策
アットリンクの利用停止によって不安を感じている通院中・受診予定の患者は、具体的にどのように行動すればよいのでしょうか。トラブルを避け、自身の安全を守るための実践的なポイントをまとめました。
1. 予約の確認や診察の相談は受診先の医院へ直接連絡する
もし直近で診察の予約を入れていた場合や、新規に予約を取りたい場合は、アプリやWEBからの操作を諦め、受診先の病院・クリニックへ直接電話等で問い合わせてください。
ただし、各医院の電話窓口には同様の問い合わせが集中しており、電話がつながりにくくなっている可能性があります。多くの医療機関では、公式ホームページのお知らせ欄などに「現在の受付方法」「臨時予約フォームの案内」「電話受付の推奨時間帯」などを掲載しています。まずは電話をかける前に、通院先の公式ホームページを確認することをお勧めします。
2. 受診当日は「アナログな持ち物」を準備していく
当面の間、デジタル診察券やスマホ連携によるチェックインは機能しません。受診当日は、以下の持ち物を確実に持参して窓口に向かいましょう。
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従来の紙やプラスチックの診察券(持っている場合)
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健康保険証 または マイナ保険証(マイナンバーカード)
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母子健康手帳(妊婦健診の場合)
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基礎体温表や手書きのメモ(最終月経日、前回の受診日、現在の自覚症状などをメモしておくと問診票の記入がスムーズになります)
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現金(オンライン決済が使えず、院内のカード端末も混雑する可能性があるため、多めの現金を用意しておくと安心です)
また、受付や確認作業に通常よりも時間がかかることが予想されるため、予約時間の少し前に余裕を持って来院し、受診後の予定にはゆとりを持たせておくことが賢明です。
3. 不審な連絡やフィッシング詐欺に最大限警戒する
個人情報が漏洩した可能性がある場合に最も警戒しなければならないのが、「二次被害」です。悪意ある第三者が、漏洩したとされる氏名、電話番号、メールアドレスを悪用して詐欺を仕掛けてくる危険性があります。
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不審なメールやSMSに注意する
「メドレー社からの重要なお知らせ」「アットリンクの復旧に伴うパスワード再設定のお願い」「クリニックからの予約確認」などと偽り、偽のWEBサイトに誘導してクレジットカード番号やパスワードを入力させようとするフィッシング詐欺が発生する可能性があります。不審なリンクは絶対にクリックしないでください。 -
不審な電話に個人情報を伝えない
「システムの不具合でデータが消えたため、口座情報や暗証番号を教えてほしい」といった電話がかかってきた場合、それは100%詐欺です。病院やメドレー社が、電話で銀行口座の暗証番号やクレジットカードのセキュリティコードを尋ねることは絶対にありません。
4. パスワードの使い回しを見直す
アットリンクアプリやWEB予約システムにログインする際に使用していたメールアドレスとパスワードの組み合わせを、他のWEBサービス(通販サイト、ネットバンキング、SNSなど)でも同じように使い回している場合は、直ちに他サービスのパスワードを変更してください。攻撃者が流出データを使い、他のサイトへ不正ログインを試みる「パスワードリスト攻撃」を防ぐためです。
5. アプリの仕様に関する問い合わせはメドレー公式窓口へ
「アプリのデータがいつ戻るのか」「エコー動画は復旧するのか」といったシステム全般に関する質問は、医療機関の窓口に問い合わせても回答を得ることができません。医療機関のスタッフも被害者であり、対応に追われています。
システム自体や個人情報の取り扱いに関する疑問・質問については、メドレー社が設置している以下の公式問い合わせ窓口を利用するようにしてください。
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アットリンク公式問い合わせフォーム(メドレー社の専用窓口)
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専用メールアドレス(アットリンク専用のお問い合わせ先)
※現在、専用の窓口を通じて順次対応が行われています。

医療DXの急速な進展が突きつける課題と今後の展望
今回の事件は、単なる一企業のシステム障害という枠を超え、国を挙げて推進されている「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)」のあり方そのものに重い課題を突きつけています。
医療DXがもたらした恩恵と背中合わせのリスク
ここ数年、医療現場では急速なデジタルシフトが進んできました。WEB予約や問診の電子化、自動会計機の導入は、医療現場における深刻な人手不足を補い、患者にとっても待ち時間の短縮や利便性の向上という計り知れない恩恵をもたらしました。産婦人科におけるエコー動画のクラウド共有などは、デジタル化ならではの心温まるサービスとして多くの家族に喜ばれてきた実績があります。
しかし、業務のすべてをデジタルネットワークに依存すればするほど、「システムが止まった瞬間に業務が完全に麻痺する」という脆さ(脆弱性)が浮き彫りになります。今回の事例は、クラウドシステムが一箇所でも攻撃を受けると、全国数百カ所のクリニックが一斉に機能を失い、現場の医療従事者が手作業の泥沼に引き戻されてしまうというリスクを鮮明に示しました。
メドレー社の今後の責任と業績への影響
システムを運営するメドレー社は、医療・介護求人サイト「ジョブメドレー」や電子カルテ事業などを幅広く手がけ、グループ全体での導入医療機関数が約2万3000件に達する医療ITのリーディングカンパニーです。2026年12月期の連結売上高は464億円を見込んでおり、医療界における存在感は非常に大きなものがあります。
メドレー社は今回の事態による2026年12月期の連結業績への影響は軽微であるとの見通しを示していますが、失われた社会的信用や、患者・医療機関に与えた精神的・実務的負担の大きさは計り知れません。今後は、徹底した原因究明と侵入経路の特定、影響を受けた患者への誠実な説明と補償、そして二度と同様の事態を引き起こさない強固なセキュリティ基盤の再構築が強く求められます。
求められる事業継続計画(BCP)の再構築
今回の事件は、システムを提供するIT企業だけでなく、医療サービスを利用するクリニック側にとっても大きな教訓を残しました。どれほど強固なセキュリティを敷いていたとしても、サイバー攻撃を100%防ぎ切ることは困難な時代に入っています。
そのため、これからの医療現場には「システムが攻撃を受けて完全に遮断された場合でも、いかに診療を止めずに紙やオフラインで業務を継続できるか」という事業継続計画(BCP)の策定と、定期的な訓練が不可欠になります。デジタル化を進めることと並行して、いざという時のアナログな代替手段を常に準備しておくことの重要性が、今回の事件によって再認識されることになりました。
まとめ
医療系IT大手メドレーが提供する「アットリンク」への不正アクセス事件は、全国最大787カ所の産婦人科・医療機関を巻き込む深刻な事態へと発展しています。
10月11日に外部専門機関からの指摘で発覚し、14日深夜に被害拡大防止のため緊急停止されたアットリンクは、現在も予約や受付、エコー動画の閲覧など全機能がストップした状態にあります。診察券の読み取り不可や手書き対応への切り替えなどにより、医療機関の現場では待ち時間の増大や業務逼迫といった大きな混乱が続いています。
さらに、登録されていた多くの患者の氏名や連絡先、受診履歴といったプライバシー性の高い個人情報が漏洩した可能性について、警察や個人情報保護委員会と連携した調査が進められています。
通院中や受診を予定されている患者の皆様におかれましては、以下のポイントを意識して冷静に対応することが求められます。
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予約の確認・変更は、通院先の公式ホームページを確認のうえ、直接医院へ相談する
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受診当日は、紙の診察券、保険証(またはマイナ保険証)、母子手帳、手書きメモ、現金を用意する
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メドレーや病院を騙る不審なメール、SMS、電話によるフィッシング詐欺に警戒する
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他サービスと同じパスワードを使い回している場合は、速やかに変更を行う
医療のデジタル化は私たちの生活を非常に便利にしてくれましたが、その裏側には常にサイバー脅威と情報管理のリスクが存在しています。まずは一刻も早い原因の解明とシステムの安全な復旧、そして被害範囲の特定が待たれます。今後のメドレー社および各医療機関からの公式発表を注意深く確認し、落ち着いて行動するようにしてください。

