おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

妊婦 抗がん剤

出産5年後、乳がん発症リスクが1.8倍でピークとなる

投稿日:2018年12月21日 更新日:

出産5年後、乳がん発症リスクが1.8倍でピークとなる

 

出産経験および出産からの経過年数と乳がん発症リスクに関して、未出産女性と比較したデータが公開されました。

 

18826例の乳がん患者さんを対象として、出産経験、出産からの経過年数について調査が行われました。

その結果、出産から5年後に乳がんを発症するリスクが、未出産女性と比較して、相対的な発症リスクが1.8倍となることが報告されました。

 

(相対リスクとは、未出産女性が乳がんを発症するリスクを”1”としたとき、出産した女性が5年後に乳がんを発症するリスクが1.8倍であるという意味です)

出産5年後、乳がんの相対的な発症リスクが1.8倍でピーク

エストロゲン受容体(ER)陽性乳がんの発症リスクに関して

出産を経験した女性は、未出産女性と比較して出産から24年間は、相対的に発症リスクが高い状態にあります。逆に、24年後は乳がんの発症リスクは低下します。出産経験女性では産後から34年間経過した時点で、乳がんの発症リスクが0.77倍と低下しています。

 

0.77倍とは、未出産女性が乳がんを発症するリスクを”1”としたときに、産後34年間経過した女性の乳がん発症リスクが0.77倍(1倍を下回っているため、発症リスクが下がっている)であるという解釈です。

 

エストロゲン受容体(ER)陰性乳がんの発症リスクに関して

出産経験女性の発症リスクが、未出産女性の発症リスクを下回ることはありませんでした。

出産5年後、乳がんの相対的な発症リスクが1.8倍でピーク

breast-cancer-risk1

breast-cancer-risk1

乳がん発症リスク

「乳がんを発症した家族歴」「初産の年齢が高い」「多産」は、乳がん発症リスクの増加と関連していました。母乳育児は乳がん発症リスクと関連していませんでした。

 

まとめ

未出産女性と比較して、出産経験のある女性では出産から20年以上にわたり乳がんの発症リスクが増加する傾向にあり、出産からの年数によって、その発症率に違いがあることが見いだされた。

-妊婦, 抗がん剤

執筆者:ojiyaku


  1. ojiyaku より:

    URLのリンクが切れておりましたので再度リンクを更新しております。(2025/1/30)
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30534999/

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

関連記事

foundation-One-CDx

がん遺伝子パネル検査FoundationOneCDxとは

がん遺伝子パネル検査FoundationOneCDxとは   がん遺伝子パネル検査FoundationOneCDx(中外製薬)とOncoGuideNCCオンコパネルシステム(シスメックス)が …

ninpu

炭酸リチウムを妊婦に使用した症例について

炭酸リチウムを妊婦に使用した症例について   炭酸リチウムは躁病時の気分を安定させるために処方される薬です。しかし胎児における心臓奇形や催奇形作用(動物実験)が報告されているため妊婦には禁忌 …

海外承認済み、国内では未承認の抗がん剤の薬剤費(2018年4月公開)

海外承認済み、国内では未承認の抗がん剤の薬剤費(2018年4月公開)

海外承認済み、国内では未承認の抗がん剤の薬剤費(2018年4月公開)   国立研究開発法人 国立がん研究センター先進医療・費用対効果評価室は「国内で薬事法上未承認・適応外となる医薬品・適応の …

obesity-Pancreatic-cancer

肥満が膵臓と小腸の癌細胞の除去を抑制してしまうことを北海道大学の研究チームが報告

肥満が膵臓と小腸の癌細胞の除去を抑制してしまうことを北海道大学の研究チームが報告   北海道大学の研究チームが「肥満が上皮組織からがん細胞の除去を抑制する」ことをマウスをつかった実験で明らか …

smoking-SUID

妊娠中の喫煙は予期せぬ乳幼児突然死と相関する

妊娠中の喫煙は予期せぬ乳幼児突然死と相関する tabako-ninpu 米国の研究チームは、妊娠中の喫煙が予期せぬ乳幼児突然死のリスクを2倍以上に増加させることを報告しました。   2007 …