2型糖尿病治療薬“グルコキナーゼ活性化薬”の効果について
2型糖尿病について、新しい作用をもった治療薬“グルコキナーゼ活性化薬”に関する第2相試験の報告がなされました。
グルコキナーゼ(GK)とはグルコースの恒常性を調節するために重要な因子であり、体内では膵臓のランゲルハンス島や肝臓、腸内のL細胞・K細胞、中枢神経系のニューロン(主に視床下部)において発現している酵素です。
今回、報告された治療薬“TTP339”は肝臓のグルコキナーゼのみを標的として活性化する働きがあることが非常にポイントとなっており、肝臓におけるグルコキナーゼの活性化は急激な低血糖を引き起こすことなく血糖値を低下させる作用が期待されます。(膵臓のランゲルハンス島のグルコキナーゼを活性化させてしまうと急激な低血糖が生じてしまい薬としての実用性が難しいと考えられていました)
2型糖尿病治療薬“肝臓選択的グルコキナーゼ活性化薬”について
第2相臨床試験
2型糖尿病患者190人を対象として
メトホルミン + TTP399(1日800mg)服用群
メトホルミン + プラセボ服用群
メトホルミン + ジャヌビア服用群
上記の糖尿病治療薬を6か月間服用した結果、メトホルミン + TTP399服用群においてHbA1cの大幅な低下作用が確認されました。
(ベースラインからのHbA1cの減少量が:―-0.9%)
さらに、重篤な低血糖や、トリグリセライド値の上昇や肝臓酵素に対する有害な影響は認められませんでした。血圧上昇も確認されませんでした。
空腹時血漿グルカゴンの減少(-20pg/ml)、体重100kg以上群における体重減少(-3.4kg)が確認されました。
肝臓選択的グルコキナーゼを活性化薬は新しい分野の糖尿病治療薬ですので、有効性や安全性に関する今後の報告に期待したところです。