おじさん薬剤師の日記

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帯状疱疹の塗り薬は治ったら捨ててください(抗ヘルペスウイルス外用剤の注意点)

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帯状疱疹の塗り薬は治ったら捨ててください(抗ヘルペスウイルス外用剤の注意点)

 

帯状疱疹の治療は皮疹発症から72時間以内に飲み薬または点滴で治療を行うとガイドラインに記されています。場合によっては、飲み薬または点滴の治療に加えて塗り薬(アラセナA軟膏・ゾビラックス軟膏など)が処方される場合があります。

 

この場合の塗り薬は、あくまで治療の補佐的なものであって、大きな意味合いはありません。帯状疱疹の治療は原則として飲み薬または点滴で行います。

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しかし、皮膚に帯状疱疹が発症している患者様にとっては、“抗ウイルス外用剤・抗ヘルペスウイルス外用剤”と記された塗り薬を患部に直接塗ることが“治療の促進につながる“と誤解を招くケースがあります。帯状疱疹発症から迅速に治療した場合、飲み薬や点滴によって帯状疱疹による皮疹および疼痛は日に日によくなっていくわけですが、“塗り薬を塗っているから良くなっている”と誤認する場合があるわけです。

 

初回の帯状疱疹治療を迅速な対応により完治した患者様において、最悪なケースがあります。手元に残った塗り薬(アラセナA・ゾビラックス軟膏)を取っておいて“次回、帯状疱疹になったら病院には行かずにこれを塗ろう”と判断するケースです。この判断は非常に危険です。

 

50代以上の女性で、帯状疱疹を数回経験している方の中に、上記のような理由で“塗り薬を保管する方”がおります。この判断は非常によくありません。塗り薬には帯状疱疹に対して主作用はありません。帯状疱疹の治療はあくまで飲み薬または点滴です。勝手に塗り薬を過大評価してはいけません。私のイメージですが、このような判断をした結果、帯状庖疹の治療が遅れたために、帯状疱疹後神経痛を患う方もいるのではないかと考えています。

 

そこで私は、帯状疱疹に対して飲み薬と一緒にアラセナA軟膏・ゾビラックス軟膏・ビダラビン軟膏が処方された場合は、上記の理由を説明した上で

 

“帯状疱疹の塗り薬は、治ったら捨ててください”

 

とお伝えするようにしております。

 

注意)アラセナA軟膏やゾビラックス軟膏は帯状疱疹後疼痛を患わない口唇ヘルペスに使用する薬です。

以下に、口唇ヘルペスウイルスと帯状庖疹ウイルスの違いについて記します。

口唇ヘルペスウイルスと帯状疱疹のウイルスの大きな違いについて

口唇ヘルペスのウイルスも帯状疱疹のウイルスも神経の中を移行するウイルスなのですが、その増殖様式は異なります。以下は神経線維の模式的な図です。(図1)

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口唇ヘルペスのウイルス

口唇ヘルペスは唇表面にぷっくりとした水疱を作る特徴があります。口唇ヘルペスのウイルスは神経線維内の軸索の中が流れるようにスルーッと移動して、皮膚表面に到達して増殖します。この場合、神経を直接傷つけるというよりは、神経の中をツーっと移動して、皮膚表面で暴れるウイルスという印象です。帯状疱疹に比べて口唇ヘルペスでは、完治後の神経性疼痛が少ないのはこのためです。口唇ヘルペスは1週間程度で治癒するケースが多いです。(図2参照)

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帯状疱疹のウイルス

帯状疱疹のウイルスは神経内の軸索を流れるのではなく、軸索を覆う鞘に付着しているシュワン細胞に感染して増殖します(図1の神経線維の模式的図参照)。増殖した帯状疱疹ウイルスは神経束を障害しながら進行し、3~5日かけて神経から皮膚へ到達します。帯状疱疹の初期段階では皮膚病変がないにもかかわらずピリピリ・チクチクとした痛みがあるのはこのためです。(図3参照)

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口唇ヘルペスとは異なり、帯状疱疹は神経線維束周辺が増殖部位であるため治療が遅れると神経性疼痛をわずらうことになります。帯状庖疹では皮膚表面に湿疹がでるわけですが、その3〜5日前には神経節における帯状庖疹ウイルスの増殖が繰り返されています。

帯状庖疹ガイドラインには”皮疹発症から72時間以内に薬を内服薬または点滴治療を行うこと”と記されていますが、実際には皮疹が確認された時点で3〜5日間は帯状庖疹が神経線維で拡散していることを意味します。皮膚で帯状にピリピリ・チクチクとした違和感を感じた場合や、その後に皮疹が出た場合は早めの皮膚科受診が必要です。

帯状疱疹後の疼痛に関するデータ

 

バルトレックス500mgを1回2錠1日3回服用した316例において、帯状疱疹後の疼痛が消失した推移を確認したデータでは疼痛消失まで要した日数の平均値は35日、皮疹発現から90日後の疼痛残存率は24.7%(316人中78人)と報告されています。

 

ファムビルを服用したデータでは皮疹発現から90日後の疼痛残存率は12.4%、360日後の疼痛残存率は4%と記されています。

 

海外の報告ですが、帯状疱疹関連疼痛が消失するまでの中央値を年齢ごとに比較したデータによると、50歳未満では9日であったのに対して、50歳以上では23日を要しています。帯状疱疹によう皮膚違和感の消失に関しても、50歳未満では16日、50歳以上では31日と報告されています。

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まとめ

 

・帯状疱疹で処方された塗り薬(抗ウイルス外用剤)は治療を終えたら捨ててください。

 

・数か月後、数年後に帯状疱疹が再発した場合は、皮膚科を受診すること。手元に抗ウイルス外用剤が残っていても“塗ったら治る”と誤解しないでください。帯状疱疹の治療は飲み薬または点滴治療です。

 

・口唇ヘルペスウイルスは皮膚表面で増殖します。帯状疱疹ウイルスは神経周辺の細胞内で増殖します。

 

・帯状疱疹ウイルスの治療が遅れると神経に傷が残るため神経性疼痛が残るケースがあります。

口唇ヘルペスウイルスと帯状疱疹ウイルスの違い

 




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