おじさん薬剤師の日記

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糖尿病 腎保護

ジャディアンス錠(SGLT2阻害薬)による延命/腎症悪化防止に関する報告

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ジャディアンス錠(SGLT2阻害薬)による延命/腎症悪化防止に関する報告

sglt2-kidney

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2019年6月6日追記

SGLT2阻害薬による心血管リスク減少効果や腎保護作用に関する報告はジャディアンス錠が先駆けて報告されることが多い印象ですが、それ以外のSGLT2阻害剤でも同様の報告が行われております。すでにARBまたはACE阻害薬を飲んでいる2型糖尿病患者さんを対象そして、フォシーガ錠(SGLT2阻害剤)またはフォシーガとオングリザ(DPP4阻害剤)の併用における腎保護作用に関する報告がありましたので追記します。

フォシーガ・オングリザによる腎保護作用・血糖降下作用について

 

ARBまたはACE阻害薬を飲んでいる2型糖尿病患者さんを対象としてフォシーガ・またはフォシーガとオングリザが追加投与された際の腎保護作用・血糖降下作用に関する報告が開示されました。

(フォシーガを製造販売しているアストラゼネカが資金提供を行ったデータです。)

フォシーガ:SGLT2阻害剤

オングリザ:DPP4阻害剤

 

ARBまたはACE阻害薬を飲んでいる2型糖尿病患者さん461人を対象として

フォシーガを追加服用した群:145人

フォシーガとオングリザを併用追加服用した群:155人

プラセボ(偽薬)群:148人

として24週間服用した後の“尿中アルブミン/クレアチニン比”と“HbA1c”を確認したデータです。

 

24週間服用後

フォシーガ追加服用群はプラセボ群と比べて―24%のアルブミン/クレアチニン比の減少が確認されました。フォシーガとオングリザの併用群では―38%の減少効果が確認されました。いずれも有意差があり腎保護作用が確認されました。

 

HbA1c低下作用についてはフォシーガとオングリザの併用がプラセボに比べて―0.58%の減少効果があることが示されました。

 

有害事象(副作用)について

有害事象発現率はフォシーガ服用群で54%、フォシーガ・オングリザ併用群で68%、プラセボ群で54%、重大な副作用発現率はフォシーガ服用群で8%、フォシーガ・オングリザ併用群で8%、プラセボ群で11%となり、差は確認できなかったとされています。

 

中等度~重度の慢性腎臓病を合併する2型糖尿病患者さんにおいて、フォシーガ服用またはフォシーガとオングリザの併用は腎機能保護に有益であることが確認されたとしています。

慢性腎臓病を合併する2型糖尿病患者さんにおけるフォシーガまたはフォシーガとオングリザの併用効果について

 

2018年10月31日追記

ジャディアンス服用が延命に寄与する

心血管疾患を有する2型糖尿病患者さんを対象としたジャディアンスの効果を確認するEMPA-REG OUTCOME試験の結果を詳細に解析したところ、2型糖尿病患者さんの寿命が伸びることが示唆されました。

2型糖尿病患者さん7020人を対象としてジャディアンス服用群とプラセボ群(何も飲まなかった群)を比較したところ、45歳の被験者における平均推定生存期間がジャディアンス服用群で32.1年、プラセボ群で27.6年という結果となり、ジャディアンスを服用することで4.5年間の延命となる可能性が示唆されました。(50歳の被験者では3.1年、60歳の被験者では2.5年、70歳の被験者では2年、80際の被験者においては1年の寿命延長が示されています)

データを解析したBrian Claggett氏はジャディアンスの服用で心血管疾患の既往がある2型糖尿病患者さんの寿命が2.5年長くなることが推定されると記しています。

ジャディアンス服用による延命についての具体的な効果については今後の検討が必要かと思いますが、現状で報告されている内容から推測しますと、ジャディアンス服用による腎保護作用が延命につながる有用なポイントだと思います。心臓と腎臓の循環血流量が維持されることが心腎連関が維持され、心血管リスクの増悪を回避しているのではないでしょうか。

心腎連関について

以下は心血管疾患を有する2型糖尿病患者さんがジャディアンス錠服用したことで腎機能を保護したことに関するデータをまとめたものです。

心血管疾患を有する2型糖尿病患者におけるジャディアンス錠の延命効果について

ジャディアンス錠による腎保護作用について

2015年11月に公開されたEMPA-REG OUTCOME試験により、SGLT2阻害剤「ジャディアンス」を服用している2型糖尿病患者さんの心血管イベントは有意に抑制することが報告され話題となりました。

2型糖尿病患者におけるSGLT阻害剤、GLP-1作用薬、DPP-4阻害剤の心血管疾患イベントへの影響について 

2016年6月、EMPA-REG OUTCOME試験の副次アウトカムとしてジャディアンスの腎臓への影響を調査したデータが第76回米国糖尿病学会にて報告されました。

ジャディアンス1日1回10mgまたは25mg服用群(4124例)、プラセボ群(2061例)を対象として比較データが集約され、Cox回避ハザードモデルを用いて腎機能に対するハザード比が算出された結果、

腎症の新規発生または悪化の発生率
ジャディアンス群:12.7%
プラセボ群:18.8%
ハザード比:0.61 95%信頼区間0.53~0.7 P<0.001有意差あり
ジャディアンスで39%という有意な発生率低下が示されました。

また、腎機能低下の評価項目として
たんぱく尿(マクロアルブミン尿)への進行率
ジャディアンス群:11.2%
プラセボ群:16.2%
ハザード比:0.62 95%信頼区間0.54~0.72 P<0.001有意差あり
ジャディアンス群で38%という有意な尿たんぱく発生低下が示されました。

血清クレアチニン値の倍増率
ジャディアンス群:1.5%
プラセボ群:2.6%
ハザード比:0.57 95%信頼区間0.39~0.79 P<0.001有意差あり
ジャディアンス群で44%の有意な血清クレアチニン値の低下が示されました。

腎代替療法の開始率
ジャディアンス群:0.3%
プラセボ群:0.6%
ハザード比:0.45 95%信頼区間0.21~0.97、P=0.04有意差あり
ジャディアンス群で55%の有意な相対リスク減少が確認されています。

しかし、アルブミン尿の新規発症リスクは
ジャディアンス群:51.5%
プラセボ群:51.2%
両群間に差はみられませんでした。

ジャディアンス錠によるARBやACEIのような腎保護作用の可能性について

さらに、非常に興味深い考察として、ジャディアンス服用患者さんのeGFRはACE阻害薬やARBによる腎保護作用と類似したeGFR変動を示したという記述があります。

ACE阻害薬やARBは、腎臓の輸出細動脈と輸入細動脈の収縮を抑制する働きがあります。特に輸出細動脈をより広げることによって腎糸球体内圧をさげ、腎臓を保護する作用が見出されています。このとき、腎保護作用により腎臓内の圧力がさがるためにeGFR(老廃物を尿へ排泄する能力)の値も低下します。(下図参照)

SGLT2-jadiance-kidney

ACE阻害薬やARBによる腎保護作用とは右肩下がりで減少していたeGFR(赤線)を改善するために糸球体内圧を下げて、eGFRの減量率を低下させる働きをいいます。(ACE阻害薬やARBを服用することで赤線から青線へ移行します)その代わりと言ってはなんですが、ACE阻害剤やARBの服用開始時はeGFRが一過性にガクンと低下するという事実があります。(青線の開始部分でeGFRの値が赤線よりも低い値となっています)。データとしてはACE阻害薬やARBを継続的に3〜4年飲み続けていると青線が赤線よりも上になり、その後は青線の右側のように、なかなか腎機能が低下しにくくなるという事実があります。

考察の中で、ジャディアンス服用群のeGFRを確認したところACE阻害剤やARB服用群と似たようなeGFRパターンを示したという記述があり、ジャディアンスの服用中止によりeGFRが改善するというデータが確認されています。

ジャディアンス錠による腎機能悪化抑制データ 

さらに、上記データはACE阻害剤やARBを服用している2型糖尿病患者さんがジャディアンスを服用したときのデータであることから、ACE阻害剤やARBによる腎保護作用に追加して、ジャディアンスが糸球体内圧をさらに低下させたことを意味します。

筆者らは慢性腎臓病を有する2型糖尿病患者さんにはACE阻害薬やARBに追加してジャディアンスの併用を支持するとまとめています。

上記データはEMPA-REG OUTCOME試験の追加データですので、ジャディアンスを対象としていますが、SGLT2阻害剤全般に言えるとすると、非常に有用な報告に感じます。

2型糖尿病患者におけるSGLT阻害剤、GLP-1作用薬、DPP-4阻害剤の心血管疾患イベントへの影響について 

ジャディアンス錠による腎機能悪化抑制データ 

-糖尿病, 腎保護
-2型糖尿病, SGLt2, ジャディアンス, 延命, 心血管疾患, 腎保護作用

執筆者:ojiyaku


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