おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

糖尿病

1型糖尿病患者における超低炭水化物食によるHbA1c管理について

投稿日:2018年6月3日 更新日:

1型糖尿病患者における超低炭水化物食(VLCD)によるHbA1c管理について

 

1日の炭水化物摂取量を30g程度で管理する超低炭水化物食を行った1型糖尿病患者群に関するデータが開示されました。

注意)VLCDにはvery low calorie diet(超低カロリーダイエット)という言葉とvery low carbohydrate-diet(超低炭水化物食)という言葉があり、今回は後者の言葉をVLCDとして使用しております。

被験者:316名の1型糖尿病患者(投与病発症年齢:16歳±14、罹患期間:11年±13)

超低炭水化物食を摂取した期間:2.2年±3.9)

平均炭水化物摂取量:36g±15

1型糖尿病患者における超低炭水化物食治療について

type-1-diabetes

type-1-diabetes

炭水化物は野菜繊維またはナッツから摂取し、重量ベースで1日当たり最大30gと設定しています。カロリー摂取に関しては、脂肪を含む高タンパク食品で調整されています。使用するインスリン量は食後の血糖に従ってインスリン量が調整されています。

2型糖尿病におけるSGLT阻害剤、GLP-1作用薬、DPP-4阻害剤を使用することによる心血管疾患イベントへの影響について

結果

超低炭水化物食開始前後におけるHbA1cの変化

7.12%±1.04→5.67%±0.66(変化率:-1.45%)

参加者の97%が血糖値の目標を達成しています。

平均血糖値:104 mg/dl±16

 

平均1日インスリン使用量:040 U/kg±0.19

メトグルコ服用と体重増減について

思春期の発達における超低炭水化物食の影響については具体的に評価されてはおりませんが、今回の研究に参加した子供の両親および医療関係者から子供の身長データを提供してもらい調べてみたところ、被験者(子供)の平均身長は、年齢および性別の平均以上であったとしています。

 

有害事象

ケトアシドーシス:4例(1%)

低血糖症:2例(1%)

(糖尿病症関連の入院;7人(2%))

 

結論

1型糖尿病患者さんに対する超低炭水化物食治療は有害事象のリスクを増加させることなく食後血糖を良好に保ち、使用するインスリン量を低く管理することが可能となった。さらに1型糖尿病患者における糖尿病性合併症を食事によって予防できる可能性も示唆しています。

1型糖尿病患者における超低炭水化物食治療について

 

-糖尿病
-1型糖尿病患者, HbA1c, VLCD, インスリン量, ダイエット, 超低炭水化物食

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

関連記事

ビタミンD摂取がインスリン感受性を改善する可能性について

ビタミンD摂取がインスリン感受性を改善する可能性について

ビタミンD摂取がインスリン感受性を改善する可能性について ビタミンD摂取が肥満患者におけるインスリン感受性を改善するかどうかに関してイタリアの研究チームが3か月間の調査結果を公開しました。 対象 糖尿 …

tab7

DPP4-阻害剤の重大な副作用に「急性膵炎」「類天疱瘡」が追加となる

DPP4-阻害剤の重大な副作用に「急性膵炎」「類天疱瘡」が追加となる   厚生労働省はトラゼンタやスイニーなど、DPP-4阻害剤の重大な副作用に「急性膵炎」「類天疱瘡」を追加することを公開し …

tablet

フォシーガ錠に慢性腎臓病の適応症が追加

フォシーガ錠に慢性腎臓病の適応症が追加 フォシーガ錠5mg、同錠10mg 「慢性腎臓病。ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者は除く」 上記効能効果が追加されました。再審査期間は4年間   …

Hypoglycemia

低血糖時の応急処置であるグルカゴン製剤「バクスミー点鼻粉末剤」

低血糖時の応急処置であるグルカゴン製剤「バクスミー点鼻粉末剤」   2020年10月2日、日本イーライリリーは「低血糖時の救急処置薬」バクスミー点鼻噴霧剤3mgを発売しました。 バクスミーは …

tyuusya

インスリン製剤は「前回の注射箇所から少なくとも2~3cm離す」

インスリン製剤は「前回の注射箇所から少なくとも2~3cm離す」 厚生労働省はインスリン製剤の注射箇所を「少なくとも前回の注射箇所から2~3cm離す」ことや注射箇所に腫瘤「しこり・こぶなど」や硬結(硬く …