おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

抗精神病薬

誰でもわかりやすく読める統合失調症ガイドラインを日本神経精神薬理学会が公開

投稿日:2018年3月21日 更新日:

誰でもわかりやすく読める統合失調症ガイドラインを日本神経精神薬理学会が公開

 

「誰でもわかりやすく読める統合失調症薬物治療ガイドライン」を日本神経精神薬理学会が公開しました。今回公開された統合失調症薬物治療ガイドラインは、患者様・ご家族・支援者のために作成された内容となっており、科学的根拠を明確に示しながら、その一つ一つの言葉・ニュアンスをQ&A形式のような記述で説明しています。

第一世代・第二世代抗精神病薬の比較や推奨される治療期間、持効性注射剤と経口薬の使い分け、治療抵抗性統合失調症におけるクロザピン治療の有効性などが解説付きで記されています。

 

さらに統合失調症のさまざまな症状(緊張病・抑うつ症状・認知機能障害など)や薬による副作用(薬剤性パーキンソン症状・急性ジストニア・アカシジア・遅発性ジストニアなど)についても症状・推奨薬剤・解説が記されており、治療とそれに伴う副作用の可能性が記載されています。

誰でもわかりやすく読める統合失調症薬物治療ガイドライン

熟読した私の感想ですが、スーッとしみこむように内容が入ってくるなぁと感じました。私は精神科や心療内科の門前の薬局で患者様へお薬をお渡しする機会が多いので非常に勉強になりました。

 

ケースバイケースなので一概には言えることではないのですが、公開されたガイドラインと臨床の実態とで多少の乖離があるとすると、「単剤での治療が望ましい」「向精神病薬の併用は行わないことが望ましい」という文言でしょうか。

頓服薬として処方されるエビリファイ・リスパダール・ジプレキサの効果について

私が現場で勤務した印象では、治療の初期段階は単剤での治療で開始されますが、数年経過しても症状が安定しない患者様の場合は5剤、10剤と薬が増えていく場合を経験したことがあります。

このガイドラインは患者様やご家族にもお読みいただきたい内容として作成されております。服用薬剤についてガイドラインと実態との乖離について、ご家族から質問があった場合は、これまでの治療経過を顧みながら増量増加の経緯を再度見直していくという患者様対応が求められるかもしれません。

頓服で使用されるリスパダール内用液の効き目を検討する

デパス・リーゼ・ソラナックス・ワイパックス・レキソタンの安定剤として効き目を薬物動態から考える

-抗精神病薬
-ガイドライン, 抗精神病薬, 日本神経精神薬理学会, 統合失調症, 誰でもわかりやすく読める

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

関連記事

mama

授乳婦が使用する抗精神病薬について

授乳婦が使用する抗精神病薬について 母乳哺育児における抗精神病薬の安全性についてトルコにある大学のチームがJ Clin Psychopharmacol. 2016 Jun;36(3):244-52にて …

睡眠状況における朝型夜型(クロノタイプ)と罹患率および死亡率の関連について

睡眠状況における朝型夜型(クロノタイプ)と罹患率および死亡率の関連について

睡眠状況における朝型夜型(クロノタイプ)と罹患率および死亡率の関連について   米国の研究チームが朝型または夜型の睡眠タイプが心血管リスクや死亡率とどのような関係にあるのか調査した結果を公開 …

Zyprexa-stomac-pain

ジプレキサが「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の適応症を取得

ジプレキサが「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の適応症を取得   2017年12月26日、ジプレキサ錠・ザイディス錠・細粒に 「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等 …

tab4

PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対するカルデナリンの効果について

PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対するカルデナリンの効果について   カルデナリン錠などのα1受容体遮断薬は高血圧症の治療薬の4~5番手として使用されているイメージがあるのですが、ここ数 …

sippui

シクレスト舌下錠の有効成分を含む“貼り薬“を久光製薬がFDAへ申請

シクレスト舌下錠の有効成分を含む“貼り薬“を久光製薬がFDAへ申請   久光製薬は統合失調治療薬アセナピンマレイン酸塩の貼り薬タイプ(経皮吸収治療剤)を米国食品医薬品局(FDA)へ新薬承認申 …