胃薬H2ブロッカー/ガスター・ザンタック・アシノンの効き目を比較する
胃酸の出すぎを穏やかにするH2ブロッカーには数種類ありますが、その効き目について報告しているデータをいくつか確認してみました。
ガスター、ザンタック、アシノン・タガメットの4剤について胃食道逆流症に対する有効性を、オッズ比を用いて評価したデータを確認しました。
(オッズ比とは胃食道逆流症の発症しやすさを比較するための尺度で、数値が大きいほど発症しやすいとする指標です。)
1日ガスター80mg服用群:0.17
1日ガスター40mg服用群:0.23
1日ザンタック1200mg服用群:0.32
1日ザンタック600mg服用群:0.27
1日ザンタック300mg服用群:0.31
1日タガメット1600mg服用群:0.36
1日アシノン600mg服用群:0.58
1日アシノン300mg服用群:0.61
ガスター・ザンタック・アシノン・タガメットの胃食道逆流症に対する有効性について
整腸剤の効果・使用方法・違いについて(ビオフェルミン・乳酸菌・ミヤBM)
上記薬剤について日本国内での最大服用量(適宜増を含む)を調べてみると
ガスター:1日80mgまで(適宜増の範囲という解釈です)
ザンタック:1日600mgまで(適宜増の範囲という解釈です)
タガメット:1日1600mgまで(適宜増の範囲という解釈です)
アシノン:1日600mgまで(適宜増の範囲という解釈です)
上記のデータからすると、常用量においても適宜増量においても、ガスター錠(ファモチジン)を服用すると、しっかり胃酸を抑制できることが示唆されます。
1日1回、夜にH2ブロッカーを飲んだ翌日までの効果持続時間について
1日1回22時にアシノン300mgまたはザンタック300mgまたはガスター40mgを服用したデータを比較した報告によると、夜間(23時~翌7時)までの胃酸抑制作用は3剤とも同等ですが、午前中(7時~12時)の胃酸抑制作用についてはアシノンに比べてガスターおよびザンタックで胃酸pHが5を超えており、胃酸抑制作用が長く続いているデータが示されました。(夜に飲んだアシノン錠は翌日の午前中まで効果は持続しにくいのに対して、夜に飲んだザンタック・ガスターは翌日の午前中まで効果が続くことを示しています)
腸内細菌によるH2ブロッカーの分解率について(試験管内のデータ)
試験管内のデータですが、結腸に住み着いている細菌によるH2ブロッカーの分解率を確認したデータによると、ザンタックとアシノンは分解を受けやすく、ガスターとタガメットは分解を受けにくい(薬物濃度が低下しにくい)製剤であることが示されています。
これまでのデータより、ガスター錠は効き目が強く、効果持続時間も長く、腸内細菌による分解(代謝)も受けにくい製剤であるため、服用後の自覚症状を最大限抑制できる薬であることが示唆されます。
カマ・アルミニウム製剤とH2ブロッカーを併用した場合の注意点
カマやアルミニウム製剤とH2ブロッカを併用した場合、ガスター・ザンタック・タガメットはバイオアベイラビリティ(生物学的利用率)が20~25%低下したのに対して、アシノンは12%しか低下しませんでした。そのため制酸薬とH2ブロッカーを併用する場合は、アシノンを選択することが有用かもしれません。または服用時間をずらすという選択肢もあるかもしれません。