おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

下剤 血圧 降圧剤

高血圧症に対する酸化マグネシウムの効果について

投稿日:2018年7月23日 更新日:

高血圧症に対する酸化マグネシウムの効果について

 

高血圧症に対するマグネシウムの効果に関しては「効果がない」と記している報告もあれば、「マグネシウムは血圧をさげることができる」と報告しているものもあります。2018年5月「酸化マグネシウムは本態性高血圧症に効果がある」と記された報告をみつけましたので、読んでみました。

グーフィス錠の慢性便秘症に対する効果について

1990年代に「マグネシウムは血管平滑筋を弛緩することで血管を広げて血圧を下げる効果があるのでは?」と報告されて以来、高血圧症に対する効果が検証されてきましたが、いまだ「血圧を下げる」「効果なし」に関してさまざまな報告がなされています。

2018年5月に「血圧を下げる派」の報告がありましたので、その詳細と私の感想を記します。

 

被験者: 68人(男性:27人、女性:41人)

服用している高血圧の薬

ACE阻害薬:23人(48%)

Ca拮抗薬:35人(73%)

チアジド系利尿薬:24人(50%)

β遮断薬:35人(73%)

ARB:10人(21%)

下剤として処方される漢方薬について

上記の降圧剤を服用している方を対象として1日300mgのマグネシウムを服用することで、その降圧効果を確認しています。

 

結果

1ヶ月間マグネシウム製剤を300mg服用したことによる血清中のマグネシウム濃度を比較した結果、有意な差は見られませんでした。

開始時:0.858mmol/L(0.74-0.94)

1ヶ月後:0.47mmol/L(0.69-0.96)

妊婦が下剤を服用したときの母乳育児への影響について

一方で血圧の変動に関しては1ヶ月後に有意な低下が確認されました。

収縮期血圧

開始時:139.74mmHg

1ヶ月後:130.77 mmHg

 

拡張期血圧

開始時88.05mmHg

1ヶ月後:82.19mmHg

 

平均血圧

開始時:102.13mmHg

1ヶ月後:94.07mmHg

筆者らは、この結果に対して、マグネシウに服用による末梢動脈の拡張作用が全身の血管抵抗正を改善することで血圧低下をもたらした可能性を示唆しています。

 

これに似たような報告としては1日370mg程度のマグネシウムを摂取することで平均血圧が2〜3mmHgほど下がると報告しているもの、370mg以上のマグネシウムを摂取した群は、370mg未満のマグネシウムを摂取した群よりも降圧効果が大きかったなどの報告も上がっていました。

 

私の感想なのですが、医薬品にはしっかりとした効き目が確認されている降圧剤がたくさんありますので、それらを使わずに「効くかどうかわからない“マグネシウム”」を降圧目的で使用しなくてもいいのかなぁと思います。

アムロジピン服用時の24時間効果について

hypertensio-mag

hypertensio-mag

ただし、300mg程度の低用量マグネシウムに“降圧作用”があるかもしれない。マグネシウムは用量依存的に(飲めば飲むほど)血圧が下げるかもしれないということは念頭に入れておく必要があります。

 

なぜならば、15年ほど前であれば酸化マグネシウムなどの下剤の服用をいったん開始すると継続して飲み続けるケースが多かったように思うのですが、最近はアミティーザ・グーフィス・リンゼス・スインプロイクなど新しい作用機序の下剤が次々と発売に至っています。その結果として

 

1日2g服用していた(2g/3✕)酸化マグネシウムを中止(または減量)してグーフィスに変更

といった処方の可能性も十分に考えられる時代となりました。あくまで可能性という程度の話ですが、酸化マグネシウムに降圧作用があったと過程した場合、酸化マグネシウムを中止して他の下剤を服用した結果、血圧が上昇する可能性がゼロではないということになるからです。

セララの降圧作用を患者様へお伝えする

まとめ

  • 酸化マグネシウムに降圧作用があるかどうかはわからない

 

・マグネシウムは低用量(330mg)程度でも降圧効果があるかもしれない

 

  • 酸化マグネシウムを中止して、他の下剤が開始となった場合は下剤の説明をすると同時に酸化マグネシウムを中止することよって血圧が上昇する可能性がなくはないということを頭にいれておく

マグネシウム製剤と降圧作用について

ARBの違いを代謝経路、インバースアゴニスト、尿酸低下作用、インスリン抵抗性改善作用などの複合要素から検討する

-下剤, 血圧, 降圧剤
-ききめ, マグネシウム, 下がる, 下剤, 血圧, 酸化マグネシウム, 降圧作用, 高血圧

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

voltaren-suppo-size-suppository

小さい坐薬にしてください(ボルタレンサポ50mgのサイズについて)

目次 小さい坐薬にしてください(ボルタレンサポ50mgのサイズについて)坐薬のサイズについてまとめ追記 小さい坐薬にしてください(ボルタレンサポ50mgのサイズについて)   ボルタレンサポ …

HYDROCHLOROTHIAZIDE

ヒドロクロロチアジドの累積服用量と基底細胞癌・扁平上皮癌の発症リスクについて

ヒドロクロロチアジドの累積服用量と基底細胞癌・扁平上皮癌の発症リスクについて   日本国内での使用量はそれほど多くありませんが、海外で利尿・降圧剤として頻用されているヒドロクロロチアジドにつ …

sankamagunesiumu-jyusitusankamagunesiumu

重質酸化マグネシウムと酸化マグネシウムは同じ製品です

目次 重質酸化マグネシウムと酸化マグネシウムは同じ製品ですまとめ 重質酸化マグネシウムと酸化マグネシウムは同じ製品です   重質酸化マグネシウムも酸化マグネシウムも同じ「酸化マグネシウム」製 …

CCB-grapefruit

グレープフルーツジュースのように“食べてはいけない柑橘類”の覚え方

グレープフルーツジュースのように“食べてはいけない柑橘類”の覚え方 Ca拮抗薬やリピトール、プレタール、テグレトール、ハルシオンなどの薬はグレープフルーツジュースに含まれる“フラノクマリン類”により効 …

IBS-C-linzess-tablets

便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)治療薬「リンゼス錠0.25mg(リナクロチド)」とアミティーザの違いについて

目次 便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)治療薬「リンゼス錠0.25mg(リナクロチド)」とアミティーザの違いについてリンゼス錠0.25mgの作用部位である腸管上皮細胞上に発現しているCG-C受容体につ …