小児科の粉薬をすばやく計量する方法を検討する
最近、小児科の門前薬局で勤務する頻度が増えておりまして、どのようにすれば粉薬をすばやく調剤することができるかについて日々考えておりました。
小児科の薬は症状や年齢によって、薬の種類や量が異なるため、予め出そうな薬を作っておくことができません。さらに兄弟で同時に粉薬が処方されることが多々あるため、それぞれの粉薬に名前を印字しなければならないので、処方箋を受け取ってから、いかにすばやく粉薬を計量して分包機にセットするかがポイントになるなぁと感じました。
私が調剤するケースが多い粉薬は
- トミロン小児用細粒
- ビオフェルミンR散
- アスベリン散10%
- カルボシステインDS50%細粒
- テルギンGドライシロップ
上記の5剤でした。風邪をひいたときの処方日数は3~7日程度が多いものですから、上記の粉薬はどれも3~10g程度をピタッと計量する作業を行うことになります。
私の計量方法は、例えば5gの粉薬を計量する場合、ざっくりと5gあたりまで粉薬を計量して、その後5gぴったりとなるように薬さじを使って微調整をしていく感じで作業しておりました。
粉薬の計量スピードをアップさせるために、
Ⅰ:ざっくりと◯g計量する作業
Ⅱ:微調整をする作業
という2つの作業をそれぞれ見直してみました。
Ⅰ:ざっくりと◯g計量する作業
ざっくりと◯g計量する場合、粉薬が入っている容器から粉薬をダイレクトに計量皿に落とし入れる方法と、薬さじで1杯ずつ計量皿に入れる方法があります。粉をダイレクトに計量する方法は、粉薬の種類(散剤・細粒・ドライシロップ)によって力加減が変わってしまうため、小児の薬に関しては、後者の“薬さじで1杯ずつ計量皿に落とす方法”で作業することにしました。
(小児の薬は1度に計量する量が少ないため薬さじで1杯ずつの作業でもスピードが落ちないと感じたためです。一度のに大量の粉を計量する場合は除きます。)
私の場合、何度か試してみたところ、散剤を薬さじで1杯すくうと大体3g程度、細粒やドライシロップを薬さじで1杯すくうと2~2.5gを計量することが多いことがわかりました。
(上記の作業は感覚なので、全く意識せずに薬さじで1杯すくうと全く異なる量を計量することがありました。そのため、意識して同程度の粉薬をすくい取る感覚を身に着けてみようかなと思いました。)
〜ざっくり◯gを計量する方法〜
・薬さじで1杯をすくい取る感覚を身につける。
- ◯gを計量する場合、目標とする◯gを超えない程度に“ざっくりと薬さじで2~3回粉薬を計量皿に入れます。薬さじ1杯分のを計量するときは自分の感覚を大切にします。
- 1人薬剤師の店舗なので、薬が入っている容器に「薬さじ1杯3g」とテプラで貼ってもいいかなぁと感じました
(◯gより多めに計量してから、多い分を減らすという調剤方法もあるかとは思うのですが、今回は少なめに計量して追加するという方法を採用しました。)
Ⅱ:微調整する作業
例えば5gを計量するために、上記の方法でざっくりと4.7g計量した場合、残り0.3gを追加で量りとるわけですが、その際の作業を見直してみましました。
私の場合、計量皿の上で粉薬が入っている容器を80〜90度くらいに傾けて、その入り口付近に薬さじを入れて粉を少しずつ計量皿に落とし入れるという作業で0.3gを計量しておりました。
その際、薬さじから少しずつ落ちる粉を見たほうがいいのか、それとも電子天びんのデジタル表示(4.7から少しずつ5.0gに近づいていく様子)を見たほうがいいのか、どちらがいいのかなぁと感じました。
何度か試した結果ですが、私は前者(薬さじから少ずつ落ちる粉をみる)方が作業が早いように感じました。この理由としては、電子天びんのデジタル表示を見てしまうと、「◯g」という結果が目に入るのですが、どの程度の粉を計量皿に落とし入れたかという過程がわからないため、自分の中の感覚が蓄積されない気がしました。一方、目で薬さじから落ちていく粉を見ると、感覚として◯g程度入ったかなぁと感じることができるため、慣れてしまえばトータルの作業スピードは早くなる気がしました。
〜最後の微調整する作業〜
ラスト0.3gを計量する際、薬さじから落ちていく粉を見て感覚として0.3gを計量できたかなぁと思ったところで、電子天びんのデジタル表示を見てみる。電子天秤のデジタル表示を見ながら計量しない。
最後に
上記のルールで1週間、粉薬の調剤を行ってみました。すると意識として粉薬の処方箋を受けるたびに「計量するのが楽しみ」という気持ちになる気がしております。少なくとも以前よりは粉薬に対する興味が湧いているため、調剤する意気込みが上がったように感じます。実際の調剤スピードに関してはわかりませんが、薬さじで薬をすくい取る回数は減っている感覚があるので、現状のモチベーションを続けていけば、業務改善につながる気がしております。