おじさん薬剤師の日記

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認知症

アルツハイマー病と代謝障害について

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アルツハイマー病と代謝障害について

アルギニン欠乏とアルツハイマー病の関係について(仮説)

 

アルツハイマー病の病態はタウタンパク質およびアミロイドβが脳内にたまるという特徴があります。しかし、タウタンパク質およびアミロイドβは原因ではなく、発症後の“特徴“と考えると、アルツハイマー病の発症には他の要因があるのでは?という仮説を提唱している報告がありましたので概要を以下に記します。

 

アルギニン(アミノ酸の一つ)は生理活性物質NO(一酸化窒素)の材料です。アルギニンから作られたNOには抗酸化作用があるため、攻撃因子から細胞を保護することができます。またNOは血管拡張作用がありますので、神経細胞への血液供給を改善し、酸化ストレスを低下させることができます。またNOは神経細胞への過剰なCa2+の流入を抑えることで、過剰興奮(毒性)を抑える効果も報告されています。

 

アルツハイマー病の患者さんの脳では、一酸化窒素合成酵素(NOをつくる酵素)の減少によるNO産生低下が報告されていることから、NO減少により脳細胞の酸化ストレス・血管収縮がアルツハイマー病の発症に寄与するのではという仮説があります。

 

分岐鎖アミノ酸とアルツハイマー病の関係について

 

分岐鎖アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)は骨格筋・脂肪組織・脳で代謝をうけてグルタミン酸+分岐鎖αケト酸に代謝されます。グルタミン酸は脳内の主要な興奮神経伝達物質であり、その濃度は血漿中よりも脳内で高く維持されています。グルタミン酸は、そのままの形では血液脳関門(血液と脳の組織液との間の物質を交換する場所)を通りにくいのに対して、その前駆体(前段階)である分岐鎖アミノ酸は通過することができます。

 

脳内のグルタミン酸の少なくとも1/3を分岐鎖アミノ酸が供給しているという報告もあり、分岐鎖アミノ酸は中枢神経系の興奮と抑制のバランス保持において非常に有益なエネルギー供給源となります。

 

数百人規模が参加した試験によると、血漿中のバリン(分岐鎖アミノ酸の一つ)の低下と認知機能の低下が相関すると報告したデータがありました。マウスレベルの研究で分岐鎖アミノ酸とアルツハイマー病との関連が研究されております。

アルツハイマー病と代謝障害について

アルツハイマー型認知症におけるタウタンパク質の影響について

 

アルツハイマー型認知症の原因物質として脳内のアミロイドβの蓄積が確認されて、神経細胞が壊死し認知症が進行するという“アミロイドβ仮説”をもとにして、アミロイドβの合成を阻害する薬の開発が相次いで“とん挫”している現状があります。

tau-Aβ

tau-Aβ

そこで今回は、アミロイドβタンパク質以外のアルツハイマー型認知症の原因物質と考えらえている“タウタンパク質”について調べてみました。

タウタンパク質

アルツハイマー型認知症の患者さんの脳内に蓄積する異常たんぱく質の順番としては、まずはじめてにアミロイドβの濃度が徐々に高くなっていきます。それに続いてタウタンパク質の濃度も上昇することが確認されています。この濃度の上昇順番から考えて、アミロイドβタンパク質がアルツハイマー病の引き金となっているのでは?と示唆されアミロイドβタンパク質の阻害剤に関する研究開発が先行されましたが、研究がとん挫している現状です。

 

一方、タウタンパク質とアルツハイマー病との関連については、アミロイドβタンパク質が脳内に広がった後、側頭葉から新皮質へ神経原線維変化として確認されます。脳内の神経伝達不全・喪失・神経変性はタウ凝集体の病理的な広がりとともに現れることが海馬や皮質の画像解析で示されたおります。

 

興味深いことに、認知症機能障害の発症及び進行はタウタンパク質の蓄積および海馬の体積喪失とは相関しているのに対して、アミロイドβの沈着とは相関しておりません。

 

タウタンパク質を標的とした治療の開発

 

タウタンパク質の異常凝集をターゲットとして2016年にLMTMと呼ばれる化合物について第三相試験が行われました。LMTMを投与した結果、タウタンパク質の凝集・蓄積を防止できたものの、プラセボと比較して認知症やADLの低下率について差は見られませんでした。また既存で脳に沈着しているタウタンパク質を減少させたかについて試験は行われませんでした。

 

2015年にタウタンパク質のリン酸化を阻害する治療薬“GSK-3阻害剤”を使用した臨床研究では、軽度から中等度のアルツハイマー病に対して投与されましたが、プラセボと比較して認知機能の低下の割合はかわりなかったと報告されています。

 

上記の方法では新規で作られるタウタンパク質の線維化・凝集を制御することを目的としているものの、既存で脳に広がっているタウタンパク質をどうこうする働きは期待できないため、現在ではタウタンパク質をターゲットとしたモノクロナール抗体の開発が進んでいます。

 

2019年現在ではBIIB092というタウタンパク質に対するモノクロナール抗体を軽度認知症患者528名へ毎月注射して被験者の体内にタウを標的とした免疫ができるかどうかが米国で治験が進んでいます(トライアルは2020年まで)

タウタンパク質に対するモノクロナール抗体“BIIB092”について

 

-認知症
-アルツハイマー病, タウ, タンパク質, 凝集, 原因

執筆者:ojiyaku


  1. […] アルツハイマー型認知症におけるタウタンパク質の影響について […]

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