ジプレキサ(先発)とその後発医薬品であるオランザピン(ジェネリック)との適応症違いについて
ジプレキサ錠およびジプレキサザイディス錠の後発医薬品(ジェネリック医薬品)であるオランザピンが2016年6月に発売予定となりました。毎回のことながら後発品が発売されると適応症違いの話題がでてきます。
ジプレキサ(内服)の適応症を確認してみると
1:統合失調症
2:双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善
という2つの適応症を持っています。
ジプレキサ(オランザピン)やセロクエル(クエチアピン)を飲むと太る理由
適応症2番目「双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善」がある薬は国内でジプレキサ(内服)だけです。2012年2月に日本イーライリリーが、この適応症を取得しています。双極性障害における「躁症状を改善」する薬はありますが、「躁症状およびうつ症状」の両方に対して改善効果の適応をもつ薬はジプレキサのみです。
国内で双極性障害云々に関する適応症をもつ薬剤を確認してみると
・エビリファイ:双極性障害における躁症状の改善
・ジプレキサ(内服):双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善
・ラミクタール:双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制
という3剤があります。厳密には「双極性障害における」以降の文章はすべて異なっていますので、この3剤は適応症といえます。。ジプレキサ(内服)が一番双極性障害時の守備範囲が広いイメージがもてると思います。
さて、2016年6月に発売されるオランザピン(ジェネリック医薬品)には
・統合失調症
という適応しかありません。
ジェネリックメーカーに確認したところ、双極性障害の適応申請を2月におこなっていることが分かりましたので、7~8月には適応症の追加申請がなされるみとおしとなっています。</del>
6月17日(金曜日)の発売日時点で、タカタ、アメル、ファイザーなど複数の品目に双極性障害の適応症が追加されていることを確認しました。
プラビックスのジェネリック医薬品が発売した時は、AG薬とそれ以外のジェネリック医薬品で適応症が異なりました。そのため採用薬選定およびその対応にはあれこれ頭を悩ませた記憶があります。
今回発売されるオランザピンにはAG薬はありませんので、発売される全てのオランザピン(ジェネリック医薬品)の適応症は「統合失調症」だけです。
そのため「適応症違いの後発医薬品を採用するか、しないか」という薬局ルールがあれば、それに準じる感じになるかと思います。また、後発医薬品が発売されるたびに同様のケースが想定されますので、その対応も薬局ルールに盛り込んでおくと対処しやすいと感じます。
神奈川県における適応症不一致によるレセプト査定の内規(平成23年後発医薬品使用促進協議会議事録 P.13~)
また、2016年4月からは一般名処方せんの割合が増える可能性が考えられます。ジプレキサ錠またはジプレキサザイディス錠が一般名で処方された場合は、特に適応症について考える必要はありませんので、先発医薬品名で処方された場合のみ「適応症」をどのように意識するかがポイントとなりそうです。
現状ではプラビックスやジェイゾロフト、アリセプトなどが先発とジェネリック医薬品で適応症が異なる医薬品ですので、それらに類する感じの対応となることが予想されます。
「適応違いの後発医薬品」に関する話題をいくつか掘り下げてみると、平成23年に行われた第3回後発医薬品使用促進協議会の議事録では
支払基金の審査委員会では
「薬局がジェネリックに変更したことによって適応症不一致となった場合でも、医療機関に差額をもとめるようなことはしないということが内規できまっているそうです。少なくとも神奈川県に関しては、査定はしないそうです。」
「突合点検が開催されても、特段規定されるわけではなく、内規通りの取り扱いとなります」
「なお、3次審査となると国に上がって審査することになります。」
という文章が残っています。
具体的な県名や最終責任者(3次審査:国)が取り上げられているため、裏事情が少し垣間見える文章となっていて、「適応症不一致」に関する薬局ルール作成の手助けとなる文章かと思います。ただ、平成23年度の議事録ですので、現時点や今後の流れの参考とするかどうかは読み手の判断になる気もします。