おじさん薬剤師の日記

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オピオイド鎮痛薬 痛み止め

トラマドールを服用している患者さんの死亡率に関する報告

投稿日:2019年3月26日 更新日:

トラマドールを服用している患者さんの死亡率に関する報告

 

日本国内ではトラマドール(トラムセット)を小児に使用することはありませんが、(小児への適応なし)米国でも2017年5月に呼吸抑制の副作用による死亡例が報告されているため12歳未満の小児に対してトラマドールの使用が禁止されたという経緯がありました。

 

2019年に入り、トラマドールを服用している成人に関して死亡率が高いという内容の報告が2つありましたのでその概要を記します。

2019年1月10日トラマドール服用患者における全死亡率(韓国)

 

被験者:19443人

トラマドール服用群の死亡率は、飲んでない群と比較して1.77倍死亡率が高い

 

75歳以上のトラマドール服用群では2.61倍、腎疾患群では2.9倍、肝疾患群では2.09倍死亡リスクが高まる

トラマドール服用患者における死亡リスク(韓国)

2019年3月変形性関節症患者におけるトラマドール服用群の全死亡率(イギリス)

 

被験者:50歳以上の変形性膝関節症患者(平均年齢70.1歳)

トラマドール服用群(44451人)

ナイキサン服用群(12397人)

ボルタレン服用群(6512人)

セレコックス服用群(5674人)

エトリコキシブ服用群(2946人)

コデイン服用群(16922人)

 

調査方法

トラマドールと他の5つの鎮痛薬を比較して、トラマドール服用後1年以内の全死亡率を比較した

「トラムセット配合錠は空腹時の服用を避ける」という添付文書の表記について

結果

トラマドールVSナイキサン

トラマドール服用群の年間死亡人数:23.5人/1000人

ナイキサン服用群の年間死亡人数:13.8人/1000人

トラマドール服用群の死亡率が1.71倍高い

 

トラマドールVSボルタレン

トラマドール服用群の年間死亡人数:36.2人/1000人

ボルタレン服用群の年間死亡人数:19.2人/1000人

トラマドール服用群の死亡率が1.88倍高い

 

トラマドールVSセレコックス

トラマドール服用群の年間死亡人数:31.2人/1000人

セレコックス服用群の年間死亡人数:18.4人/1000人

トラマドール服用群の死亡率が1.70倍高い

トラマドールVSエトリコキシブ

トラマドール服用群の年間死亡人数:25.7人/1000人

エトリコキシブ服用群の年間死亡人数:12.8人/1000人

トラマドール服用群の死亡率が2.04倍高い

 

トラマドールVSコデイン

トラマドール服用群の年間死亡人数:32.2人/1000人

コデイン服用群の年間死亡人数:34.6人/1000人

トラマドールとコデインでは死亡率に有意差なし

トラムセット配合錠のジェネリック“トアラセット配合錠”のメーカー比較

筆者らは結論として50歳以上の変形性膝関節症患者では、NSAIDSと比較してトラマドールの初期治療が1年間の追跡調査における高い死亡率と関連している。軽傷の疼痛患者に対するオピオイド(トラマドールやコデイン)の使用には注意が必要である。死因にトラマドールが直接関連していると判断するには、さらなる調査が必要と記されています。

変形性膝関節症患者におけるトラマドール服用による死亡率

 

国内の整形関連の痛み止めには様々な薬がありますが、NSAIDSを長期間服用すると消化管障害や腎障害のリスクが高くなるというイメージがありますが、今回のトラマドールの報告は服用開始から1年後の死亡率が2倍になるという報告です。

 

私のイメージですが、整形領域の処方ではNSAIDSを長期間服用し続けると腎障害や消化管障害のリスクが高くなるため、その代替薬としてリリカやサインバルタ、トラムセット、カロナールなどに代わることが多いように感じております。NSAIDSから他剤へ変更する際のイメージは”NSAIDSの長期間服用によるリスクを軽減させるため”という処方意図があります。

 

今回報告があったトラマドールによる死亡リスクは短期間(1年服用)のよる全死亡リスクですので、上記の長期間服用リスクとは話が異なります。

 

トラマドールと全死亡リスクに関しては、まだはっきりとした見解はでていませんので、今後の報告に注視する感じでしょうか。

-オピオイド鎮痛薬, 痛み止め
-NSAIDS, トラマドール, トラムセット, 変形性膝関節症, 死亡率, 比較

執筆者:ojiyaku


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