令和8年熊本地震|保険証なしで受診や薬の受取が可能!厚労省の特別措置を徹底解説

令和8年熊本地震|保険証なしで受診や薬の受取が可能!厚労省の特別措置を徹底解説

令和8年熊本地震で被災された皆様へ

令和8年7月28日に発生した熊本地震により、多くの方が避難を余儀なくされ、今なお不安な日々を過ごされていることと存じます。謹んでお見舞い申し上げます。

災害時、急いで避難する中で「マイナ保険証」や「従来の健康保険証」、「お薬手帳」などを持ち出すことができなかった方は少なくありません。また、避難所に身を寄せる中で、持病の薬が切れてしまったり、急な体調不良に見舞われたりすることもあるでしょう。

「保険証がないから病院に行けない」「全額自己負担になるのではないか」と不安に感じ、受診をためらってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、どうぞご安心ください。厚生労働省は、今回の震災を受け、被災者が保険証や受給者証を持っていなくても、適切な医療を受けられるようにするための特例措置を発表しました。

本記事では、厚生労働省から出された事務連絡(通知)に基づき、被災者が医療機関や薬局でどのように対応すればよいのか詳細に解説します。

以下に熊本県で発生した震災の被災者に係るマイナ保険証の提示不要に関するPDFファイルを添付します。

 

熊本県被災者に係るマイナ保険証の提示不要

 


1. 保険証・マイナ保険証がなくても受診できる「特例措置」

通常、病院やクリニックを受診する際には、健康保険証やマイナ保険証を窓口で提示する必要があります。しかし、今回のような大規模災害においては、厚生労働省の通知により、「保険証を持っていなくても、窓口で特定の情報を伝えることで受診が可能」となっています。

窓口で伝えるべき「4つの情報」

保険証を紛失したり、家に置いたまま避難したりした場合でも、受付で以下の情報を伝えるだけで、保険診療(通常通りの自己負担割合での受診)を受けることができます。

  1. 氏名(フルネーム)

  2. 生年月日

  3. 連絡先(電話番号など。避難先の連絡先でも可)

  4. 加入している保険の種類に応じた情報

    • 会社員など(被用者保険)の方:勤務先の事業所名

    • 国民健康保険や後期高齢者医療制度の方:お住まいの住所

    • 国民健康保険組合(建設国保や医師国保など)の方:組合名

これらの情報を口頭で伝えることにより、医療機関側が後から保険の資格を確認できる仕組みになっています。そのため、「今は手元に何もないから」と諦める必要はありません。

マイナ保険証や「資格確認書」がなくても大丈夫です

近年普及が進んでいるマイナ保険証についても同様です。カードリーダーが使えない状況や、マイナンバーカード自体を紛失してしまった場合でも、上記の情報を伝えることで受診が可能です。また、保険証の代わりに発行される「資格確認書」についても、提示できない場合の救済措置がとられています。

熊本震災マイナ保険証不要


2. 公費負担医療(受給者証)の取り扱いについて

難病や障害、特定の疾患などで「公費負担医療受給者証」をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。これらについても、今回の震災に伴う特例が適用されます。

受給者証がなくても継続して治療を受けられます

通常、医療費の助成を受けるためには受給者証の提示が必要ですが、震災の影響で提示できない場合でも、氏名や疾患名を伝えることで、これまでと同様の助成を受けながら受診することができます。

公費負担医療を担当する部局からは、別途詳細な事務連絡が出されていますが、基本的な考え方は「被災者の健康を最優先し、書類がなくても必要な医療を継続する」というものです。特定医療費(指定難病)や小児慢性特定疾病など、継続的な治療が不可欠な方々にとって、この措置は非常に重要な守りとなります。


3. 調剤薬局での受付とお薬の受け取り

病院を受診した後の「お薬の受け取り」についても、厚生労働省の通知で柔軟な対応が示されています。被災地の薬局においても、患者さんの安全を確保しつつ、薬が途切れないような工夫がなされています。

薬局の窓口で伝えること

病院と同様に、お薬を受け取る際にも保険証を提示できない場合は、氏名、生年月日、住所、連絡先などを伝えてください。また、お薬手帳を紛失してしまった場合は、覚えている範囲で「普段飲んでいる薬の名前」や「治療中の病気」を薬剤師に伝えてください。

処方箋がない場合の緊急対応

震災により、かかりつけの病院に行けず、処方箋も持っていないというケースも考えられます。このような場合、原則としては医師の診察が必要ですが、やむを得ない理由により医師の診察を受けることが困難な場合には、薬剤師が患者さんの薬歴やお薬手帳、あるいは服用中の現物を確認することで、緊急的に薬をお渡しできる場合があります。

ただし、この場合は事後に医師の処方箋が必要になるなどの条件があるため、まずは最寄りの開いている薬局で相談してください。

処方箋が無い場合の対応の詳細を以下に記します。

被災地における保険調剤の取扱い

被災した患者が処方箋を持参せずに調剤を求めてきた場合については、事後的に処方箋が発行されることを条件として、以下の要件のいずれにも該当する場合には、保険調剤として取り扱って差し支えない。

ア 交通の遮断、近隣の医療機関の診療状況等客観的にやむを得ない理由により、医師の診療を受けることができないものと認められること。

イ 主治医(主治医と連絡が取れない場合には他の医師)との電話やメモ等により医師からの処方内容が確認できること。

また、医療機関との連絡が取れないときには、服薬中の薬剤を滅失等した被災者であって、処方内容が安定した慢性疾患に係るものであることが、薬歴、お薬手帳、包装等により明らかな場合には、認めることとするが、事後的に医師に処方内容を確認するものとすること。

分割調剤の実施

災害による物流の混乱などで、薬局の在庫が不足することがあります。その際、一度に全ての期間分の薬をお渡しするのではなく、数日分ずつに分けてお渡しする「分割調剤」が行われることもあります。これは、一人でも多くの被災者に必要な薬を届けるための協力的な措置です。


4. 避難所などでの医療支援と費用の考え方

今回の地震を受けて、被災地にはDMAT(災害派遣医療チーム)やJMAT(日本医師会災害医療チーム)、日本赤十字社の救護班などが派遣されています。

避難所での応急処置は基本的に「災害救助法」

避難所などで巡回している医療チームから受ける応急的な処置については、「災害救助法」に基づいて行われるため、原則として患者さんの自己負担(窓口での支払い)は発生しません。

一方で、巡回中の医師が、普段からその医師の外来に通っている患者さんに対して、偶然避難所等で診察や処方を行った場合などは「保険診療」として扱われることがあります。このあたりの線引きは複雑ですが、避難所での緊急的な医療提供については、被災者の金銭的負担を最小限にする配慮がなされています。


5. 被災者が知っておくべき「受診の心得」

混乱の中での受診となりますが、少しでもスムーズに適切な医療を受けるために、以下のポイントを心に留めておいてください。

  1. 正確な自己申告を:保険証がない分、お名前や生年月日、住所、職場の名前は非常に重要な情報になります。もし可能であれば、メモに書いて持っておくと受付がスムーズです。

  2. お薬の現物があれば持参する:お薬手帳がなくても、今飲んでいる薬の「シート(外装)」や、残っている薬そのものがあれば、医師や薬剤師は非常に正確な情報を得ることができます。

  3. 既往歴を伝える:アレルギーの有無や、過去にかかった大きな病気(心臓病、糖尿病、腎臓病など)は必ず伝えてください。

  4. 無理をしない:避難生活によるストレスや環境の変化は、自覚している以上に体に負担をかけます。少しでも「おかしい」と感じたら、早めに医療チームや救護所に相談してください。


6. 医療機関・薬局関係者向けの留意点

今回の厚労省の通知では、医療従事者に対しても「事務的な手続きで被災者を困らせないように」という強いメッセージが込められています。

例えば、レセプト(診療報酬明細書)という医療費の請求書を作成する際、患者さんの保険番号が分からない場合は「不詳」と記載して請求する特別な方法が認められています。また、電子的なシステムが使えない場合に備えて、紙のレセプトでの請求も容認されています。

このように、裏側の手続きは国と医療機関の間で柔軟に調整されますので、患者さん自身が「手続きが大変そうだから申し訳ない」と遠慮する必要は全くありません。


7. まとめ:命を守ることを最優先に

令和8年熊本地震のような未曾有の災害時において、最も大切なのは「命を守ること」と「健康を維持すること」です。

今回の厚生労働省の通知(事務連絡)をまとめると、以下のようになります。

  • マイナ保険証や従来の保険証、受給者証がなくても受診・調剤が可能。

  • 窓口で「氏名」「生年月日」「連絡先」「住所や勤務先」を伝えるだけで良い。

  • 公費負担医療の利用者も、書類なしで継続して助成を受けられる。

  • 避難所での応急処置や巡回診療は、原則として被災者の負担なし。

  • 処方箋がなくても、緊急時には薬局で相談することで薬を確保できる可能性がある。

  • 訪問看護や介護サービスも、避難先で継続して受けられる。

地震発生後、しばらくは混乱が続くことが予想されます。医療機関も被災しながら懸命に診療を続けている場合があります。しかし、国を挙げて「被災者が医療からこぼれ落ちないための仕組み」が作られていますので、どうか安心して、必要なときは躊躇せずに医療を受けてください。

最後になりますが、被災地の一日も早い復興と、皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。

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