2027年から薬代が変わる?OTC類似薬の追加負担ルールと例外を解説

2027年から薬代が変わる?OTC類似薬の追加負担ルールと例外を解説

2027年3月から、私たちの医療費に関わる大きな制度変更が予定されています。それが「OTC類似薬(市販薬と似た効果を持つ医療用医薬品)の保険給付の見直し」です。

これまで病院で処方してもらえば安く済んでいた薬が、2027年以降は「ドラッグストアで買えるものと同じ成分」であれば、通常の窓口負担に加えて薬剤費の25%分を「特別の料金」として自己負担するというルールが導入されます。

現在、厚生労働省では「どの薬が対象になるのか」「どういう患者さんなら追加負担を免除されるのか」という具体的なルール作りを進めています。2026年7月22日に開催された第3回検討会の資料をもとに、現時点でわかっている内容をもわかりやすく解説します。

2026年7月22日第3回OTC類似薬の保険給付に関する検討会

1. なぜ「薬代」が追加でかかるようになるのか?

日本の公的医療保険制度は、非常に充実しています。しかし、高齢化に伴う医療費の増大により、制度を維持することが難しくなっています。そこで、「自分でも治せる軽い症状(セルフメディケーション)」については、できるだけ市販薬を活用してもらい、保険財源を重症な病気の治療に優先的に回そうという考え方が強まりました。

今回の新制度では、病院で処方される薬のうち、ドラッグストアで購入できる「OTC医薬品(市販薬)」と成分や効果がほぼ同じもの(77成分、約1100品目)について、追加の負担を求めることになりました。

追加負担の額は、「薬価(薬の公定価格)の25%相当」となる見込みです。これは通常の3割負担などの「窓口負担」に上乗せされる形で、患者が全額自己負担する仕組み(選定療養)になります。

2. 湿布や塗り薬は「原則、追加負担あり」へ

今回の検討会で特に注目されたのが、湿布などの「鎮痛消炎剤の外用薬」と、ヒルドイドなどの「保湿剤」の扱いです。これらは利用者が非常に多く、制度の影響を最も受ける分野です。

鎮痛消炎剤(湿布・塗り薬)の扱い

ロキソニンやボルタレンといった成分を含む湿布や塗り薬について、厚生労働省は「通年(1年中)で処方されている場合であっても、追加負担の対象とする」という案を示しました。

その理由は以下の通りです。

  • 患者の主観に左右されやすい: 痛みがあるかないかは、医師が客観的に判断するのが難しく、患者さんの「まだ痛いから湿布が欲しい」という希望で漫然と処方され続けているケースが多い。

  • ガイドラインの指摘: 学会のガイドラインでは、慢性的な痛みに対して湿布などの外用薬をずっと使い続けることの効果はそれほど大きくなく、漫然とした長期使用は避けるべきだとされています。

たとえ1年中使っていても、「疾患管理のために医学的に絶対必要」という明確な線引きが難しいため、一律で追加負担の対象にしようという流れになっています。

保湿剤(ヘパリン類似物質・尿素など)の扱い

ヒルドイド(ヘパリン類似物質)などの保湿剤についても厳しい案が出ています。

  • アトピー性皮膚炎の方は対象外: 医学的なエビデンスに基づき、アトピー性皮膚炎の治療として継続使用が必要な場合は、追加負担を求めない。

  • それ以外(単なる乾燥肌など)は追加負担あり: 老人性乾皮症や、単なる肌の乾燥、手指のアレなどのために処方される場合は、追加負担の対象となります。

ドラッグストアで保湿剤を自分で買って使っている人と、病院で処方してもらっている人との間の「公平性」を保つため、医学的に強く推奨される病気以外は自己負担を増やす方針です。

OTC類似薬の給付について

3. 「追加負担を求めない」のはどんなケース?

すべての人が追加負担を求められるわけではありません。医師が「医療上、どうしてもこの薬を使い続ける必要がある」と判断した場合は、これまで通り(追加負担なし)で処方されます。

ただし、その「必要性」の判断基準が今回明確に示されました。

「6カ月ルール」の導入案

初診ですぐに「この人はずっと必要だから追加負担なし」と決めるのは、医師によって判断がバラつく可能性があります。そのため、厚労省は以下の条件を提示しました。

  • 原則として6カ月程度の診療経過を確認する: 一定期間、症状が続いているか、薬を使い続けているかを確認した上で、今後も1年を通じた継続使用が必要だと医師が判断した場合に限り、追加負担の免除(保険給付の継続)を認める。

つまり、初めて行く病院ですぐに「追加負担なし」にしてもらうのは難しくなる可能性があります。

処置や手術の一環として出る薬

一時的な強い痛みや感染予防のための薬については、追加負担は求められません。

  • 対象となる例: 歯を抜いた後の数日分の痛み止め、手術後の化膿止め、ひどい火傷の処置後の痛み止めなど。

  • 対象とならない例: 鼻の処置をしたついでに、元々持っているアレルギー性鼻炎の薬をもらう場合などは、処置とは関係ないため追加負担の対象となります。

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4. 成分ごとに決まる「追加負担の有無」

資料では、代表的な薬について「市販薬の効果と一致するかどうか」が細かく精査されています。

痰切り薬(カルボシステイン)

  • 風邪や気管支炎: 市販薬の「たん」という効能と一致するため、追加負担の対象。

  • 慢性副鼻腔炎(蓄膿症): 市販薬にはない効能ですが、鼻水が喉に流れて「たん」として自覚されることが多く、区別が難しいため、これも追加負担の対象とする案が出ています。

口内炎の薬(トリアムシノロン)

  • 市販薬は「アフタ性口内炎」に限定されていますが、病院で処方される「難治性の口内炎」や「舌炎」も、結局は同じ炎症を抑えるステロイド治療であるため、追加負担の対象とする案となっています。

ヘルペスの塗り薬(アシクロビル・ビダラビン)

  • 市販薬は「口唇ヘルペスの再発」に限定されていますが、初発のヘルペスであっても、外用薬としての目的は共通しているため、追加負担の対象とする案です。

乾癬(かんせん)の治療薬

  • デキサメタゾンなどの塗り薬を「乾癬」という病気に使う場合、市販薬には乾癬の効能がない(自己判断で治療すべき病気ではない)ため、これは追加負担の対象外(保険のみでOK)となる見込みです。

5. 特別な配慮が必要な「妊婦・授乳婦」

OTC医薬品(市販薬)のパッケージや説明書には、「妊婦の方は服用しないでください」や「医師に相談してください」と記載されているものが多くあります。

厚労省は、「妊婦や授乳婦については、安全性を考慮して医師が慎重に判断して処方しているため、市販薬で代用することを想定すべきではない」として、妊婦・授乳婦への処方については追加負担の対象外とする(=今まで通りの負担で済む)方針を固めています。

6. まとめ

2027年3月から始まるこの新制度は、家計に小さくない影響を与える可能性があります。今回の第3回検討会で示されたポイントをまとめます。

  • 湿布や塗り薬の痛み止め(NSAIDs): 1年中使っていても、原則として追加負担の対象になる可能性が高い。

  • 保湿剤: アトピー性皮膚炎以外での使用は、追加負担の対象になる。

  • 継続の判断: 過去6カ月程度の通院歴がないと、「継続が必要な患者」として認められない可能性がある。

  • 特定の配慮: がん患者、指定難病患者、入院中の方、妊婦の方は、これまで通り追加負担なしで薬を受け取れる見込み。

  • 明確な基準: 医師の主観で決まらないよう、診療ガイドラインに基づいた厳密なルールが作られる。

この制度は、単に「薬代を上げる」ためのものではなく、「限られた医療費を本当に重症な人のために使う」ための苦渋の選択とも言えます。私たち利用者も、今のうちから「本当にこの薬は病院でもらう必要があるのか」「市販薬で対応できるのではないか」といった意識を持つことが求められています。

今後の検討会でさらに細部が決定されますので、新しい情報に注目していく必要があります。

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