2026年9月承認の新薬一覧!適応症と注目治療薬の特徴を徹底解説
2026年9月16日の一斉承認の概要
2026年9月16日、厚生労働省において新たな医薬品が一斉に承認されました。今回の承認は、8月下旬に開催された薬事審議会医薬品部会での審議や報告を経て決定されたものであり、新有効成分を含むまったく新しい治療薬から、既存の薬の利便性を飛躍的に高めた新剤形、さらには適応症が拡大されたお薬まで、数多くの品目が含まれています。
審議品目として29製品(規格単位)、報告品目として20製品(規格単位)が承認され、がん、脳神経疾患、自己免疫疾患、小児の難病、生活習慣病など、幅広い分野にわたっています。特に今回の承認では、患者さんの身体的な負担を減らす皮下注射製剤の開発や、これまで効果的な治療選択肢が限られていた難病に対する新薬の登場が大きな注目を集めています。
本記事では、今回承認された医薬品の名称とそれぞれの適応症(効果・効能)を整理し、それぞれの医薬品がどのような疾患に対してどのような役割を果たすのか、これまでの治療と何が異なるのかについて詳しく解説していきます。
新たな有効成分や投与経路が登場した注目の新薬(審議品目)
審議品目とは、新しい有効成分が含まれているお薬や、これまでにない投与方法(点滴から皮下注射への変更など)を導入する医薬品など、特に慎重な審議を要した品目のことです。今回の承認で日常の生活や治療環境を大きく変える可能性を秘めたお薬が多く揃っています。
がん・脳腫瘍領域の新薬
オジェンダ錠100mg/同 ドライシロップ300mg(IPSEN)
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適応症: BRAF遺伝子変異又は融合遺伝子を有する低悪性度神経膠腫
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概要と特徴:
神経膠腫(グリオーマ)は脳の組織から発生する腫瘍であり、その中でも低悪性度神経膠腫(LGG)は小児期に最も発生頻度が高い脳腫瘍として知られています。この腫瘍では「BRAF」と呼ばれる遺伝子の変異や融合が高頻度で見られることが分かっています。オジェンダは、この異常なシグナルを狙い撃ちにして腫瘍の増殖を抑える新有効成分含有医薬品です。低年齢のお子さんでも無理なく服用できるように、通常の錠剤に加えて水に溶かして飲めるドライシロップ剤も同時に承認されました。なお、国内でのデータが限られていることから、承認後も詳細な薬物動態試験を実施することを求める条件付き承認となっています。
モデーソカプセル125mg(大原薬品工業)
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適応症: びまん性正中膠腫
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概要と特徴:
びまん性正中膠腫(DMG)は、脳幹や視床といった生命維持に直結する脳の中心部に発生する極めて悪性度の高い小児・若年者の脳腫瘍です。手術で取り除くことが難しく、これまでは放射線治療以外に有効な治療法がほとんど存在しない極めて過酷な疾患でした。モデーソカプセルは、この治療が難しかったびまん性正中膠腫に対して効果を示す新有効成分含有医薬品であり、新たな希望の光となることが強く期待されています。
エラヒア点滴静注100mg(武田薬品工業)
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適応症: 葉酸受容体α陽性の白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣癌
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概要と特徴:
卵巣がんは、標準的な抗がん剤である白金系抗悪性腫瘍剤(プラチナ製剤)による初期治療が奏効しても、再発を繰り返すうちに薬が効かなくなる「プラチナ抵抗性」に陥ることが大きな課題でした。エラヒアは、がん細胞の表面に多く発現する「葉酸受容体α(FRα)」という目印に結合し、抗がん剤成分をがん細胞内部に直接送り届けて攻撃する抗体薬物複合体(ADC)です。プラチナ製剤が効かなくなった再発卵巣がんに対する新たな標的治療として登場しました。
神経・精神・睡眠関連疾患の新薬
エキスコプリ錠12.5mg/50mg/100mg/200mg(小野薬品工業)
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適応症: てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)
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概要と特徴:
てんかんは、脳の神経細胞が過剰に興奮することによって発作を繰り返す慢性の脳疾患です。エキスコプリは、神経細胞の表面にある電位依存性ナトリウムチャネルを阻害することで、神経の過剰で反復的な電気的興奮を抑制する新しい抗てんかん薬です。既存の薬を複数使っても発作が十分に抑えられない難治性の患者さんを対象とした臨床試験において、発作の頻度を有意に減少させる高い有効性が確認されました。海外ではすでに45以上の国や地域で広く使用されており、待望の国内登場となります。
レケンビ皮下注250mgペン(エーザイ)
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適応症: アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制
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概要と特徴:
アルツハイマー病の原因物質とされる「アミロイドβ」を取り除き、病気の進行を遅らせる薬剤としてすでに実用化されているレケンビに、自己注射も可能な「皮下注ペン製剤」が承認されました。これまでの点滴静注では、2週間に1回病院に通い、約1時間かけて点滴を受ける必要がありました。皮下注ペンの登場により、短時間の皮下投与が可能となり、将来的には通院負担の軽減や在宅での治療継続につながると期待されています。
ウエキクス錠5mg/20mg(ヴィアトリス製薬)
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適応症:
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持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気
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ナルコレプシー
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概要と特徴:
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に気道が塞がることで十分な睡眠が得られず、日中に強い眠気が生じます。CPAPなどの適切な治療器具を使用して気道閉塞を解消しているにもかかわらず、日中の激しい眠気が残ってしまう患者さんが存在します。また、ナルコレプシーは脳内の覚醒維持機構の乱れにより、日中に突然強い眠気に襲われる疾患です。ウエキクスは、脳内の覚醒を促す神経伝達物質に作用することで、過度の眠気を改善するお薬です。
ビエプチ点滴静注100mg(ルンドベック・ジャパン)
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適応症: 片頭痛発作の発症抑制
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概要と特徴:
片頭痛は、頭の片側や両側がズキズキと痛み、日常生活に著しい支障をきたす疾患です。ビエプチは、片頭痛発作の引き金となる「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」に結合してその働きを強力に抑える抗体製剤です。点滴静注として定期的に投与することで、頭痛発作が起こる頻度そのものを大幅に減らす効果を持ち、毎日のように頭痛の不安を抱えている患者さんの負担を和らげます。
免疫疾患・希少疾患の新薬
クライジェファ皮下注300mgオートインジェクター/同 シリンジ(アレクシオンファーマ)
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適応症: 全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)
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概要と特徴:
重症筋無力症は、筋肉を動かす神経の指令がうまく伝わらなくなり、まぶたが下がる、物が二重に見える、手足に力が入らない、呼吸が苦しくなるといった症状が現れる自己免疫疾患です。クライジェファは、筋肉と神経の接合部を破壊してしまう「補体C5」という生体内タンパク質を阻害する世界初の「二重結合ナノボディ製剤」です。週1回の皮下注射製剤であり、オートインジェクター(自動注入器)またはシリンジで投与できるため、日常生活を送りながら病勢をコントロールすることが可能になります。
イコタイド錠200mg(ヤンセンファーマ)
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適応症: 既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
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概要と特徴:
乾癬は、皮膚が赤く盛り上がり、銀白色のフケのような皮膚の粉がボロボロと剥がれ落ちる慢性の炎症性皮膚疾患です。重症化すると膿疱(膿のたまった水ぶくれ)ができたり、全身の皮膚が赤くなったりします。イコタイド錠は、これまでの注射薬(抗体製剤)に匹敵する効果を目指して開発された経口投与(飲み薬)の新規作用薬であり、既存の塗り薬や飲み薬で改善しなかった乾癬患者さんに対して、注射に頼らない新たな治療の選択肢を提供します。
ガミファント点滴静注液50mg(Swedish Orphan Biovitrum Japan)
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適応症: 全身型若年性特発性関節炎又は成人発症スチル病に伴うマクロファージ活性化症候群
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概要と特徴:
マクロファージ活性化症候群(MAS)は、重いリウマチ性疾患などに合併して起こる生命にかかわる重篤な病態です。免疫細胞であるマクロファージやリンパ球が異常に暴走し、激しい高熱、多臓器不全、血液の凝固異常などを引き起こします。ガミファントは、この激しい炎症の嵐(サイトカインストーム)の中核を担う「インターフェロンγ」を特異的に中和する抗体医薬品であり、急速に命の危険へと陥る患者さんの救命に寄与します。
アミロペイブ点滴静注300mg(アレクシオンファーマ)
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適応症: 全身性ALアミロイドーシス(免疫グロブリン軽鎖がκ型優位の場合に限る)
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概要と特徴:
全身性ALアミロイドーシスは、異常なタンパク質(アミロイド)が心臓、腎臓、消化管などの全身の臓器に沈着し、臓器の働きを著しく損なう難病です。アミロペイブは、アミロイドの原因となる異常な免疫グロブリン軽鎖(κ型)を標的とした新規治療薬であり、心不全や腎不全のリスクが高い患者さんの臓器機能の維持・改善をサポートします。
代謝疾患・血液浄化療法の新薬
オンスイク注ミリオペン総量1500単位(日本イーライリリー)
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適応症: インスリン療法が適応となる2型糖尿病
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概要と特徴:
2型糖尿病において血糖値をコントロールするために行われるインスリン療法は、従来は毎日の注射が必須でした。オンスイクは、体内でゆっくりと効果が持続するように設計された「週1回投与型」の基礎インスリン製剤です。年間に換算して365回必要だった注射を約52回へと激減させることができ、毎日の注射が大きな精神的・身体的負担となっていた糖尿病患者さんの生活の質を劇的に向上させます。
シービーパック持続的血液浄化液(ニプロ)
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適応症: 持続的血液浄化療法施行時の補充液及び透析液として用いる
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概要と特徴:
集中治療室(ICU)などで、急性腎障害や重篤な全身状態に陥った患者さんに対して行われる持続的血液浄化療法(CRRT)で使用する新しい配合液です。血液中の老廃物をろ過・排出しながら、体内の電解質バランスや酸塩基平衡を24時間安定して維持するために使用されます。
サブパック血液ろ過用補充液-Bi(ニプロ)
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適応症: 持続的血液浄化療法施行時の補充液及び透析液として用いる(新効能・新用量)
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概要と特徴:
こちらも持続的血液浄化療法を行う際に使用される補充液であり、臨床現場の多様な治療ニーズや患者さんの電解質管理に合わせてより適切な透析液・補充液として活用できるように適応が整理されました。
ユプリズナ点滴静注100mg(田辺ファーマ)
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適応症: 全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)
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概要と特徴:
ユプリズナは、視神経脊髄炎スペクトラム障害の治療薬として広く使われていたB細胞除去抗体(抗CD19抗体)です。今回、全身型重症筋無力症に対する新効能が承認されました。病気の原因となる自己抗体を産生するB細胞を根本から減らすことで、筋力低下などの重篤な症状を長期にわたって抑制します。
ファビハルタカプセル200mg(ノバルティスファーマ)
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適応症: IgA腎症
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概要と特徴:
IgA腎症は、日本で最も頻度の高い慢性糸球体腎炎であり、免疫物質であるIgAが腎臓のろ過装置(糸球体)に沈着して慢性的な炎症を引き起こし、やがて人工透析が必要な末期腎不全へと進行することがあります。ファビハルタは、腎臓の炎症と組織障害を促進する生体内の「補体B因子」を選択的に阻害する経口治療薬です。根本的な治療薬が少なかったIgA腎症において、タンパク尿の減少や腎機能低下の抑制を目指す待望の経口内服薬です。
既存薬の適応拡大や使いやすさを向上させた新薬(報告品目)
報告品目とは、すでに他の疾患で使われているお薬に新しい効能・効果が追加されたものや、投与時間の短縮・対象年齢の拡大などによって、薬の価値が一段と高まった製品群です。
注目の皮下注射化と抗がん剤の進化
キイジェクト配合皮下注/同 配合皮下注22mL(MSD)
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適応症: 従来の抗PD-1抗体「キイトルーダ点滴静注」と同じ全23の適応症(肺がん、悪性黒色腫、胃がん、乳がんなど)
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概要と特徴:
世界的な免疫チェックポイント阻害薬であるキイトルーダに、皮下組織での浸透・拡散を促す酵素「ベラヒアルロニダーゼ アルファ」を配合した製剤です。これまでのキイトルーダ点滴静注は、1回の点滴に約30分の時間を要していましたが、キイジェクトの皮下注射化によってわずか1〜2分程度で投与が完了します。患者さんの院内滞在時間を大幅に短縮し、医療従事者の点滴管理にかかる負担も大幅に軽減されます。
キイトルーダ点滴静注100mg(MSD)
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適応症: 白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣癌(新効能)
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概要と特徴:
がん細胞が免疫の攻撃から逃れるブレーキを解除する抗PD-1抗体キイトルーダに、新たに「プラチナ製剤抵抗性の再発卵巣がん」の適応が追加されました。前述のエラヒアとともに、治療が極めて難しかった再発卵巣がんに対して、免疫の力を使って戦う強力な武器が加わりました。
エンハーツ点滴静注用100mg(第一三共)
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適応症: HER2陽性の手術不能又は再発乳癌(新効能・新用量)
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概要と特徴:
エンハーツは、がん細胞表面のHER2タンパク質に結合して強力な抗がん剤を直接送り込む抗体薬物複合体(ADC)です。乳がんや胃がんなどの治療を劇的に変革してきた実績がありますが、今回の承認により、HER2陽性の手術不能または再発乳がんにおける用法・用量や対象領域がさらに最適化され、より多くの乳がん患者さんに延命効果をもたらします。
ダトロウェイ点滴静注用100mg(第一三共)
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適応症: ホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌
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概要と特徴:
乳がんの中でも、ホルモン受容体とHER2のどちらも持たないタイプは「トリプルネガティブ乳がん」と呼ばれ、ホルモン療法やHER2標的薬が効かないため、最も治療が難しいタイプとされてきました。ダトロウェイは、多くのがん細胞表面に存在する「TROP2」という分子を標的とした新規の抗体薬物複合体(ADC)です。治療選択肢の少なかったトリプルネガティブ乳がんの患者さんに新たな生存期間延長の可能性を開きます。
イブランス錠25mg/125mg(ファイザー)
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適応症: ホルモン受容体陽性かつHER2陽性の手術不能又は再発乳癌における化学療法後の維持療法
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概要と特徴:
細胞の分裂周期に関わる酵素(CDK4/6)を阻害するイブランスに、HER2陽性乳がんの化学療法後の「維持療法」という新たな適応が追加されました。強力な抗がん剤治療によってがんを抑え込んだ後、その良好な状態をできるだけ長く保つための維持療法として内服できるようになり、再発の抑制に貢献します。
リブロファズ配合皮下注/同 配合皮下注22mL(ヤンセンファーマ)
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適応症:
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EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
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EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
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概要と特徴:
非小細胞肺がんの治療薬である抗EGFR/MET二重特異性抗体アミバンタマブ(リブクバント)の皮下注射製剤です。長時間の点滴が必要だった抗体薬を皮下注射で投与できるようにした製剤であり、投与に伴う点滴反応(インフュージョン・リアクション)の軽減や投与時間の劇的な短縮が期待されます。
テクベイリ皮下注30mg/153mg(ヤンセンファーマ)
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適応症: 再発又は難治性の多発性骨髄腫(新効能・新用量)
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概要と特徴:
骨髄の中で形質細胞という免疫細胞ががん化する多発性骨髄腫に対して使われる二重特異性抗体(BCMAとCD3を結合させる抗体)です。今回の新効能・新用量の承認により、過去の多剤併用療法で十分な効果が得られなくなった患者さんに対して、より最適な投与スケジュールでの治療が可能になりました。
エプキンリ皮下注4mg/48mg(ジェンマブ)
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適応症: 再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(新用量)
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概要と特徴:
血液のがんである悪性リンパ腫の一種「濾胞性リンパ腫」に対する適応が拡大されました。T細胞とがん化したB細胞を結合させてT細胞の攻撃力を直接がん細胞に向かわせる二重特異性抗体であり、再発を繰り返して治療が難しくなった患者さんに対して高い治療効果をもたらします。
テビムブラ点滴静注100mg(ビーワン・メディシンズ)
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適応症: 再発又は遠隔転移を有する上咽頭癌(新効能・新用量)
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概要と特徴:
鼻の奥、のどの上部に発生する上咽頭がんは、手術での完全切除が難しく、進行や再発をきたした場合の予後が厳しいがんです。抗PD-1抗体テビムブラが上咽頭がんの適応を取得したことで、進行・再発上咽頭がんに対する免疫療法の選択肢が確立されました。
皮膚科・日常的疾患・ワクチン・その他の治療薬
ブイタマークリーム0.5%(塩野義製薬)
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適応症: アトピー性皮膚炎(小児用量を追加)
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概要と特徴:
ステロイドを含まない新規作用(AhR作動薬)の外用薬(塗り薬)として成人向けに登場していたブイタマークリームに、12歳未満の「小児用量」が追加されました。ステロイド外用薬特有の皮膚萎縮などの副作用を心配することなく、1日1回の塗布でアトピー性皮膚炎の湿疹やかゆみを抑えることができるため、小さなお子さんの皮膚炎管理において非常に心強い選択肢となります。
モビコール配合内用剤LD/同 HD(EAファーマ)
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適応症: 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)(小児用量を追加)
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概要と特徴:
便に含まれる水分を保持して便を柔らかくし、自然な排便を促す浸透圧性下剤モビコールに、小児用量が明確に追加されました。水などに溶かして服用するお薬であり、腸を刺激して無理に動かすタイプではないためお腹が痛くなりにくく、便秘に悩むお子さんの排便習慣の改善に大きく貢献します。
キャップバックス筋注シリンジ(MSD)
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適応症: 高齢者又は2歳以上の肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌による感染症の予防
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概要と特徴:
肺炎球菌は、高齢者の重篤な肺炎や小児の侵襲性感染症(髄膜炎や敗血症)を引き起こす主要な病原菌です。キャップバックスは、従来のワクチンよりもカバーできる血清型(菌のタイプ)を大幅に増やした最新鋭の肺炎球菌結合型ワクチンであり、より広範な肺炎球菌感染症から生命を守ることができます。
コブゴーズ筋注(塩野義製薬)
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適応症: SARS-CoV-2による感染症の予防(新用量・その他)
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概要と特徴:
国内で開発された組換えタンパク質の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンです。新たな変異株の流行に対応した最新の株構成や用量が承認され、定期接種や今後の感染予防対策として国民の健康維持に寄与します。
ウステキヌマブBS皮下注45mgシリンジ「明治」/同 BS点滴静注130mg「明治」(Meiji Seika ファルマ)
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適応症:
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皮下注:尋常性乾癬、乾癬性関節炎、活動期クローン病の維持療法、潰瘍性大腸炎の維持療法
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点滴静注:活動期クローン病の導入療法、潰瘍性大腸炎の寛解導入療法
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概要と特徴:
炎症に関わるサイトカインIL-12およびIL-23を阻害する大型バイオ医薬品「ステラーラ」のバイオシミラー(バイオ後続品)です。先行品とまったく同一の適応症と効果を持ちながら、薬価が抑えられるため、長期の治療が必要な乾癬や炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)の患者さんの医療費負担軽減と、国の医療保険財政の健全化に貢献します。
注射用メソトレキセート5mg/50mg(ファイザー)
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適応症: 造血幹細胞移植時の移植片対宿主病の抑制
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概要と特徴:
白血病などの血液疾患の根治療法として行われる造血幹細胞移植では、ドナー由来の移植された免疫細胞が受容者(患者さん)の全身の細胞を異物とみなして攻撃してしまう「移植片対宿主病(GVHD)」が生命を脅かす大きな合併症となります。抗がん剤や免疫抑制薬として長い実績を持つメソトレキセートが、GVHDの抑制薬として正式に適応を取得し、移植医療の安全性向上に寄与します。
今回の承認ラッシュがもたらす医療現場と生活への影響
今回の薬事承認には、治療の効果を高めるだけでなく、治療を受ける患者さんとそのご家族、そして治療を提供する医療従事者の環境を大きく改善する3つの大きな潮流が見て取れます。
1. 「点滴から皮下注射へ」による身体的・時間的負担の劇的な軽減
今回の承認でひときわ目を引くのが、従来は病院で長時間の点滴が必要だった大型バイオ医薬品の皮下注射化です。
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キイジェクト配合皮下注: 点滴で約30分かかっていたがん免疫療法の投与時間が、わずか1〜2分程度に短縮されます。通院に伴う拘束時間が大幅に短縮され、仕事や家事と治療の両立がしやすくなります。
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レケンビ皮下注ペン: 隔週の点滴通院が必要だったアルツハイマー病治療において、ペン型シリンジによる短時間の皮下投与が可能となり、患者さん本人だけでなく送迎や付き添いを担うご家族の介護負担も軽減されます。
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リブロファズ配合皮下注: 長時間の点滴管理を要した肺がん治療において、短時間の皮下投与によって点滴室の混雑緩和や身体的負担の軽減が期待されます。
2. 週1回製剤による生活習慣病・自己免疫疾患の継続性向上
慢性疾患の治療において、毎日の服薬や注射は患者さんにとって精神的・肉体的な重荷になりがちです。
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オンスイク注: 毎日の注射が必要だった基礎インスリン療法が週1回へと集約され、注射忘れの防止や日常生活の自由度向上につながります。
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クライジェファ皮下注: 重症筋無力症に対して週1回の皮下投与という新しい選択肢を提供し、安定した症状コントロールを支援します。
3. 小児・難病領域への新しい選択肢の拡大
これまで治療法が極めて限られていた領域にも、画期的な新薬が登場しました。
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小児の難治性脳腫瘍に対する「オジェンダ」や「モデーソ」は、これまで有効な手段が少なかった小児がん治療に大きな前進をもたらします。
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小児のアトピー性皮膚炎や便秘症に対して、非ステロイドのブイタマークリームやモビコールに小児用量が正式に追加されたことで、お子さんを持つ保護者の方も安心して日常的なスキンケアや体調管理に取り組めるようになります。
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IgA腎症に対する「ファビハルタ」など、腎不全への進行を防ぐ内服治療の登場は、長年透析のリスクを抱えてきた多くの患者さんにとって心強い希望となります。
まとめ
2026年9月16日に承認された医薬品群は、最先端の分子標的薬や抗体薬物複合体(ADC)によるがん治療の進歩にとどまらず、皮下注射化による投与時間の短縮、週1回投与による負担軽減、小児用量の拡充など、患者さんの「生きやすさ」や「治療の続けやすさ」に直接応えるものが数多く含まれていました。
新しい治療法が登場することは、これまで既存の薬で十分な効果が得られなかった方や、重い副作用や通院の負担に苦しんでいた方にとって、確かな未来の選択肢が増えることを意味します。
これらの新薬は今後、薬価基準への収載手続きを経て、順次全国の医療現場で使用できるようになります。ご自身やご家族が対象となる病気で治療を受けておられる場合は、今後の治療方針や適応の可能性について、ぜひ主治医や専門の医療機関とご相談なさってみてください。

