2025年12月に発売となるか?フォシーガやビムパットが新規承認簿に追加(エクセルダウンロードあり)
2025年12月4日
2025年12月 後発医薬品の薬価基準追補収載
厚生労働省は12月4日付で、2025年12月の後発品薬価基準追補収載を官報告示しました。今回収載されるのは 初後発6成分・計51品目。注目はフォシーガやエフィエントなどの大型品目に後発品が登場した点です。
💊 フォシーガ後発品
- 収載企業:沢井製薬、T‘sファーマの2社4品目(5mg錠・10mg錠)
- 特徴:適応は2型糖尿病のみ。先発品にある1型糖尿病・心不全・CKDの適応はなし
- 薬価算定:先発品薬価から新薬創出等加算を除いた上で 0.5掛け(50%)
- 沢井製薬が承認取得していたOD錠は「安定供給の観点」で収載希望を取り下げ
- ニプロのオーソライズド・ジェネリック(AG)は収載希望がなく未収載
⚡ ビムパット後発品
- 収載企業:ヴィアトリス、共和薬品、沢井製薬、サンドなど 10社29品目
- 規格:50mg錠、100mg錠、ドライシロップの3規格すべてで多数収載
- 薬価算定:新薬創出等加算を除いた上で 0.4掛け(40%)
- 共和薬品とT‘sファーマは日医工と共同プロモーションを開始
🧬 その他の初後発品
- エフィエント:第一三共エスファ、東和薬品の2社8品目。全てがAG(1成分で2社AGは初)
- ザイティガ:6社6品目。第一三共エスファの後発品はAG
- タシグナ:沢井製薬から2品目(150mg・200mgカプセル)
- リュープリンSR:あすか製薬、ニプロの2社2品目。適応は前立腺がん・閉経前乳がんのみ
🔖 AG(オーソライズド・ジェネリック)・バイオAG
- 今回の追補収載で 4成分11品目がAG
- エフィエントAG
- ザイティガAG
- ザラカム配合点眼液AG(ヴィアトリス)
- アイリーアのバイオAG(バイエル)
- アイリーアのバイオAGは、既に収載済みのバイオシミラー(BS)と同額で算定。薬価は先発比63%
✨ まとめ
今回の追補収載は、フォシーガ・エフィエント・ザイティガなど大型品目の後発品が一斉に登場した点が大きなトピックです。特にエフィエントでは「2社同時AG」という初の事例が生まれ、バイオ医薬品分野でもアイリーアのバイオAGが収載されるなど、ジェネリック市場の広がりを象徴する内容となりました。
追記
2025年9月12日、爪白癬治療薬「エフィナコナゾール爪外用液10%「科研」が発売開始となりました。
エフィナコナゾール爪外用液10%「科研」はクレナフィン爪外用液10%のAG薬で、原薬から添加物、製造方法、製造場所、容器まで先発と全く同じ製品です。名前と薬価が変わるだけですね。
医療機関や薬局への情報提供は、引き続き先発メーカーのMRが行うということです。
厚生労働省は8月15日に新規後発医薬品の承認を行いました。
通例であれば、8月に新規GEが承認されて12月最初の金曜日に発売となることが多いのですが、今回承認された医薬品に関しては、すんなり発売となるかどうかは、予測ができません。
注目の新規GEについて、わかる範囲で記載したあと、ページの最後にエクセルファイルを添付いたしますので必要な方はダウンロードしてください。
ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(フォシーガのGE)
フォシーガのGEが承認されたメーカは、ニプロ、沢井、武田テバファーマの3社です。そのうちニプロがAGを取得しています。
一方で、沢井と武田テバファーマが承認された医薬品はダパグリフロジンプロピレングリコール水和物ではなくダパグリフロジンとしています。
いわゆる「水和物:ある/なし」問題ですね。
「水和物:ある/なし」問題に関しては、DPP4阻害薬のジャヌビア錠のGEを沢井が発売しようとした際に、「水和物なし」を承認したところ特許侵害として訴えられた事例が記憶に新しいところです。(2025年8月時点でジャヌビア錠のGEは発売されていません)
ジャヌビア錠/グラクティブ錠の一般名が「シタグリプチンリン酸塩水和物」であるのに対して、2023年12月に沢井から発売されるとされていたジェネリック医薬品は「シタグリプチンリン酸塩」であり、”水和物”がついていません。
ジャヌビア錠を製造販売するMSDは沢井製薬とサワイグループHDのグループ会社「メディサ新薬」に対して、DPP-4阻害薬シタグリプチンの特許権を侵害したとして、特許侵害訴訟および仮処分申請を東京地裁に行いました。(2023年10月の話)
ご興味がある方は以下のページをご覧ください。

ということで、フォシーガの「水和物なし」を承認取得した沢井と武田テバファーマが発売するかどうかは不明です。発売するとなるとAGを取得したニプロも発売するでしょうし、一方で特許侵害か何かで「水和物なし」が発売されないのであれば、ニプロからも発売されないことが示唆されます。
また、承認された3社のGEメーカーが取得した適応は「2型糖尿病」のみです。先発のフォシーガはそれ以外に1型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病という適応症も有意していますので、虫食い効能となっていることも把握しておく必要があります。
追記として、ニプロが取得しているAG薬の発売時期は明らかにされていないものの、先発品を販売している小野薬品は12月以降の後発品の参入を織り込んで、売り上げ見込みを前年比で10%減と見込んでいる様です。そのためAG薬および武田・沢井のGE薬の発売はある程度想定されていることが示唆されます。
ニロチニブカプセル(タシグナカプセル100㎎/150㎎)
沢井が1社で取得しています。1社承認の場合、発売されるかは不明です。
後発品に小児適応はありません。
ラコサミド(ビムパットドライシロップ/50㎎/100㎎)
ドライシロップは11社、50㎎/100㎎も11社が承認されました。これほどのGEメーカーが承認取得した場合は、これまでの経験上、100%発売されます。
イバンドロン酸錠100㎎「大正」(ボンビバ100㎎)
ドクホンが1社で取得しています。1社承認の場合、発売されるかは不明です。
エフィコナゾール(クレナフィン)
沢井と東和の2社が後発品の承認を取得しました。
クレナフィンのGEに関しては、科研の子会社(科研ファルマ)が2025年6月に承認を取得しており、2025年9月に発売を予定しています。
AGが先に発売されて、それを追うようにして沢井とトーワのGEが発売されることになります。
あとは、後追いAG薬だと思われる製品として
イコサペント酸エチル粒状カプセル300/600/900㎎「モチダ」(持田製薬)(エパデールSのGE)
ラタチモ配合点眼液「VTRS」(ヴィアトリス・ヘルスケア):ザラカム配合点眼のGE
という感じでしょうか。
ともあれ、厚生労働省が開示したデータは「承認簿」であり、この承認簿が公開された後、各先発メーカーや後発メーカーがざわざわと動き出して、2025年12月の薬価収載につながるわけですね。
以下に2025年12月発売見込み?のGEリスト一覧をエクセルファイルに添付l致します。
ご希望の方は以下よりdownloadしてください。ブラウザはgoogle chromeを推奨いたします。

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