痛くないインスリン注射針の選び方!太さ・長さ・A型とB型の違いについて
インスリン注射を継続されている患者様やそのご家族にとって、毎日の「痛み」や「手技のしやすさ」は非常に重要なテーマです。薬局や病院で渡される針には、たくさんの数字やアルファベットが書かれていますが、「結局、どれが自分に合っているの?」「種類によって何が違うの?」と疑問に思うことも多いでしょう。
本記事では、インスリン注射針の基礎知識から、最新の製品ラインナップの違い、そして意外と知られていない「A型・B型」といった規格の違いについて徹底解説します。
1. はじめに:インスリン注射針の進化はすごい!
インスリン治療において、患者様が最も不安に感じるのは「注射の痛み」ではないでしょうか。しかし、現代の注射針は驚くほど進化しています。技術の粋を集めた日本のメーカーや世界のトップメーカーが、いかに「痛みを減らし、確実に薬液を届けるか」を競い合っています。
針のパッケージに書かれた「34G」や「4mm」といった表記には、すべて意味があります。まずは、これらの数字が何を指しているのかを整理していきましょう。
2. 針の「太さ(G)」と「長さ(mm)」の基本
インスリン針を選ぶ際に最も重要な指標が「太さ」と「長さ」です。
針の太さ:G(ゲージ)
針の太さは「G(ゲージ)」という単位で表されます。ここで注意したいのは、「数字が大きくなるほど、針は細くなる」という点です。
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31G(約0.25mm): 少し前の標準的な太さです。
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32G(約0.23mm): 現在の主流の太さです。
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33G(約0.20mm): 非常に細く、痛みが軽減されます。
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34G(約0.18mm): 世界最高水準の細さです。
針が細ければ細いほど、刺したときの皮膚への刺激が少なくなり、痛みを感じにくくなります。
針の長さ:mm(ミリメートル)
針の長さは、インスリンを「皮下脂肪」に確実に届けるために重要です。
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3mm・4mm: 現在の推奨される長さです。皮膚が薄い方や子供でも、筋肉に刺さるリスクを減らせます。
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5mm・6mm・8mm: 以前からある長さですが、現在は皮下脂肪に正しく打つために、短い針(4mmなど)へ移行する傾向にあります。
3. インスリン針の規格「A型」とは何か?
針のパッケージや説明書に「A型」という文字を見かけることがあります。これは針の太さや長さとは全く別の「接続部分の規格(形)」を指す言葉です。
A型(ISO 11608-2 規格)
現在、日本で流通しているほぼすべてのペン型インスリン注入器に採用されている世界標準の規格です。
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互換性: テルモ、BD、ニプロ、ロシュといった主要メーカーの針はすべて「A型」で作られています。
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注入器: ノボ ノルディスク、サノフィ、日本イーライリリーなどのペン本体もすべて「A型」に対応しています。
つまり、「A型の針」であれば、どのメーカーのインスリンペンにも装着できるというわけです。
B型とは?
かつて一部のメーカーで使われていた独自の規格です。現在はほぼ使われておらず、一般的な薬局で目にすることはありません。A型の針をB型のペンに付けようとしても、ねじ山の形状が違うため装着できません。
結論として、「現代のインスリン治療で使われる針は、すべてA型なので安心してください」と言えます。
4. 製品名に含まれる「プロ」「プラス」「Jr」の違い
メーカー各社は、基本となる針に付加価値を付けたバリエーションを展開しています。それぞれの名称が持つ意味を詳しく見ていきましょう。
テルモ(ナノパスシリーズ)
テルモは「世界一の細さ」を追求している日本のメーカーです。
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ナノパスJr.(34G×3mm):
「Jr(ジュニア)」の名前の通り、子供や非常に痩せている方に適した世界最短の3mm針です。 -
ナノパスニードルII 34G(34G×4mm):
「II」は進化した形状を指します。34Gという極細でありながら、薬液の通りやすさを確保しています。 -
ナノパス33(33G×5mm):
33Gの太さで、少し長めの5mmタイプです。
BD(マイクロファインシリーズ)
世界的な医療機器メーカーであるBD(ベクトン・ディッキンソン)の製品です。
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マイクロファイン「プロ」 (Pro):
最新モデルです。針の土台部分が平らで広くなっており、皮膚に押し当てた際に安定しやすく、深く刺さりすぎるのを防ぐ設計になっています。また、針先が5段階のカット(5テーパー)になっており、刺す時の抵抗がさらに抑えられています。 -
マイクロファイン「プラス」 (Plus):
長年愛用されているスタンダードなモデルです。信頼性が高く、多くの医療現場で採用されています。
ニプロ(ペンニードル)
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ペンニードル®「プラス」:
ニプロ独自の滑り加工が施されており、スムーズな穿刺(刺すこと)をサポートしています。
特殊な機能を持つ針
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BD オートシールド デュオ:
「安全装置」が付いた針です。針を刺した後に自動でカバーがかかり、針が露出しないようになっています。介助者が誤って自分に刺してしまう「針刺し事故」を防ぐための、医療・介護現場向けの製品です。
5. 「Thin Wall(薄肉構造)」という魔法の技術
BDの製品などで「Thin Wall(シン・ウォール)」という表記を見ることがあります。これは「針の外側の太さは変えずに、内側の穴を大きくする技術」です。
インスリンの針は細くなればなるほど、中の穴の直径も小さくなるため、インスリンを押し出すのに力(握力)が必要になります。「Thin Wall」技術を採用している針(31Gの5mmや8mmなど)は、針の壁を薄くすることで、細さと薬液の出やすさを両立させています。
6. 自分に合った針を選ぶためのチェックポイント
これだけ種類があると、どれを選べばいいか迷ってしまいますね。選ぶ際の目安をまとめました。
① 痛みを最小限にしたい
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おすすめ: 34Gや33Gの極細針(ナノパスなど)
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理由: 物理的に針が細いほど、痛点に触れる確率が下がり、痛みは軽減されます。
② 手が不自由、または押し出す力が弱い
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おすすめ: 32Gの「Thin Wall」採用製品や、BD マイクロファインプロ
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理由: 極端に細すぎる針よりも、少しだけ内径が広いタイプの方が、軽い力でインスリンを注入できます。
③ 痩せ型の方、または子供
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おすすめ: 3mmまたは4mmの短い針
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理由: 脂肪層が薄い場合、長い針だと筋肉まで届いてしまい、痛みの原因やインスリンの吸収速度の変化につながるためです。
④ 介助者が注射を行う場合
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おすすめ: BD オートシールド デュオ
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理由: 注射後の針の処理による事故を100%防げるため、安全性が格段に高まります。

7. 正しい注射のための豆知識
針の性能を最大限に引き出すためには、使い方も重要です。
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再利用は厳禁:
インスリン針は「使い捨て」を前提に設計されています。一度刺すと針先は目に見えないレベルで曲がったり、シリコンコーティングが剥がれたりします。使い回すと痛みが強くなり、皮膚の組織を傷める原因(リポジストロフィーなど)になります。 -
装着はまっすぐ:
A型の規格はねじ込み式です。斜めに装着すると、ペンのゴム栓を正しく貫通できず、インスリンが漏れたり、針が詰まったりする原因になります。
8. 処方箋と針の関係
インスリンの針は、通常、病院で処方箋を出してもらい、薬局で受け取ります。もし今の針が「痛い」「打ちにくい」と感じているなら、遠慮なく医師に相談してください。
「もっと細い針に変えたい」「最新のプロという種類を試してみたい」と伝えることで、より快適な治療環境に整えることができます。
9. まとめ
インスリンの注射針について、大切なポイントを改めて整理します。
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規格はすべて「A型」: 現在流通しているペン型インスリンであれば、メーカーを問わずどの針でも装着可能です。
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太さ(G)は数字が大きいほど細い: 痛みが気になる方は33Gや34Gを選びましょう。
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長さは4mmが現在の主流: 筋肉注射になるリスクを避け、確実に皮下脂肪へ届けます。
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「プロ」や「プラス」の違い: 「プロ」はより安定性を高めたり針先を改良したりしたもの、「Jr」は子供向けの短いものを指します。
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Thin Wall(薄肉)技術: 針が細くても、中を広くして薬を通りやすくする工夫がされています。
インスリン治療は毎日のことですから、ほんの少しのストレス軽減が、生活の質(QOL)を大きく向上させます。自分の体型やライフスタイルに合った「最高の一本」を見つける参考にしていただければ幸いです。

