世界初!iPS細胞の心筋シート「リハート」実用化と心不全治療の未来
2006年に京都大学の山中伸弥教授らの研究グループが世界で初めて作製に成功を発表した人工多能性幹細胞(iPS細胞)。誕生から20年の節目を迎えた2026年、再生医療の歴史に刻まれる大きな出来事がありました。iPS細胞から作製された心不全治療用の再生医療等製品「リハート®」が承認され、臨床現場において世界で初めて患者さんへ移植されたのです。
重い心臓病に苦しむ患者さんにとって、心臓移植や人工心臓に代わる、あるいはそれらに至る前の新たな選択肢として再生医療は長年期待されてきました。今回は、大阪大学発のバイオベンチャーであるクオリプス株式会社が開発し、実用化を果たした「リハート」について、その仕組みや治療法、薬理作用、臨床試験の成果、そして今後の展望までを詳しく紐解いていきます。
1. 世界初の快挙!iPS細胞由来心筋細胞シート「リハート」とは
2026年9月29日、大阪市内の大阪けいさつ病院において、心筋梗塞による重症心不全を患う50代の女性患者さんに対し、iPS細胞から作られた心筋細胞シート「リハート」の移植手術が実施されました。手術を執刀したのは、クオリプスの取締役であり開発を主導してきた大阪大学の澤芳樹名誉教授です。手術は午前11時過ぎから開始され、約50分という短時間で無事に終了しました。
iPS細胞を用いた再生医療技術は、これまでにも目の難病である加齢黄斑変性やパーキンソン病、脊髄損傷などを対象とした臨床研究・治験が進められてきましたが、医薬品や医療機器と同様に国の承認を受け、一般の医療現場で製品として患者さんに使われたのは今回が世界で初めての事例となります。
この製品の正式な一般的名称は「ヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シート」、販売名は「リハート®(RiHEART®)」です。他人の血液細胞から樹立された高品質なiPS細胞をあらかじめ大量に増やし、それを心臓の筋肉の細胞(心筋細胞)へと分化させて薄いシート状に加工した画期的な再生医療等製品です。
2. 治療の対象となる「虚血性心筋症」と「重症心不全」の理解
リハートがどのような病気に対して使われるのかを知るためには、まず心不全と虚血性心筋症という病態について整理しておく必要があります。
心不全という状態
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を果たしています。心不全とは、ひとつの病気の名前ではなく、心臓のポンプ機能が低下して全身が必要とする十分な血液を送り出せなくなり、息切れやむくみ、強い倦怠感などの症状が現れ、徐々に生命を縮めていく病態のことです。
虚血性心筋症とは
心不全を引き起こす原因にはさまざまな疾患がありますが、その代表的なものが「虚血性心筋症」です。
心臓の周りを取り囲み、心臓の筋肉(心筋)そのものに酸素や栄養を届けている血管を冠動脈と呼びます。動脈硬化などが原因で冠動脈が狭くなったり詰まったりすると、心筋に血液が届かなくなります。これがいわゆる狭心症や心筋梗塞です。
広範囲に心筋梗塞が起きると、血液が途絶えた部分の心筋細胞が壊死してしまい、線維化(傷跡のように硬くなること)を起こします。一度死んでしまったヒトの心筋細胞は基本的に再生しないため、残された健康な心筋に過剰な負担がかかり、次第に心臓全体が拡大して壁が薄くなり、ポンプとしての機能が著しく失われていきます。この進行した状態が虚血性心筋症です。
既存の治療とその限界
現在、虚血性心筋症に対しては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、SGLT2阻害薬などの薬物療法や、冠動脈バイパス術(CABG)、カテーテルによる経皮的冠動脈形成術(PCI)などの血行再建術、さらには心臓再同期療法(CRT)などの機器を用いた治療が行われます。
しかし、すでに広範囲の心筋が壊死してしまった重症患者さんの場合、これらの標準治療を最大限に行っても心機能の回復には限界があり、徐々に病状が悪化していくケースが少なくありません。最終的には心臓移植や左室補助人工心臓(LVAD)の装着が必要となりますが、ドナー不足や手術の侵襲、合併症のリスクなど、多くの課題が存在していました。リハートは、こうした「既存の治療では効果が不十分な患者さん」に対する新たな治療の道を切り開くものとして登場しました。
3. リハートの製品構成と規格
リハートは、極めて高度な細胞培養技術と品質管理体制のもとで製造されています。その規格や特徴を添付文書の情報から確認してみましょう。
製品の構成と寸法
リハートの包装には、以下のものが含まれています。
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iPS細胞由来心筋細胞シート:4枚
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洗浄液(HBSS(+)):500mL × 2本
実際に患者さんの心臓表面へ移植されるのは3枚であり、1枚は万が一の破損などに備えた予備として用意されています。
心筋細胞シートは直径約40mm(有効径)の円形をしており、1枚あたり約3.3×10^7個(3300万個)のiPS細胞由来心筋細胞が含まれています。移植に使用する3枚合計では約1×10^8個(1億個)という膨大な数の心筋細胞が生きた状態で届けられます。
薬価は1回あたり5320万円

保存と輸送の工夫
細胞シートは非常に繊細な生きた細胞の集合体です。そのため、製造後の輸送および保管時には、ブタ皮由来のゼラチンを用いたゲルの中に細胞シートを包埋(埋め込むこと)した状態で保護されています。保管温度は15〜23℃と定められており、有効期間は製造後
わずか48時間です。製造には2日間を要するため、手術の日程に合わせて厳密なスケジュール管理のもとで医療機関へ納入されます。
原材料とドナーの安全性
リハートは、患者さん自身の細胞ではなく、健康なドナー(提供者)の末梢血から作られた他家(同種)iPS細胞を原料としています。他人の細胞を用いることで、患者さん自身の細胞を採取して培養する「自家移植」に比べ、あらかじめ規格化された高品質な製品を迅速かつ安定して供給できるという大きなメリットがあります。
ドナーの選定にあたっては、詳細な問診に加え、HIV、B型肝炎、C型肝炎、HTLV-1、パルボウイルスB19、サイトメガロウイルスなどの血清学的検査および核酸増幅検査(NAT)を実施し、感染症の有無が徹底的に確認されています。さらに、製造工程においても各種ウイルス否定試験、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験、無菌試験が行われ、高度な安全基準が担保されています。
4. リハートの薬理作用と作用メカニズム(原理)
リハートが心不全をどのように改善させるのか、そのメカニズムは非常に興味深い特徴を持っています。添付文書に記載されている科学的根拠に基づいて解説します。
「パラクライン効果」による心機能の回復
シート状にした心筋細胞を心臓に貼るというと、「移植した細胞シートがそのまま新しい心臓の壁となってドクドクと拍動し、心臓の壁の厚みを補う」というイメージを持たれるかもしれません。しかし、リハートが発揮する主たる薬理作用はそれだけではありません。
最大の治療メカニズムは、シートに含まれる生きた心筋細胞から分泌される多様な生理活性物質(サイトカインや細胞増殖因子など)による「パラクライン効果(近接分泌効果)」です。
心臓の表面に直接貼付されたリハートの細胞シートは、周囲の心筋組織に向けて、血管の新生を促す因子(VEGFやbFGFなど)や、細胞の生存を助ける保護因子、過度な線維化を抑える因子などを豊富に分泌します。これにより、以下のような連鎖的な治療効果がもたらされます。
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新たな血管の形成(血管新生の促進):
サイトカインの刺激により、血液が不足して冬眠状態(ハイバネーション)に陥っていた心筋組織の周囲に微小な血管が新しく作られます。これにより、酸素と栄養の供給ルートが再び確保されます。 -
傷ついた心筋細胞の保護と機能回復:
完全に壊死していないものの、血流不足で十分に収縮できなくなっていた残存心筋が刺激を受け、再び力強く収縮できるようになります。 -
心室リモデリングの抑制:
心筋梗塞後の心臓は、負荷に耐えきれずに風船のように薄く引き伸ばされ、変形していく「心室リモデリング」を起こします。リハートから分泌される因子群は、組織の線維化の進行を食い止め、心臓の形態が悪化する悪循環を断ち切る手助けをします。
体内動態と生着性
非臨床試験(免疫不全マウスであるNOGマウスを用いた試験)において、本品をマウスの心臓表面に単回移植したところ、移植から4週間が経過した時点でも心臓の移植部位にヒト細胞がしっかりと残存していることが確認されています。一方で、肺、肝臓、脾臓、腎臓、骨髄、脳など、心臓以外の主要な臓器にはヒト細胞が検出されず、心臓表面にとどまって局所的に作用を発揮することが確かめられています。
このように、リハートは「自ら拍動する心筋細胞を届ける」と同時に、「疲弊した自己の心臓組織を元気づけ、血流を呼び戻すバイオ工場」として心臓表面で機能するのです。
5. 対象となる患者さんの条件(適応と注意)
再生医療等製品であるリハートは、すべての心不全患者さんに無条件で使用できるわけではありません。安全性と治療効果を確実にするため、適応基準が明確に定められています。
効能・効果
添付文書における効能・効果は以下の通りです。
「薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療で効果不十分な虚血性心筋症による重症心不全の治療」
主な選択基準
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安静時の左室駆出率(LVEF)が35%以下であること:
左室駆出率(LVEF)とは、心臓(左心室)が1回の拍動でどれだけの血液を送り出せているかを示す指標です。正常値はおよそ55〜60%以上とされていますが、35%以下というのはポンプ機能が著しく低下している状態を指します。 -
最大限の内服治療や外科治療を経ていること:
利尿薬、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬などの薬物治療や、バイパス手術、カテーテル治療などの標準的な治療を施して3か月以上経過してもなお、心不全の悪化が危惧される患者さんが対象です。
適用とならない患者さん(除外基準や禁忌)
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左室補助人工心臓(LVAD)の装着を直ちに検討すべき超重篤な状態の患者さん:
リハートは急激にショック状態へ陥っている心臓を緊急で補助する装置の代用にはなりません。 -
開胸手術に耐えられない患者さん:
活動性のショック状態が持続している患者さんや、心臓以外の重要な臓器(肝臓や腎臓など)に回復困難な不全を抱えている患者さんは、手術のリスクが極めて高いため適応外となります。 -
本品の成分に対して過敏症の既往がある患者さん。
6. 移植手術の手順と前後の治療管理
リハートを用いた治療は、製品を届けて貼るだけの単純な作業ではなく、手術室での綿密な前処置や手術手技、そして術後の手厚い全身管理が一体となって成り立っています。
移植前の前処置プロセス
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ゲルの融解:
細胞シートを保護している外側の容器を未開封のまま、37℃の環境で約30分間温めます。これにより、細胞を包んでいたゼラチンゲルが液体へと変化します。ゲルが溶けた状態の細胞シートは極めて薄くデリケートであるため、容器を傾けたり逆さにしたりせず、慎重に水平を保ちます。 -
洗浄と浸漬:
融解したゲルを除去し、付属の洗浄液(HBSS(+))を用いて細胞シートを丁寧に洗浄し、浸漬します。洗浄後は15〜23℃で保管され、6時間以内に移植を完了しなければなりません。
手術手技(左側開胸手術)
手術は全身麻酔下で行われ、胸の左側を小さく切開する「左側開胸手術」が基本となります。心臓全体を大きく露出させる従来の胸骨正中切開に比べ、患者さんの身体への負担(低侵襲性)を抑えたアプローチが選択されます。
執刀医は露出した心臓(左心室の梗塞部位周辺)の表面を慎重に観察し、出血を十分に止血します。血液がシートと心筋の間に残ってしまうと密着性が損なわれるためです。その後、3枚の心筋細胞シートを1枚ずつ心臓表面へと滑らせるように置き、密着させていきます。
一度貼り付けると剥がして貼り直すことは困難であるため、事前のCT検査などで冠動脈バイパスの位置などを把握し、正確な貼付位置をシミュレーションしておくことが求められます。また、心臓の傾斜がきつい部分に貼る場合には、シートが滑り落ちないよう医療用の縫合糸で軽く固定するなどの繊細な工夫が施されます。
移植後の免疫抑制療法(3剤併用療法)
リハートは他人の細胞から作られた製品であるため、そのままでは患者さんの免疫システムが「異物」と認識して攻撃(拒絶反応)を仕掛けてしまいます。細胞シートが拒絶されずに心臓表面にとどまり、十分なサイトカインを分泌し続けられるよう、移植翌日から免疫抑制剤の内服を開始します。
使用されるのは以下の3種類の薬剤です。
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プレドニゾロン(ステロイド薬):
通常20mgを1日1回から開始し、30日後を目安に徐々に減量(漸減)していきます。 -
タクロリムス(カルシニューリン阻害薬):
即放性製剤を用い、血中濃度を厳密に測定しながら投与量を細かく調整します。60日後を目安に減量を開始します。 -
ミコフェノール酸 モフェチル(代謝拮抗薬):
1日2回投与し、こちらも60日後を目安に漸減していきます。
この免疫抑制療法は、漸減期間を含めて移植後90日間にわたって行われます。細胞シートがその役割を果たし、効果が発揮される初期の数か月間をしっかりと免疫抑制剤でガードし、その後は薬剤による副作用を避けるために終了へと向かわせる合理的なプロトコルとなっています。
7. 臨床試験で示された有効性と安全性
製品の承認にあたって根拠となったのが、国内で実施された第I/II相臨床試験(CVSC0005試験)です。この試験では、重症の虚血性心筋症患者さん全8例(コホートA:3例、コホートB-I:5例)を対象に、リハート3枚を移植した際の有効性と安全性が検証されました。
有効性の評価結果
主要評価項目として設定されたのは、「移植後26週(約半年)の時点における心エコー図検査でのLVEF(左室駆出率)が、移植前と比べて5%以上改善した患者さんの割合」でした。
全8例の結果は以下の通りです。
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改善(+5%以上向上):2例
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維持(-5%〜+5%未満の変動):4例
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悪化(-5%以上の低下):2例
数値の上で「改善」と判定されたのは8例中2例でしたが、この結果を評価する際には患者さんの背景を考慮する必要があります。対象となったのは、これ以上有効な内科的・外科的治療法がなく、放置すれば心機能が坂道を転がり落ちるように悪化していくリスクを抱えた重症の患者さんたちです。そのような過酷な病態において、半年が経過しても過半数の患者さんで心機能の低下が食い止められ、「改善」または「維持」されていたことは臨床的に極めて意義深い結果と捉えられました。
さらに、副次評価項目として測定された指標では、より実質的な生活の質の向上が確認されました。
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NYHA心機能分類の推移:
心不全の重症度を示す指標であるNYHA分類において、参加した全8例の患者さんは移植前は全員が「III度(中等度の身体活動で息切れなどの症状が出る状態)」でしたが、移植後26週および52週の時点では、多くの患者さんが「II度(通常の身体活動で軽度の症状)」や「I度(通常の活動では症状が出ない)」へと改善を示しました。 -
運動耐容能の向上:
6分間歩行距離(6MWD)や最高酸素摂取量(Peak VO2)といった運動機能のテストでも、移植後に歩行距離が伸びたり、より強い運動に耐えられるようになったりする傾向が多くの症例で観察されました。
安全性と有害事象
安全性評価の対象となった8例において、製品そのものが原因と断定された重篤な副作用は認められませんでした。
一方で、開胸手術や免疫抑制剤の使用に伴う有害事象はいくつか報告されています。
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手術・手技に伴う事象:貧血(25.0%)、創合併症(傷口のトラブル、25.0%)、疼痛など
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免疫抑制剤に伴う事象:白血球数増加(37.5%)、高血糖(37.5%)、腎機能障害(25.0%)
また、iPS細胞のような多能性幹細胞を用いた治療で最も懸念される「未分化細胞の残存による腫瘍形成(奇形腫などの発生)」については、厳格な細胞分化誘導技術と品質スクリーニングによって防がれており、試験期間中において腫瘍形成を疑わせる所見は報告されていません。
8. 「条件及び期限付承認」という制度と今後の展望
リハートは、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく**「条件及び期限付承認」**という特別な制度のもとで承認を受けました。この仕組みを正しく知ることは、これからの再生医療のあり方を理解する上で欠かせません。
条件及び期限付承認とは
再生医療等製品は、患者さんごとに病態が異なることや、細胞という生きた原材料を扱う性質上、通常の医薬品のように何百人、何千人もの患者さんを集めて大規模な比較試験(第III相試験)を行うことが極めて困難です。
もし通常の医薬品と同じステップを踏むとすれば、承認までに何十年もの歳月がかかり、その間に救えるはずの命が失われてしまう可能性があります。
そこで設けられたのが、少数の患者さんを対象とした試験で「有効性が推定され、安全性が確認された」段階で、条件と期限を付けて早期に市場への流通を認める制度です。
リハートに付された条件と期限は以下のようになっています。
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承認期限:7年
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承認条件:
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期限内に改めて本承認の申請を行うまでの間、製品を使用する全症例を対象とした製造販売後調査を実施し、有効性と安全性を客観的に評価すること。
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重症心不全の治療と開胸手術に精通した医師が、所定の講習を修了した上で、安全管理体制の整った認定医療機関において適正使用指針を遵守して使用すること。
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製品の作用機序に関わる生物学的特性の情報を継続して収集し、品質管理の向上を図ること。
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指定再生医療等製品として、使用した製品のロット番号や患者さんの情報を20年間保存すること。
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つまり、今回の実用化は「研究のゴール」ではなく、「より多くの臨床データを集めながら治療効果を真に証明していくための新たなスタート」を意味しています。今後7年間で実際の医療現場から積み上げられるデータが、この治療法の確固たるエビデンスを形作っていくことになります。
まとめ
2006年のiPS細胞の誕生から20年という年月を経て、臨床現場での実用化という歴史的な扉を開いた心筋細胞シート「リハート」。今回のトピックスの重要なポイントをまとめます。
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世界初の実用化:他家(同種)iPS細胞から作製された心筋細胞シートが、製品として一般の臨床現場で患者さんに移植された世界初の事例となりました。
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対象疾患:既存の薬物治療やカテーテル、バイパス手術を行っても十分な改善が得られない、虚血性心筋症に伴う重症心不全の患者さんを対象としています。
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作用メカニズム:心臓表面に3枚のシート(計約1億個の心筋細胞)を貼ることで、細胞から分泌されるサイトカインなどが周囲の組織に働きかける「パラクライン効果」を発揮し、血管新生や残存心筋の機能回復を促します。
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治療の安全性と管理:左側開胸手術によって低侵襲に移植され、術後90日間の免疫抑制療法(3剤併用)によって拒絶を防ぎます。
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今後の歩み:7年間の「条件及び期限付承認」のもと、全症例を対象とした追跡調査を通じて、さらなる有効性と安全性の検証が進められます。
心臓移植の待機期間が長期化し、ドナー不足が深刻な現代医療において、規格化された細胞を必要な時に届けることができるiPS細胞由来製品の実用化は、まさに待ち望まれていた光明です。
第一歩を踏み出したばかりのリハートが、今後より多くの重症心不全患者さんの命をつなぎ、健康な日常を取り戻すための確かな希望となっていくことが期待されます。

