おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

下剤

便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)治療薬「リンゼス錠0.25mg(リナクロチド)」とアミティーザの違いについて

投稿日:2017年11月12日 更新日:

便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)治療薬「リンゼス錠0.25mg(リナクロチド)」とアミティーザの違いについて

2016年11月25日(金曜日)、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)治療薬「リンゼス錠0.25mg」についての医薬品としての製造承認可否が審議されます。


便秘型過敏性腸症候群に適応申請されている「リンゼス錠0.25mg」の主な働きは腸粘膜上皮細胞に発現しているGC-C受容体に結合することで、腸管分泌及び腸管輸送能を促進する働きです。さらに内臓痛覚過敏を改善する効果も報告されています。

アステラス「リンゼス錠【リナクロチド)」に関する報告

日本での第Ⅲ相試験の結果によると、過敏性腸症候群症状の成人患者さん500例が12週間経口投与した臨床試験の結果、プラセボ投与群の改善率が18%であるのに対し、リンゼス錠0.5mgを服用した群では34%の改善が確認されたというデータがあります。

リンゼス錠0.25mgの薬理作用

リンゼス錠0.25mgは便秘型過敏性腸症候群および慢性特発性便秘の適応症により、世界30か国以上で使用されている薬です。

リンゼス錠0.25mgの作用部位である腸管上皮細胞上に発現しているCG-C受容体について

CG-C受容体は腸管腔からの情報を腸管内(細胞内部)に伝達する受容体の役割をしています。生体では腸管腔側の情報伝達物質として、内在性ホルモンのグアニリン・ウログアニリンなどのホルモンがCG-C受容体に対するリガンドとしてはたらきます。CG-C受容体にグアニリンなどのリガンドが結合すると、細胞内cGMP濃度が上昇し、CFTRクロライドチャネルや未知のCaチャネルが作動します。これによりクロライドイオンの分泌とカルシウムイオンの流入が生じ、イオンとともに水分子を腸管腔へ移動させることができます。

整腸剤の効果・使用方法・違いについて(ビオフェルミン・乳酸菌・糖化菌・酪酸菌)

生体ホルモン物質以外では、下痢を誘発する腸管感染菌(毒素原性大腸菌やペスト菌など)が放出する毒素(耐熱性エンテロトキシン)はCG-C受容体への結合が強いため、腸管上皮細胞のクロライドイオン分泌が促進されて長時間の下痢の要因となります。

さて、腸管上皮細胞にあるクロライドチャネルを活性化して腸管腔内の水分分泌を促進させる薬には「アミティーザカプセル24μg(適応症:慢性便秘症)」があります。アミティーザカプセルもリンゼス錠0.25mgも、どちらも腸管口腔内の水分分泌を促す働きがあるのですが、その違いを確認してみると

アミティーザ:小腸上皮に存在するClC-2クロライドチャネルを活性化して水分UP
ClC-2クロライドチャネルの特徴
・チャネルコンダクタンス:~3
・阻害剤:Zn、Cd

リンゼス錠0.25mgの薬理作用

リンゼス錠:CG-C受容体を介してCFTRクロライドチャネルを活性化して水分UP
CFTRクロライドチャネルの特徴
・チャネルコンダクタンス:6~10
・阻害剤:オイグルコン、
・CFTR:嚢胞性線維症遺伝子由来タンパク質の略

上記のように、作用するクロライドチャネルの違いが確認されましたが、各クロライドチャネルの具体的な力価については、ぼんやりとしか確認できませんでした。上記2剤は同じように腸管腔に水分を分泌させる働きを持っていますが、薬理作用部位が異なるので併用も可能なように感じます。

整腸剤の効果・使用方法・違いについて(ビオフェルミン・乳酸菌・糖化菌・酪酸菌)

 

-下剤
-アミティーザ, リンゼス錠0.25mg, 便秘型過敏性腸症候群

執筆者:ojiyaku


  1. […] 便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)治療薬「リンゼス錠0.25mg(リナクロチド)」とアミティーザの違いについて […]

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

symproic

オピオイド誘発性便秘症治療薬スインプロイク錠0.2mg(ナルデメジントシル酸塩)について

オピオイド誘発性便秘症治療薬スインプロイク錠0.2mg(ナルデメジントシル酸塩)について 2017年2月9日に厚生労働省の「薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会」においてオピオイド誘発性便秘症治療薬“ …

feed-laxative

授乳婦が下剤(便秘薬)を服用した時の乳児への影響について

授乳婦が下剤(便秘薬)を服用した時の乳児への影響について   授乳中に飲んでも乳児へ影響しない下剤・影響が少ない下剤について患者様から質問を受けることがありましたので、各種下剤について母乳へ …

High-blood-pressure-sanka-magunesiumu

高血圧症に対する酸化マグネシウムの効果について

高血圧症に対する酸化マグネシウムの効果について   高血圧症に対するマグネシウムの効果に関しては「効果がない」と記している報告もあれば、「マグネシウムは血圧をさげることができる」と報告してい …

voltaren-suppo-size-suppository

小さい坐薬にしてください(ボルタレンサポ50mgのサイズについて)

小さい坐薬にしてください(ボルタレンサポ50mgのサイズについて)   ボルタレンサポ50mgを使用している患者様から「小さい坐薬にしてください」という訴えがありました。私はこれまで坐薬のサ …

sankamagunesiumu-jyusitusankamagunesiumu

重質酸化マグネシウムと酸化マグネシウムは同じ製品です

重質酸化マグネシウムと酸化マグネシウムは同じ製品です   重質酸化マグネシウムも酸化マグネシウムも同じ「酸化マグネシウム」製剤です。   ネーミングの由来については、第10改正日本 …