抗生剤のニキビ治療薬「ゼビアックスローション2%」が2016年1月7日に発売となることがわかりました。既存の外用抗生剤との比較およびゼビアックスローションの特徴をまとめてみました。
・表在性皮膚感染症、ざ瘡(ニキビ)に適応があります。
・ニキビに対しては洗顔後に1日1回塗布します。
・ローションタイプでありながら塗布後に垂れにくい製剤学的特徴を持っており、指先に取って塗布可能な粘性を有しているローション剤です。
・1日2回塗布する従来の抗生剤軟膏とは異なり、1日1回寝る前に使用すればよいので、朝に塗る必要ありません。そのため軟膏特有の顔のテカリを気にすることもなく、またお化粧をする際の塗り合わせを気にする必要もありません。
・顔面に炎症性皮膚炎を伴う尋常性ざ瘡患者さんの炎症性皮疹数の減少率は54.77%
・アクアチムクリーム1%(ナジフロキサシン)に対して非劣勢が検証されています。
アクネ菌に対する薬の効き目について(試験管内のデータです)
どれだけ少ない量で90%のアクネ菌を殺菌できるかという指標を示します。
ゼビアックス:0.06μg/ml
アクアチム:0.5μg/ml
ダラシン:8μg/ml
ゲンタシン:8μg/ml
ゼビアックスは非常に少量でアクネ菌を退治することができることが分かります。
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発売されている医薬品濃度としては
ゼビアックスローション2%
アクアチムクリーム1%
ダラシンTゲル1%
ゲンタシン軟膏0.1%
となっていますので、ゼビアックスローションは他剤に比べて濃度が高く、力価(効き目)も強い外用薬であることが分かります。
ゼビアックスローションは1日1回塗布しても1日2回塗布しても炎症性皮疹数の減少率にほとんど差がありません。その理由は力価(効き目)の高さによるものと推測します。
実際にニキビ患者さんに使用した時のデータを”炎症性皮疹数の減少率”で確認してみると
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ゼビアックスローション:54.77%
アクアチムローション:53.59%
プラセボ:41.67%
軟膏が皮膚から吸収されるまでの時間について
試験管内データでのゼビアックスの殺菌力は高いわけですが、実際のニキビ患者さんへの使用データを確認すると、既存のアクアチムローションに対して有意差はなく効き目も変わりない事がわかります。非劣勢が確認されていますのでアクアチムローションよりも効果が低いことはありません。ニキビ治療における有効率は70%程度です。
ニキビ治療のガイドラインを確認してみると、ニキビ(炎症性皮疹)に抗菌薬外用の使用ランクは推奨度Aとなっており、ダラシンTゲル、アクアチムローションの外用をつよく推奨するとなっています。恐らく新発売のゼビアックスローション2%も、今後このガイドラインに加わるものと推測します。
これらのことからゼビアックスローションの利点としては1日1回タイプであるローション剤であることです。寝る前に使用しても24時間効果が持続し、ローション剤であるため軟膏特有のテカリもありません。皮膚に塗布後24時間後の吸収率は1~2%というデータがありますので、ゼビアックスローション2%のさらに1~2%つまり200~400μgのゼビアックス成分が皮膚に浸透していることがわかります。
ゼビアックスのMIC90(90%のアクネ菌をやっつけることができる最小量)は0.06μg/mlですので十分量のゼビアックスが皮膚に浸透していることが分かります。このため浸透性の良い抗生剤であることが確認できます。炎症性皮疹を伴うニキビ治療に一躍を担うことが期待できる製剤かと思います。