おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

抗インフルエザ治療薬

米国におけるインフルエンザによる小児の死亡率

投稿日:2018年2月23日 更新日:

米国におけるインフルエンザによる小児の死亡率

2010年月から2016年9月までの期間、米国に置いてインフルエンザにより亡くなった小児に関するデータが報告されました。

2010年10月〜2016年9月までの6年間におけるインフルエザ関連小児死亡者数は675名で、年平均死亡率は子供10万人あたり0.15人の死亡率となっています。

6ヶ月未満の小児は死亡率が最も高く10万人あたり0.66人の死亡率となっており、生後6ヶ月〜23ヶ月の小児の死亡率が0.33人と報告しています。

インフルエンザワクチン摂取率について

米国におけるインフルエンザによる小児の死亡率

米国では生後6ヶ月以上の乳児からインフルエンザワクチンの接種が可能です。(日本小児学会は1歳以上での接種を推奨しています。)
6ヶ月以上の年齢の子供のうち31%(477人中149人)がインフルエンザワクチン接種を受けていました。

インフルエンザワクチンの予防接種を行うと、6ヶ月以上の基礎疾患を持たない子供の場合は死亡リスクを3分の2に減少させ、基礎疾患を持つ子供の場合は死亡リスクが半減するという報告があります。また妊婦の予防接種は生まれてきた乳児の生後4〜6ヶ月の間におけるインフルエンザの発症率が減少することが示されています。

出産前の妊婦がインフルエンザワクチンを接種すると乳児の感染リスクが低下する

1回経口飲みきりタイプのインフルエンザ治療薬:キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬の薬理作用

海外で使用されていないイナビル吸入粉末剤はインフルエンザ治療に効果が「ある」のか「ない」のか

亡くなった小児のうち65%は、インフルエンザ発症後7日以内に死亡しています。さらに小児の半数には基礎疾患はありませんでした。

細菌検査の結果362人の小児の検体からはβ溶血性連鎖球菌(19%)、黄色ブドウ球菌(17%)などが検出され、黄色ブドウ球菌の分離株の66%は抗生物質耐性菌であったと報告しています。インフルエンザに関連して亡くなった小児の13%は別のウイルスとの同時感染が報告されて、RSウイルスが40%と最も多く同定されています。

死亡前の合併症で最も多く報告されたのは肺炎(41%)で、次に敗血症またはショック(31%)、急性呼吸窮迫症候群(29%)と報告されています。

毎年インフルエンザに伴う小児死亡が報告されており、特に6歳未満の幼児で死亡率が高くなっているデータ報告を受けて、子供、妊婦、乳幼児の介護者はインフルエンザの予防接種を行うことを筆者らは推奨しています。

 

-抗インフルエザ治療薬
-インフルエンザ, インフルエンザワクチン, 予防接種, 小児, 死亡率, 死亡率低下, 米国

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

infectious-virus3

インフルエンザウイルスの空気感染リスクに関しての報告(2018年1月18日)

インフルエンザウイルスの空気感染リスクに関しての報告   インフルエンザワクチンは、感染者が呼吸するだけで感染力のあるウイルスが呼気に含まれる、いわゆる「空気感染」する可能性があるという報告 …

baloxavir-oseltamivir

ゾフルーザ錠とタミフルカプセルの併用について(マウスモデル)

ゾフルーザ錠とタミフルカプセルの併用について(マウスモデル)   先日、ゾフルーザ錠の耐性菌が出現しているニュースが報道されました。耐性菌の発生率については、まだまだ低いようですが、ゾフルー …

XOFLUZA-on-sale-3-14

インフルエンザ治療薬“ゾフルーザ錠”が3月14日発売

インフルエンザ治療薬“ゾフルーザ錠”が3月14日発売   2018年3月7日、中央社会保険医療協議会 総会においてインフルエンザ治療薬“ゾフルーザ錠”の薬価が了承されました。医薬品の卸へ確認 …

influenza-Myocardial-infarction

インフルエンザウイルスに感染すると急性心筋梗塞発症リスクが高まる

インフルエンザウイルスに感染すると急性心筋梗塞発症リスクが高まる   インフルエンザウイルスに感染が確認された後1週間以内は、急性心筋梗塞の発症リスクが高まるという報告がカナダの研究チームに …

influenza-elderly-people

高齢者は毎年インフルエンザワクチンを接種すると重症化リスクを減少させることができる

高齢者は毎年インフルエンザワクチンを接種すると重症化リスクを減少させることができる   スペインの研究チームは、65歳以上の高齢者は4シーズン連続してインフルエンザワクチンの予防接種を行うと …

  google adsense




2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年4月薬価改定 新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

2022年4月薬価改定。新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

おじさん薬剤師の働き方

how-to-work

薬剤師の育成について

how-to-bring-upo

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト




how-to-work