同一成分・同一剤形の調剤料ルールと算定のポイントを徹底解説
調剤報酬(お薬の代金の計算ルール)は非常に複雑で、最初は戸惑うことも多いかと思います。
特に、処方箋に書かれたお薬をどのようにまとめて「1剤(1調剤)」として数えるのか、あるいはバラバラに「別剤」として数えるのかというルールは、窓口での会計計算に直結する非常に重要なポイントです。
今回は、2016年度(平成28年度)の改定で明確化された「同一の有効成分であって同一剤形の薬剤」の取り扱いについて、具体例を交えて徹底的に解説していきます。
以下に別剤形は別調剤としてカウントするというルールを明確化した2016年疑義解釈その(2)についてのPDFファイルを添付します。必要な方はダウンロードしてください。ブラウザはgoogle chromeを推奨します。
1. そもそも「調剤料」の計算ルールとは?
調剤薬局での会計において、お薬の代金(薬剤料)とは別に、薬剤師が調剤を行ったことに対する手数料として「調剤料(現在は調剤技術料の中の各項目)」が発生します。
この計算の基本単位となるのが「剤(ざい)」や「調剤(ちょうざい)」という考え方です。
通常、内服薬(飲み薬)は「1剤」につき何点、外用薬(塗り薬や貼り薬など)は「1調剤」につき何点という形で計算されます。
ここで重要になるのが、「処方箋に3種類のお薬が書いてあったら、必ず3剤分もらえるのか?」というと、実はそうではないということです。一定の条件に当てはまる場合は、複数の薬が書いてあっても「まとめて1つ(1剤・1調剤)」として計算しなければならないというルールがあります。
その条件こそが、今回詳しく解説する「同一有効成分かつ同一剤形」というルールです。
2. 「同一有効成分」と「同一剤形」の基本ルール
厚生労働省のルール(疑義解釈)では、以下のように定められています。
「同一の有効成分であって同一剤形の薬剤が複数ある場合は、その数にかかわらず1剤(1調剤)とする」
これは言い換えると、「中身(成分)が同じで、形(剤形)も同じなら、いくつ処方されていても、まとめて1回分の手数料しか計算できませんよ」ということです。
では、「同じ中身」や「同じ形」とは具体的にどのような範囲を指すのでしょうか。
「同一有効成分」とは?
有効成分とは、お薬の効き目の元となる物質のことです。
例えば、「プレドニン錠」と「プレドニゾロン錠」は、名前は少し違いますが有効成分はどちらも「プレドニゾロン」で同じです。また、先発医薬品(ブランド品)とそのジェネリック医薬品(後発品)も、有効成分は同じです。
「同一剤形」とは?
ここが一番の注意ポイントです。実は「剤形(お薬の形)」の分類は、私たちが普段感じているイメージよりも細かくルール化されています。
例えば「普通の錠剤」と「水なしで飲める錠剤(OD錠)」は、一見似ていますが、このルール上は「別の形」として扱われます。
3. 内服薬における「剤形」の分類リスト
内服薬(飲み薬)の場合、以下の分類はそれぞれ「別々の剤形」として取り扱います。これらが異なれば、成分が同じでも別々に調剤料を計算できる可能性があります。
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錠剤(普通の飲み込むタイプ)
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口腔内崩壊錠(OD錠)(口の中で溶けるタイプ)
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カプセル剤
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散剤・顆粒剤・細粒剤・末剤(粉薬の仲間。これらはさらに細かく分かれますが、基本は粉状のもの)
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液剤・シロップ剤
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経口ゼリー剤
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チュアブル錠(かみ砕いて飲むタイプ)
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舌下錠(舌の下に入れて溶かすタイプ)
など。
【具体例で学ぶ】内服薬の算定ケース
新人の事務さんが現場で遭遇しやすい具体的なケースを見てみましょう。
ケース①:同じ錠剤で、ミリ数が違う場合(漸減処方など)
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Rp1:プレドニン錠5mg 4錠(朝夕食後) 5日分
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Rp2:プレドニゾロン錠1mg 3錠(朝食後) 5日分
この場合、成分はどちらも「プレドニゾロン」、剤形はどちらも「錠剤」です。
したがって、「同一有効成分・同一剤形」に該当します。処方箋には2行に分かれて書かれていますが、計算上は「1剤」としてまとめます。日数も合計して「10日分」として算定することになります。
ケース②:メーカーが違う場合
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Rp1:リスペリドン錠1mg「NP」 1錠(朝食後) 5日分
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Rp2:リスペリドン錠2mg「アメル」 1錠(夕食後) 5日分
メーカー(屋号)が「ニプロ」と「共和薬品」で異なりますが、成分(リスペリドン)も剤形(錠剤)も同じです。これも「同一有効成分・同一剤形」なので、合わせて「1剤(5日分)」となります。
ケース③:剤形が違う場合
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Rp1:ガスター錠20mg 1錠(夕食後)
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Rp2:ガスターD錠20mg 1錠(朝食後)
「ガスター錠」は普通の錠剤、「ガスターD錠」は口腔内崩壊錠(OD錠)です。
先ほどのリストを見ると、これらは「別剤形」として扱われます。したがって、成分が同じファモチジンであっても、これらは別々に調剤料を算定することが可能です。
4. 外用薬における「剤形」の分類リスト
外用薬(塗り薬、貼り薬、目薬など)は、内服薬よりも剤形の種類が多く、間違いやすい部分です。以下のリストにあるものは、それぞれ「別々の剤形」として扱います。
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軟膏剤
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クリーム剤
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ローション剤
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液剤
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スプレー剤
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ゲル剤
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テープ剤(茶色い薄い湿布など)
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パップ剤(白くて分厚い湿布など)
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点眼剤(目薬)
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点鼻剤(鼻の薬)
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坐剤(座薬)
【具体例で学ぶ】外用薬の算定ケース
外用薬は「1種類につき10点(処方箋受付1回につき計3調剤まで)」のように算定しますが、同じ成分の薬が複数出た時に注意が必要です。
ケース①:湿布の「テープ剤」と「パップ剤」
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Rp1:モーラステープL40mg 35枚
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Rp2:モーラスパップ30mg 35枚
どちらも有効成分は「ケトプロフェン」ですが、剤形が「テープ剤」と「パップ剤」で異なります。
2016年の疑義解釈により、これらは「別剤形」と確定しました。そのため、それぞれ10点ずつ、合計20点(2調剤分)の調剤料を算定できます。
ケース②:ヒルドイドの各種剤形
保湿剤でおなじみの「ヒルドイド(成分名:ヘパリン類似物質)」は、非常に多くの剤形があります。
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ヒルドイドソフト軟膏(剤形:軟膏)
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ヒルドイドクリーム(剤形:クリーム)
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ヒルドイドローション(剤形:ローション)
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ヘパリン類似物質外用スプレー(剤形:スプレー/泡状スプレー)
これらは成分はすべて同じですが、剤形分類がすべて異なります。そのため、もし1枚の処方箋にこれらが同時に出ていても、それぞれ別調剤としてカウントすることができます。

5. 混合薬剤における「比率の変更」と調剤料
次に、少し応用編となる「お薬を混ぜ合わせる(計量混合)」場合のルールについて解説します。
皮膚科などで、2種類の軟膏を混ぜて処方されることがよくあります。この時、「混ぜる比率が違う処方が2つあったらどうなるか」という問題です。
例:配合比率が異なる場合
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Rp1:A剤 10g + B剤 20g(比率 1:2)
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Rp2:A剤 20g + B剤 20g(比率 1:1)
このように、混ぜ合わせる薬剤の成分自体は同じでも、「濃度(比率)」を変えて処方されている場合、これらはそれぞれを別調剤として取り扱います。
この場合、算定できるものは以下の通りです。
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Rp1の調剤料 + 計量混合調剤加算
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Rp2の調剤料 + 計量混合調剤加算
つまり、手間がかかっている分、それぞれに対して調剤料と加算(混ぜる手数料)を算定できるということになります。これも「成分が同じだから1つにまとめなきゃ!」と勘違いしやすいポイントですので、事務スタッフとしてはしっかり押さえておきたいルールです。
6. なぜこのルールを知っておく必要があるのか
医療事務(調剤事務)の仕事は、レセコン(コンピューター)にお薬を入力することですが、レセコンは時として自動でまとめてくれたり、逆にまとめ忘れたりすることがあります。
最終的に正しい点数になっているかを確認するのは人間の目です。
もし「同一成分・同一剤形」なのに別々に算定してしまった場合、それは「過剰請求」となってしまい、後で保険者(審査機関)から返戻(差し戻し)を食らったり、患者様に多くお金を請求してしまったりすることに繋がります。
逆に、「別剤形」なのに「成分が同じだから」と勝手にまとめて算定してしまうと、今度は薬局としての正当な利益を損なうことになってしまいます。
事務スタッフが注意すべきチェックポイント
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成分名をチェックする:商品名が違っても成分が同じもの(ジェネリック等)がないか。
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剤形リストを思い出す:特に「テープとパップ」「軟膏とクリーム」「錠剤とOD錠」は別物であると意識する。
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内服薬の「剤」の数え方:1日の中で飲むタイミング(用法)が違っても、成分と剤形が同じなら1剤にまとめる。
7. 後発医薬品への変更時との違いに注意!
最後に、非常にややこしい話を一つだけ補足します。
今回の「同一剤形」のルールは、あくまで「調剤料を計算する時のルール」です。
一方で、皆さんが日々行っている「先発品からジェネリック医薬品(後発品)への変更」の際には、また別の「剤形区分」というルールが存在します。
例えば、変更調剤のルールでは「錠剤」を「OD錠」に変更することは(患者さんの同意があれば)認められていますが、調剤料の計算ルールでは「錠剤」と「OD錠」は「別剤形」です。
「変更してもいい範囲」と「調剤料をまとめて計算する範囲」は、似ているけれど別のルールである、ということを頭の片隅に置いておいてください。
まとめ
今回の内容を簡潔にまとめます。
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「同一有効成分」かつ「同一剤形」のお薬が複数ある場合は、処方箋の行が分かれていても「1剤(1調剤)」としてまとめて算定します。
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成分が同じでも、「剤形」が異なれば別々に算定できます(例:錠剤とOD錠、テープ剤とパップ剤、軟膏とクリームなど)。
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内服薬では、漸減処方(少しずつ量を減らす)や、メーカー違いであっても、成分と形が同じならまとめます。
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外用薬では、2種類の薬を混ぜる際に、その混合比率が異なる処方が複数ある場合は、それぞれ別々に算定し、計量混合調剤加算もそれぞれにつけられます。
調剤事務の仕事は、こうした細かいルールの積み重ねです。最初は「これって一緒にしていいの?」と迷うこともあるでしょう。その時は、今回ご紹介した「剤形リスト」を思い出してみてください。
正確な算定を行うことは、患者様への信頼と薬局の経営を守る大切な一歩です。少しずつ覚えて、自信を持って入力できるようになっていきましょう。応援しています!


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