2026年6月から薬代が変わる?先発医薬品とジェネリックの差額負担「選定療養」を徹底解説(患者様用PDFファイルあり)

2026年6月から薬代が変わる?先発医薬品とジェネリックの差額負担「選定療養」を徹底解説(患者様用PDFファイルあり)

「いつもの先発医薬品をもらいに行ったら、なんだか少し高くなった気がする……」
そんな経験はありませんか?実は今、日本の医療制度において、お薬代の計算方法が徐々に変わろうとしています。

特に注目すべきは「2026年6月」です。この時期から、あえて「先発医薬品(新薬)」を希望した場合の患者さんの自己負担額が、さらに引き上げられることが決まっています。

「ジェネリック医薬品って本当に大丈夫なの?」「どうして先発品を選ぶと高くなるの?」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。この記事では、、先発医薬品とジェネリック医薬品の違い、そして2026年から負担金が増額となる「選定療養費」の仕組みについて詳しく解説します。

「選定療養費」の負担金が増額となる件をお知らせするためのPDFファイルを作成しました。ご利用の方は以下よりダウンロードしてください。ブラウザはgoogle chromeを推奨します。

 

2026年6月選定療養

1. 先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック医薬品)の違いとは?

まず基本となる、お薬の種類について整理しておきましょう。私たちが薬局で受け取るお薬には、大きく分けて「先発医薬品」と「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」の2種類があります。

先発医薬品(新薬)とは

先発医薬品は、世界で初めて開発されたお薬のことです。一つの薬が誕生するまでには、10年以上の長い歳月と、数百億円から数千億円という莫大な研究開発費がかかります。そのため、開発したメーカーには一定期間、その薬を独占的に販売できる「特許」が認められています。特許期間中は他の会社が同じ薬を作ることはできず、開発コストを回収するために価格(薬価)も高めに設定されています。

後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは

先発医薬品の特許が切れた後に、他のメーカーから製造・販売されるお薬が「ジェネリック医薬品(後発品)」です。
最大の特長は、先発品と同じ「有効成分」を、同じ量含んでおり、「効き目」や「安全性」が同等であることです。すでに安全性が確認されている成分を使用するため、開発費用を大幅に抑えることができ、その分、お薬の価格も先発品の4割〜8割ほど安く設定されています。

「安いから品質が悪いのでは?」と心配される方もいますが、ジェネリック医薬品は国の機関(PMDA:医薬品医療機器総合機構)による厳しい審査をクリアしなければ販売できません。品質や効き目に関しては、国が太鼓判を押しているものなのです。

2026年6月選定療養費

2. 「選定療養」という新しいルールが始まった背景

2024年9月まで日本では、先発品を選んでもジェネリックを選んでも、患者さんが窓口で支払う「負担割合(3割など)」は変わりませんでした。しかし、少子高齢化が進む中で、将来にわたり国民皆保険制度(みんなが等しく医療を受けられる仕組み)を守るため、お薬代の無駄を省く必要が出てきました。

そこで導入されたのが「選定療養(せんていりょうよう)」という仕組みです。

選定療養とは一言で言えば、「ジェネリック医薬品があるのに、あえて先発医薬品を希望する場合、その差額の一部を『特別な料金』として患者さん自身が全額負担する」というルールです。

これは、「贅沢品としての選択」に近い考え方です。医療上どうしても必要であれば保険でカバーしますが、「患者様ご自身のこだわり」として先発品を選ぶのであれば、その分は追加で負担してください、というメッセージでもあります。

3. 2026年6月から何が変わる?負担額が「2倍」になる仕組み

この選定療養費の仕組みは、実は2024年10月からすでに段階的に始まっています。しかし、2026年6月1日からは、その負担額がさらに大きく引き上げられることになりました。

具体的な変更点は以下の通りです。

現行(2026年5月末まで)の負担

先発医薬品とジェネリック医薬品の「価格の差」のうち、「4分の1(25%)」を特別な料金として患者さんが負担しています。

2026年6月からの負担

先発医薬品とジェネリック医薬品の「価格の差」のうち、「2分の1(50%)」を特別な料金として負担することになります。

つまり、「差額に対する負担割合が2倍に増える」ということです。

具体的な金額のイメージ(3割負担の方の場合)

例えば、先発品の価格が100円、ジェネリックの価格が60円のお薬があるとします。この時の差額は40円です。

– 2026年5月まで: 差額40円の4分の1にあたる「10円」が追加負担になります(ここに消費税が加わります)。

– 2026年6月以降: 差額40円の2分の1にあたる**「20円」**が追加負担になります(ここに消費税が加わります)。

お薬は1錠だけでなく、1日3回、30日分……と処方されることが多いため、この「10円の差」が積み重なると、1回の会計で数百円〜数千円の差になって現れます。さらに、この特別な料金には消費税がかかること、そして「高額療養費制度」の対象外(全額自己負担)であることにも注意が必要です。

令和8年4月以降の選定療養対象品目が1007品目から776品目へ(エクセルダウンロードあり)
令和8年4月以降の選定療養対象品目が1007品目から776品目へ(エクセルダウンロードあり)令和8年4月1日以降の選定療...

4. ジェネリック医薬品を選ぶメリットは「価格」だけではない

「安かろう悪かろう」ではなく、最近のジェネリック医薬品は、むしろ先発品よりも「使いやすさ」で進化しているものがたくさんあります。

– 飲みやすさの工夫: 先発品の錠剤が大きくて飲みにくい場合、ジェネリックでは最新の技術で錠剤を小さくしたり、形を変えて飲み込みやすくしたりしています。

– 味の改良
苦味の強いお薬をコーティングして飲みやすくしたり、水なしでラムネのように口の中で溶ける「OD錠」を開発したりと、お子様や高齢の方でも継続しやすい工夫がなされています。

– 間違い防止の工夫
お薬のシート(PTPシート)に薬の名前を大きく印字したり、識別しやすい色にしたりすることで、飲み間違いを防ぐデザインが採用されています。

このように、ジェネリック医薬品を選ぶことは、家計を助けるだけでなく、治療をよりスムーズに続けるための「賢い選択」にもなり得るのです。

5. 先発品を使っても「追加負担」がかからないケース

「どうしてもジェネリックに変えたくない」「体質的に不安がある」という方もいらっしゃるでしょう。今回の制度変更でも、すべてのケースで追加負担が発生するわけではありません。以下のような場合は、これまで通り保険が適用され、特別な料金はかかりません。

1. 医師が「医療上の必要性がある」と判断した場合:
医師が処方箋の「変更不可」欄にチェックを入れ、署名をしている場合は、先発品を使っても追加負担は発生しません。例えば、ジェネリックに含まれる添加物にアレルギーがある場合などがこれに当たります。

2. 薬局にジェネリックの在庫がない場合:
お薬の供給不足などが原因で、薬局に該当するジェネリック医薬品の在庫がない場合は、先発品が調剤されても選定療養費はかかりません。

3. ジェネリックがまだ発売されていないお薬の場合:
新薬として登場したばかりで、まだ特許が切れていないお薬については、そもそも比較対象がないため、追加負担はありません。

6. 切り替えに不安がある方へ:まずは「お試し」から

「今までずっと先発品だったから、いきなり変えるのは勇気がいる」という方には、「分割調剤」という方法をおすすめします。

これは、例えば30日分のお薬のうち、最初の1週間分だけをジェネリックにして様子を見て、体調や効き目に問題がなければ残りの分もジェネリックで受け取る、という仕組みです。

また、最近では「オーソライズド・ジェネリック(AG)」と呼ばれる、先発品と全く同じ工場、全く同じ原料・添加物で作られた「中身が全く同じジェネリック」も増えています。これを選べば、心理的な不安も大幅に軽減されるはずです。

7. まとめ

2026年6月から実施される診療報酬改定により、先発医薬品を希望した際の自己負担額(選定療養費)は、これまでの「差額の4分の1」から「差額の半分」へと引き上げられます。

この制度変更の背景には、国の医療財政を守り、次世代にも安心な医療体制を引き継いでいくという大きな目的があります。ジェネリック医薬品は、国が認めた高い品質と安全性を持ちながら、私たちの家計負担を減らし、さらには飲みやすさの工夫まで加えられたお薬です。

お薬は、病気を治すための大切なパートナーです。今回の制度変更をきっかけに、ご自身が服用しているお薬について、改めて薬剤師とじっくり話をしてみてはいかがでしょうか。納得してお薬を選ぶことが、より良い健康づくりへの第一歩となります。

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