- リスト公開!市販薬と同じ成分の薬が「値上げ」:エクセルダウンロードあり
- 1. 市販薬に似た薬は「4分の1」を追加徴収
- 2. 「長く使われている先発品(長期収載品)」はさらに負担増
- 3. 「食べられる人」への栄養剤は保険対象外に
- いつから始まる?
- 負担が増えない人は?(配慮の対象)
- なぜこんな制度ができるの?
- OTC類似薬の保険適用維持と追加負担の議論
- 背景
- まとめ
- 医療保険部会で「選定療養」見直し案を議論:長期収載品・バイオ医薬品・OTC類似薬が焦点に
- 長期収載品の追加負担案
- 先行バイオ医薬品も選定療養の対象に?
- OTC類似薬の保険給付見直し
- 2024年10月からお薬の値段が上がる?選定療養は生活保護受給者以外が対象
- 2024年10月スタートの長期収載品の選定療養制度と生活保護受給者の対応が開示(2024/8/28)
- 2024年10月スタートの選定療養制度についてポスター開示(2024/8/9)
- 2024年10月スタートの選定療養制度には対象外の者は設けていません
リスト公開!市販薬と同じ成分の薬が「値上げ」:エクセルダウンロードあり
2025年12月、日本の医療制度が大きく変わるニュースが入ってきました。自民党と日本維新の会が、「市販薬と同じような成分の医療用医薬品(処方薬)」などの自己負担を引き上げることで合意したという内容です。
「病院でもらう薬が今までより高くなるの?」と不安に思う方も多いはず。具体的に何が変わるのか、ポイントを絞って解説します。
開示されている情報としては、
ロキソプロフェンナトリウム水和物(ロキソニン錠)
ヘパリン類似物質(ヒルドイド)、エピナスチン塩酸塩(アレジオン)
フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ)
カルボシステイン(ムコダイン)
ロラタジン(クラリチン)
イブプロフェン
ジクロフェナク(ボルタレン)
フェルビナク(セルタッチ)
ベタメタゾン吉草酸(リンデロン)
ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド)
エクセルファイルで負担金が増額となる医薬品リストを作成しました。ご利用の方は以下よりdownloadしてください。
1. 市販薬に似た薬は「4分の1」を追加徴収
今回の目玉は、ドラッグストアなどで買える「OTC医薬品(市販薬)」と同じ成分を含む処方薬への対応です。
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対象となる薬: 湿布、アレルギー薬(花粉症など)、胃腸薬、保湿剤など。約1100品目が対象になる見込みです。
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仕組み: 薬代の4分の1(25%)を「特別料金」としてまず上乗せし、残りの金額に対していつもの窓口負担(3割など)がかかります。
(例:薬代が300円の場合)
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これまでは… 3割負担で 90円
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これからは… 特別料金(75円)+ 残りの3割負担(67.5円)= 142.5円
→ 実質、1.5倍以上の負担増になります。
2. 「長く使われている先発品(長期収載品)」はさらに負担増
すでに始まっている「長期収載品(特許が切れた先発医薬品)」の追加負担制度も強化されます。
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現在は「ジェネリックとの差額の4分の1」を追加負担していますが、これを「2分の1(半分)」に引き上げる方針です。
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「どうしても使い慣れた先発品がいい」という場合の負担がさらに重くなります。
(医学的な理由や供給状況を理由に先発医薬品を調剤した場合は除きます)
3. 「食べられる人」への栄養剤は保険対象外に
食事を口から摂ることができる患者さんに対する「栄養補給薬(エネーボ、ラコール、エンシュアHなど)」についても、食品で代用できる場合は保険の対象外(全額自己負担)とする方針です。
※ただし、手術後やチューブで栄養を摂っている方は引き続き保険が適用されます。
いつから始まる?
2026年度(令和8年度)中の実施を目指しています。来年の通常国会で法案が提出され、準備期間を経て2026年後半ごろにスタートする見通しです。
負担が増えない人は?(配慮の対象)
すべての人が一律に値上げされるわけではありません。以下のようなケースでは、負担が増えないよう配慮が検討されています。
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子ども
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がん患者や難病患者の方
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低所得者の方
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入院患者の方
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医師が「医療上、長期の使用がどうしても必要」と判断した方
なぜこんな制度ができるの?
一言で言えば、「膨らみ続ける国の医療費を抑えるため」**です。
今回の見直し全体で、年間で約1880億円の医療費抑制効果を見込んでいます。また、「軽い症状なら病院へ行かずにドラッグストアで薬を買う」という「セルフメディケーション」を促す狙いもあります。
OTC類似薬の保険適用維持と追加負担の議論
厚生労働省は11月27日に開かれた第205回社会保障審議会医療保険部会で、OTC類似薬(市販薬と同成分を含む処方薬)を公的医療保険の対象から外さず、患者に追加の自己負担を求める案を提示しました。委員から反対意見はなく、実質的に了承された形です。
背景
- 前回の部会では4つの患者団体が参加し、保険適用除外に強く反対していました。
- 厚労省は議論を踏まえ、薬剤そのものは保険給付対象とした上で「費用負担の在り方」を検討する方向にシフト。
論点
- 医療機関で必要な受診を確保するため、薬剤を保険対象外にせず、患者に追加負担を求めることをどう考えるか。
- 追加負担を求める場合、どの程度が適切か。
委員の意見
- 健保連の佐野雅宏氏:「現実的な方向性。負担額は選定療養を参考に検討すべき」
- 日医の城守国斗氏:「保険適用を維持するのは当然。負担が過大にならない制度設計が必要」
- その他の委員も反対せず、厚労省案は概ね了承。
今後の検討課題
- 追加負担を求めない対象者の範囲:18歳以下、公的支援を受ける人、長期的にOTC類似薬を必要とする人、入院患者など。
- 追加負担を求める薬剤の範囲をどう設定するか。
まとめ
厚労省は「保険適用は維持しつつ、患者に一定の追加負担を求める」という方向性を示しました。今後は、負担の具体的な水準や対象範囲を詰める議論が進み、患者の公平性と医療制度の持続可能性の両立が問われることになります。
医療保険部会で「選定療養」見直し案を議論:長期収載品・バイオ医薬品・OTC類似薬が焦点に
2025年11月6日、厚生労働省は社会保障審議会医療保険部会にて、長期収載品に対する選定療養制度の見直し案を提示しました。現在、後発医薬品との価格差の4分の1を患者が負担していますが、これを「2分の1」「4分の3」「全額」へと引き上げる案が検討されています。
長期収載品の追加負担案
- 保険者側からは負担引き上げに賛同の声が多く、「対象範囲の拡大」も提案されました。
- 一方で「後発品の安定供給が前提」とする慎重論もあり、供給体制の整備が課題です。
- 実際の患者負担は「3000円未満」が99.8%ですが、長期処方では「1万円超」の例もあり、影響分析が求められています。
先行バイオ医薬品も選定療養の対象に?
- バイオシミラーへの置き換えが進んでいる製品について、選定療養の枠組み適用を求める声がある一方、
- 「置き換え状況にばらつきがある」「現場の連携体制が不十分」として慎重な意見も。
OTC類似薬の保険給付見直し
- OTC(市販薬)で代替可能な医療用医薬品について、自己負担や償還率の変更、保険適用除外の検討が提案されました。
- しかし「患者が適切に薬を選ぶのは困難」「制度が複雑化すると理解が得られない」といった懸念も根強く、特に子ども・慢性疾患患者・低所得層への配慮が重要視されています。
上記が2026年4月以降の保険医療にどのように組み込まれていくか注目です。
2024年10月からお薬の値段が上がる?選定療養は生活保護受給者以外が対象
2024年10月から開始される「長期収載品の選定療養」では、いわゆる後発医薬品が存在するのに先発医薬品での調剤を希望する場合に、患者さんの負担金が増えますよと言うルールとなります。
この制度の対象となる患者さんは医療保険に加入している方が対象となります。
国の公費負担療養制度により一部負担金が助成等されている患者さんも該当しますので、ザックリ言いますと医療保険に加入しつつ以下の公費負担医療制度に加入している方は選定療養制度の対象となりますので、負担金が増えます。
1結核医療
2 感染症の入院医療
4自立支援医療(1)
5自立支援医療(2)
6 療養介護医療
7 療育の給付/肢体不自由児通所医療/障害児入所医療
8 小児慢性特定疾病医療支援
9 難病患者への医療支援
10 原子爆弾被爆者に対する医療
11 児童福祉法による措置等に係る医療
12 未熟児に対する養育医療
13 精神保健福祉法による措置入院
14 肝炎治療特別促進事業/B型・C型肝炎治療
唯一、負担金が発生しないのは、生活保護受給者の方です。生活保護受給者は医療保険が適応されず、生活保護法による医療扶助という仕組みで医療が現物支給されているからです。その場合、長期収載品での調剤が不可となり、ジェネリック医薬品でのみ調剤することが可能というルールとなることをご留意ください。
尚、医薬品を混合する際に、後発医薬品を用いることで配合変化により薬が分離する場合であって、長期収載品を用いることにより配合変化が回避できる場合は、必要性があると認められるとしています。例としてはヒルドイドソフト軟膏とアンテベート軟膏の混合はOKですが、ヒルドイドソフトとベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酢酸エステル軟膏(アンテベートのGE)とは分離するため混合できないといった例が挙げられます。
2024年10月スタートの長期収載品の選定療養制度と生活保護受給者の対応が開示(2024/8/28)
厚生労働省は、2024年10月からスタートする長期収載品の選定療養制度について、疑義解釈を公表し、生活保護受給者への対応を開示しました。
結論としては
生活保護受給者である患者が医療上必要性があると認められないにも関わらず、単にその嗜好から長期収載品の処方・調剤を希望する場合は、医療機関、保険薬局で後発品の提供が可能である場合は長期収載品を医療扶助、保険給付の支給対象として処方、調剤できないと説明しています。
そのため、長期収載品を希望した場合であっても、医療扶助の支給対象とはならないため、「後発品の処方・調剤を行う」こととしています。
ただし、長期収載品の処方が医療上必要であると認めらえれた場合は、医療扶助の支給対象となります。
問7 生活保護受給者である患者が長期収載品を希望した場合は、どのように取り扱うことになるのか
【長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象にならない場合】
「生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬」(昭和 34 年厚生省告示第 125 号)第2に基づき、生活保護受給者については、長期入院選定療養以外の選定療養は医療扶助の支給対象とはならないとしている。
このため、生活保護受給者である患者が、医療上必要があると認められないにもかかわらず、単にその嗜好から長期収載品の処方等又は調剤を希望する場合は、当該長期収載品は医療扶助の支給対象とはならないため、生活保護法(昭和 25 年法律第 144 号)第 34 条第3項に基づき、後発医薬品処方等又は調剤を行うこととなる。
【長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象になる場合】
長期収載品の処方等を行うことに医療上必要があると認められる場合は、当該長期収載品は医療扶助の支給対象となる。
問8 生活保護受給者である患者が、単にその嗜好から長期収載品を選択した場合、「特別の料金」を徴収するのか。
生活保護受給者である患者について、医療上の必要性があると認められず、かつ、保険医療機関又は保険薬局において後発医薬品を提供することが可能である場合は、長期収載品を医療扶助又は保険給付の支給対象として処方等又は調剤することはできないため、当該患者が単にその嗜好から長期収載品を希望した場合であっても、後発医薬品を処方等又は調剤することとなる。そのため、「特別の料金」を徴収するケースは生じない。
2024年10月スタートの選定療養制度についてポスター開示(2024/8/9)
厚生労働省は、2024年10月から始まる選定療養制度について、同ホームページにポスターを公開しました。
令和6年10月からの医薬品の自己負担の新たな仕組みとして、先発医薬品の処方を希望される場合は、特別の料金をお支払いいただきます。
2024年10月スタートの選定療養制度には対象外の者は設けていません
2024年10月からスタートする長期収載品の選定療養に関する疑義解釈(Q&A)が開示されました。。
長期収載品の処方等又は調剤の取り扱いに関する疑義解釈資料(その1)
色々書いてありますが、ザックリ解釈を記しますと
・処方箋の「変更不可」にチェックが入っていれば保険給付の対象
・長期収載品と後発医薬品とで効能効果さに差異があり、医師が医療上の必要性を認めるものは保険給付の対象
・副作用や相互作用、治療効果で先発品との差異があると医師が販売したものは保険給付の対象
・ガイドラインで長期収載品を使用している患者について後発品を切り替えないことが推奨されていれば保険給付の対象
上記の内容に懸念があれば、医師へ疑義照会をするよう求めらえています。
一方で、以下のような剤形上の治療により医療上の必要性については、疑義照会が不要で、薬剤師の判断で後発品に変更調剤可能というルールとなりました。
・先発と後発の剤形上に治療により、医療上の必要がある場合は保険給付の対象。剤形の好みによる長期収載品の選択は不可。
選定療養制度では、長期収載品を処方した医師等が「医療上の必要性」を判断して必要と認められた場合は保険給付とすることが示されています。
疑義解釈では、医師等が長期収載品を処方した際に「医療上の必要性」を判断する基準を明確化されました。
【医療上の必要性について】
問1 医療上の必要があると認められるのは、どのような場合が想定されるの
か。
(答)保険医療機関の医師又は歯科医師(以下、医師等)において、次のように判断する場合が想定される。
① 長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合(※)であって、当該患者の疾病に対する治療において長期収載品を処方等する医療上の必要があると医師等が判断する場合。
② 当該患者が後発医薬品を使用した際に、副作用や、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、先発医薬品との間で治療効果に差異があったと医師等が判断する場合であって、安全性の観点等から長期収載品の処方等をする医療上の必要があると判断する場合。
③ 学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されており、それを踏まえ、医師等が長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合
④ 後発医薬品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化ができないなど、剤形上の違いにより、長期収載品を処方等をする医療上の必要があると判断する場合。ただし、単に剤形の好みによって長期収載品を選択することは含まれない。
また、保険薬局の薬剤師においては、
・ ①、②及び③に関して、医療上の必要性について懸念することがあれば、医師等に疑義照会することが考えられ、また、④に関しては、医師等への疑義照会は要さず、薬剤師が判断することも考えられる。なお、この場合においても、調剤した薬剤の銘柄等について、当該調剤に係る処方箋を発行した保険医療機関に情報提供すること。

さらに開示されたQ&Aには、国の公費負担医療制度によって一部負担金が助成されている患者が長期収載品を希望した場合の対応も記されているのですが、今般、対象外の者は設けておらず、国の公費負担医療制度の対象となっている患者が、長期収載品を希望した場合につても、他の患者と同様に、長期収載品の選定療養の対象となる。
尚、医療上の必要性があると認められる場合に該当する場合は、従来通りの保険給付として差し支えない。
としています。


