おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

ジェネリック医薬品発売開始 睡眠薬

各社から発売されるルネスタ錠のGE(エスゾピクロン錠)の薬物動態比較

投稿日:2021年3月20日 更新日:

各社から発売されるルネスタ錠のGE(エスゾピクロン錠)の薬物動態比較

2021年6月中旬にルネスタ錠のジェネリック医薬品”エスゾピクロン錠”が発売されます。

各社から発売されるエスゾピクロン錠の薬物動態についてエクセル比較データを作成し、各製剤の特徴をまとめました。

ご希望の方は以下からエクセルデータをダウンロード可能です。

同一製剤

2021年6月に発売されるルネスタ錠のジェネリック医薬品の薬物動態を比較したところ、以下のメーカーから発売されるエスゾピクロン錠の薬物動態が同じであることが確認されました。

・ニプロ、杏林、TCK

・トーワ、日新、明治、日医工、DSEP、YD

・サワイ、KMP

・NPI、アメル、ケミファ

2021年6月に、10数社からはエスゾピクロン錠が発売されるわけですが、その薬の中身を実際に見てみると、4種類のどれかであることがわかります。

添加物比較

先発品と添加物が同じジェネリックが好ましと考える場合は

トーワ、日新、明治、日医工、DSEP、YD

上記5社から発売されるエスゾピクロン錠がよいと思います。

上記5社が発売するエスゾピクロン錠に含まれる添加物リストを確認したところ、どの成分も先発品に含まれてる成分と同じであり、さらに先発品のルネスタ錠に含まれている添加物よりも品目数が少ないことが確認できます。

そのためジェネリック医薬品へ変更したことで「添加物が違うので・・・」という患者様への説明が割愛されるかと思われます。

薬物動態比較

ルネスタ錠は睡眠薬ですので、ジェネリック医薬品へ変更することで寝つきが悪くなっては意味がありません。

どの製剤もAUCは±3%以内、Cmaxも±8%以内におさまっており、良質な製剤であることがわかります。(体内に取り込まれる量、効き目がピークになるときの濃度にバラツキは少ない)

あくまで参考値ではあるのですが、表示されているTmax(効き目がピークになるまでの時間)を確認してみると

サワイ、KMP

上記2社から発売されるエスゾピクロン錠は、Tmaxが先発よりも若干短い(効き目が早い)ことが確認できます。誤差程度の数値ではあるものの、薬の発動時間が早い、入眠までの時間が短い製剤であることが示唆されます。

サインバルタカプセルのジェネック医薬品(デュロキセチン)が続々発売へ(2021/7/29)

錠剤サイズ

・ニプロ、杏林、TCK

上記3社から発売されるエスゾピクロン錠は錠剤サイズの直径が先発よりも1.5㎜大きい製剤となっています。

それ以外のメーカーから発売されるエスゾピクロン錠は先発品と同じか0.1㎜小さい製剤となっています。

錠剤分包機を使用して、先発品のルネスタ錠から後発品のエスゾピクロン錠へカセットを使いまわす場合は錠剤径が0.2㎜以内であると、一般的に使いまわしが可能と考えられていますので、カセットを使いまわす場合は、そのあたりもメーカー選定の1要因となるかなぁと思います。

tab4

tab4

-ジェネリック医薬品発売開始, 睡眠薬
-2021年6月, エスゾピクロン錠, ジェネリック, ルネスタ錠, 比較

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

関連記事

GE

2019年12月発売のジェネリック医薬品リスト公開(2019年8月15日薬価追補収載品)

2019年12月発売のジェネリック医薬品リスト公開(2019年8月15日薬価追補収載品)   厚生労働省は2019年8月15日に12月発売の薬価追補収載品について承認申請を行いました。 &n …

red-tab1

レミニール錠のジェネリック医薬品(ガランタミン)のメーカー比較

レミニール錠のジェネリック医薬品(ガランタミン)のメーカー比較 2020年6月にレミニール錠のジェネリック医薬品が発売されます。各社からガランタミン錠の添付文書が公開されていましたので、各メーカーから …

tablet-1

トラムセット配合錠のジェネリック“トアラセット配合錠”のメーカー比較

トラムセット配合錠のジェネリック“トアラセット配合錠”のメーカー比較 2018年11月3日追記 トアラセット配合錠のジェネリックメーカー比較データ(トラマドール・アセトアミノフェンの薬物動態)を作成し …

USA-generic

米国におけるジェネリック医薬品供給不足に関する危機感

米国におけるジェネリック医薬品供給不足に関する危機感   米国のジェネリック医薬品市場は、その競争に起因する低価格化が急速に進んでおり、“新規の市場参入の難しさ”、“GEの品不足に関する危機 …

tab5

ベンゾジアゼピン系睡眠薬からベルソムラへの変更

ベンゾジアゼピン系睡眠薬からベルソムラへの変更 向精神薬処方の適正化としてベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上連続して同一の用法・用量で処方した場合は 処方料:420円→290円 処方せん料:680 …