新規糖尿病治療薬イメグリミン(imeglimin)の効果について
2019年11月28日追記
日本人208例を対象として、
インスリンと併用して1日2回1回1000mgのイメグリミンを52週間(1年間)服用した際のHbA1cの減少率:-0.64%
インスリン&プラセボを16週間(4カ月)併用後、インスリン&1日2回1回1000mgのイメグリミンを36週間(8カ月)服用した際のHbA1cの減少率:-0.54%
忍容性は52週間全体を通して良好であり、プラセボ対象試験においてもイメグリミン投与群とプラセボ投与群で有害事象は類似していた。
イメグリミンを開発しているPoxe社は2020年にイメグリミンの製造販売承認を申請する見込みです。
イメグリミンは細胞内ミトコンドリアの生存率を高めることで、インスリン分泌促進・インスリン抵抗性改善・糖新生抑制作用を示し、血管障害の予防・血管拡張作用・膵臓β細胞保護作用が示唆されている化合物です。
フランスの医薬品企業POXEL SAは新規2型糖尿病治療薬イメグリミン(imeglimin)の日本人を対象とした第Ⅲ相試験について患者登録が完了したことを発表しました。イメグリミンは新規作用機序の糖尿病治療薬と記されていますので、わかる範囲ですがイメグリミンの効果について調べてみました。
イメグリミン(imeglimin)はWHO世界保健機関においてGliminsという化合物クラスに登録されており、新規作用機序の糖尿病治療薬として臨床試験が実施されています。イメグリミンはミトコンドリアの生体エネルギー利用能を標的とする化合物で、血糖やインスリン感受性に応答してインスリン分泌を改善するはたらきが報告されています。
試験管レベルの実験報告によると、高濃度の糖が存在する状況下において、インスリンを分泌するヒト膵臓β細胞の中にあるミトコンドリアは、PTP(ミトコンドリア膜透過性遷移孔)という穴を開いて細胞死することがこれまでにわかっていました(高グルコース誘発性の細胞死)。イメグリミン(imeglimin)はPTPが開くことを抑制する効果が報告されており、高濃度の糖にさらされた膵臓β細胞にイメグリミンを添加することでPTP(ミトコンドリアの開口穴)が開くことを抑制することで細胞の生存率が向上することが示されています。
膵臓β細胞はインスリンを分泌する機関ですので、高濃度の糖存在下において膵臓β細胞の減少を抑えることができれば、インスリン分泌能を維持することができ、インスリン抵抗性の改善や糖新生の抑制といった作用により血糖値を下げることが期待されます。
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追記
肝臓における糖新生抑制作用について
肝臓における過剰なグルコース産生を抑制する作用(糖新生抑制作用)に関して、イメグリミンはメトホルミンの有効性と同レベルでの阻害活性を有することが示唆されています。
骨格筋へのグルコース取り込みについて
ラットでの報告ですが、イメグリミンを経口投与したラットは45日間の治療期間において、グルコース分子の骨格筋への取り込みが有意に増加していたことが確認されました。
ヒトでの臨床試験について
イメグリミン2000mg1日1回投与、イメグリミン1000mgを1日2回服用(トータル2000mg)、メトホルミン850mgを1日2回服用(トータル1700mg)した試験では、4週間の治療後の結果、顕著な血糖値の減少が確認されました。(1日2回イメグリミン服用群とメトホルミン服用群が同等)
メトホルミン1900mg/日で服用している患者さんにイメグリミン1500mgを1日2回服用を追加すると、12週間の服用でHbA1cが0.65%減少することが示された(イメグリミンを追加しなかった群では0.21%の減少にとどまった)
日本人の2型糖尿病患者さんにイメグリミンを投与した臨床第Ⅱ相試験のデータを確認してみると、1日2回24週間にわたって299人の日本人2型糖尿病患者さんへ、イメグリミンをそれぞれ500mg、1000mg、1500mg投与した結果、HbA1cを0.52%、0.94%、1%低下させたという報告があり、1000mgと1500mgの効果に関しては何も飲まなかった比較群に比べて効果に有意差があることが確認されています。今後、第Ⅲ相試験が予定されており日本人の糖尿病患者さんを対象として1日2回1000mgのイメグリミンを52週間服用した時の他剤との比較データなどが予定されております。長期服用による臨床試験では効能効果に加えて安全性、忍容性(服用し続けることができるかどうか)なども調査されることになります。
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