2026年6月から「エンシュアが自費」「長期品の選定療養拡大」:財務省が推進
2026年6月から、医療保険制度に大きな見直しが入ります。
今回のポイントは次の2つ。
- ① 栄養剤(経口栄養補助食品)の給付制限(エンシュアH、ラコールなど)
- ② 長期収載品(先発品)の“選定療養”の対象拡大
どちらも「医療費の無駄を減らす」という財務省の方針に基づくものですが、患者や医療現場にとっては影響が大きい内容です。
① 栄養剤の給付制限とは?
まずは、エンシュアH・ラコールなどの 経口栄養補助食品 に関する見直しです。
■ なぜ制限されるのか?
本来、医療用栄養剤は
- がん治療中で食事が取れない
- 重度の低栄養状態
といったケースで使われるもの。
しかし近年、
「食が細い高齢者に“栄養ドリンク代わり”に処方されている」
と財務省が問題視。
医療費の増加を抑えるため、給付対象を厳格化する方向が示されています。
■ 今後どうなる?
厚労省が最終的な基準を定めますが、財務省案では
- BMIや血液検査など、客観的な低栄養の基準を満たす場合のみ保険適用
- 医師の裁量による“漫然処方”を抑制
といった方向性が示されています。
軽度の低栄養や「なんとなく食が細い」という理由では、保険が使えず、処方される場合は自費扱いとなる見通しです。
② 長期収載品の「選定療養」対象拡大とは?
こちらはすでに2024年10月から始まっている制度で、2026年6月にさらに拡大されます。
■ 選定療養とは?
簡単に言うと、
ジェネリックがあるのに、患者が先発品を選ぶ場合は差額の一部を自己負担する制度
です。
例
- 先発品:500円
- 後発品:250円
→ 差額250円の 1/4(62.5円+税) を追加負担
医師が「先発品でなければならない」と判断した場合は対象外です。
■ 2026年6月からどう変わる?
対象となる先発品の範囲が広がります。
- 後発品発売から 5年以上経過
- 後発品の 置換率が50%以上
こうした条件の薬が、より多く「選定療養」の対象になります。
つまり、
“先発品を選ぶ=追加負担” がさらに一般化する ということです。

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なぜこの2つを同時に進めるのか?
背景はシンプルで、
医療費の増加が限界に近づいているため。
- 高齢化で医療費が毎年増える
- 栄養剤の処方が急増
- 先発品の使用が依然として多い
- 後発品の供給不安が改善しつつある
財務省は
「無駄を減らし、新薬開発など必要な分野に財源を回すべき」
と主張しています。
患者への影響は?
■ 栄養剤の給付制限
- 軽度の低栄養では保険適用外になる可能性
- 在宅高齢者の負担増
- 医師の判断より“基準”が優先される場面が増える
■ 選定療養の拡大
- 先発品を希望すると追加負担
- ジェネリックへの切り替えがさらに進む
- 薬局での説明が増え、混乱が起きる可能性
まとめ:2026年6月は医療制度の“転換点”に
今回の見直しは、
「医療費の効率化」 を目的とした大きな制度改革です。
- 栄養剤は「本当に必要な人だけ」が保険適用
- 先発品を選ぶと追加負担が発生
- 医療費の構造が大きく変わるタイミング
患者・医療者ともに、早めに制度を理解しておくことが重要です。
