吸入薬・点鼻薬の捨て方:素材別の分別方法と注意点を徹底解説

吸入薬・点鼻薬の捨て方:素材別の分別方法と注意点を徹底解説

喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、アレルギー性鼻炎の治療に欠かせない吸入薬や点鼻薬。使い終わった後、どのように捨てればよいか迷ったことはありませんか?

多くの薬の添付文書には「地方自治体により定められた廃棄処理法に従うこと」と記載されています。しかし、実際にゴミ箱へ入れる際、それが「プラスチック」なのか「スプレー缶(不燃物)」なのか、あるいは「金属」を含むのか、判断に困ることも多いはずです。

この記事では、代表的な吸入薬・点鼻薬をその構造と素材から分類し、適切な廃棄方法を詳しく解説します。

1. 吸入デバイスの主な種類と素材の基本

吸入薬は、その形状や薬剤の出し方によって大きく3つのタイプに分けられます。まずはこの基本構造を理解しましょう。

ドライパウダー吸入器(DPI)

粉末状の薬を自分の吸う力で吸い込むタイプです。

– 主な素材: 外装は主にプラスチック。内部に薬剤を保持するためのアルミ箔(ブリスター)が含まれるものが多いです。
– 廃棄区分: 基本的には「可燃ごみ」または「プラスチックごみ」ですが、内部のアルミが気になる場合は自治体の判断によります。

加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)

ガス(噴射剤)の力で薬を噴霧するタイプです。

– 主な素材: 薬剤が入っている「アルミボンベ」と、それを覆うプラスチック製の「アダプター」で構成されています。
– 廃棄区分: アルミボンベは「スプレー缶」、アダプターは「可燃ごみ・プラスチックごみ」に分けて出すのが基本です。

ソフトミストインハラー(SMI)

霧状の薬をゆっくり放出するタイプ(レスピマットなど)です。

– 主な素材: プラスチックの本体と、金属製のカートリッジ。
– 廃棄区分: 本体とカートリッジを分解し、金属部分は「不燃ごみ」、本体は「プラスチックごみ」となります。

吸入器

2. 吸入薬の種類別・具体的な廃棄方法

それでは、各カテゴリーの薬剤ごとに具体的な素材と捨て方を見ていきましょう。

① 吸入ステロイド薬(ICS)

喘息の予防薬(コントローラー)として日常的に使用されるグループです。

– パルミコート(タービュヘイラー): 全体がプラスチック製です。使い切ったら「可燃ごみ(またはプラスチックごみ)」として処分します。

– フルタイドディスカス
「ディスカス」はプラスチックの中にアルミ箔が含まれています。一般的には「可燃ごみ」で受け付ける自治体が多いですが、厳しい地域では「不燃ごみ」となります。

– オルベスコ・キュバール
これらはpMDI(エアゾール型)です。プラスチックの容器から中のアルミボンベを抜き取り、ボンベは「スプレー缶」、プラスチックは「プラスチックごみ・可燃ごみ」に分別してください。

– アズマネックス(ツイストヘイラー): 全体がプラスチック製です。「プラスチックごみ・可燃ごみ」として処分可能です。

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② 長時間作用性β2刺激薬(LABA)

気管支を広げる薬です。

– セレベント(ディスカス): プラスチックと内部のアルミ箔で構成されています。基本は「可燃ごみ」ですが、地域により「プラスチック」に分類されます。

– オンブレス: 吸入器本体はプラスチック、薬が入っているカプセルのシートはアルミです。本体は「可燃ごみ」、シートは「可燃(または不燃)」となります。

– オーキシス(タービュヘイラー): 全体がプラスチック製のため「プラスチックごみ・可燃ごみ」です。

③ 長時間作用性抗コリン薬(LAMA)

主にCOPD治療に用いられる薬です。

– スピリーバ
「ハンディヘイラー」はプラスチック製本体。「レスピマット」はプラスチック本体と金属カートリッジに分かれるため、カートリッジは「スプレー缶・金属」扱いとなります。

– シーブリ(ブリーズヘイラー): プラスチック製。使い切った後は「プラスチックごみ・可燃ごみ」です。

– エクリラ(ジェヌエア): プラスチック製ですが、内部に複雑な機構があります。自治体によりますが、基本は「可燃ごみ」です。

– エンクリアズ(エリプタ): プラスチック製の本体内にアルミの薬剤シートが入っています。通常は「可燃ごみ」として処理されます。

④ 配合剤(ICS/LABA)

喘息治療の主流となっている、ステロイドと気管支拡張薬の組み合わせです。

– アドエア: 「ディスカス」はプラスチック主体でアルミ箔を含むので「可燃ごみ」。「エアゾール」はボンベ(スプレー缶)とアダプター(可燃ごみ)に分解します。

– シムビコート(タービュヘイラー): プラスチック製のため「可燃ごみ」です。

– レルベア(エリプタ): プラスチックと内部アルミ箔。基本は「可燃ごみ」です。

– フルティフォーム: pMDI型です。必ずアルミボンベ(スプレー缶)とプラスチックアダプターを分けて捨ててください。

⑤ 配合剤(LAMA/LABA)

2種類の気管支拡張薬を合わせた、COPD治療の主力です。

– ウルティブロ(ブリーズヘイラー): プラスチック製のため「プラスチックごみ・可燃ごみ」です。

– スピオルト(レスピマット): プラスチック本体と金属カートリッジに分解し、カートリッジは「不燃ごみ・金属」として出します。

– アノーロ(エリプタ): 「可燃ごみ」扱いの自治体が多いプラスチック製デバイスです。

– ビベスピ(エアゾール): pMDI型です。アルミボンベは「スプレー缶」、外装は「可燃ごみ」です。

⑥ 3剤配合剤(ICS/LAMA/LABA)

重症度の高い喘息やCOPDに使用されます。

– テリルジー(エリプタ): プラスチックと内部アルミ箔の構成。基本は「可燃ごみ」です。

– エナジア(ブリーズヘイラー): プラスチック製のため「プラスチックごみ・可燃ごみ」です。

– ビレーズトリ(エアゾール): pMDI型。アルミボンベを抜き取り「スプレー缶」として、プラスチック部は「可燃ごみ」として処分します。

⑦ 短時間作用性β2刺激薬(SABA)

発作時の救急用として使われる「発作止め」です。

– メプチン
「エアー」はpMDI型なので、ボンベ(スプレー缶)とアダプター(可燃ごみ)に分別。「クリックヘイラー」「スイングヘイラー」はプラスチック製なので「可燃ごみ」です。

– サルタノール(インヘラー): pMDI型です。アルミボンベを「スプレー缶」、プラスチックを「プラスチックごみ・可燃ごみ」に分けてください。

3. 鼻炎の点鼻薬(ステロイド点鼻薬)の廃棄方法

点鼻薬は吸入薬に比べると構造がシンプルですが、容器の素材に注意が必要です。

– ナゾネックス・フルナーゼ・オミナリス: これらは主にプラスチック製のボトルです。使い切った後は「可燃ごみ」または「プラスチックごみ」として捨てられます。

– アラミスト
横にボタンがある特徴的なプラスチック容器です。これも基本的には「可燃ごみ」で問題ありませんが、内部に小さなバネ(金属)が含まれることがあります。自治体が厳しい場合は「不燃ごみ」となることもあります。

– エリザス: 粉末を噴霧するタイプで、全体がプラスチック製です。「プラスチックごみ・可燃ごみ」として処分してください。

4. 廃棄時の重要な注意点

ごみとして出す前に、以下の2点を必ず確認しましょう。

ガス(噴射剤)を出し切る

pMDI(エアゾール型)を捨てる際は、必ず中身を使い切り、ガスが残っていない状態にしてください。ガスが残ったままスプレー缶として出すと、ゴミ収集車や処理施設での火災事故につながる恐れがあり、大変危険です。

未使用の薬がある場合

もし期限切れや処方変更で、薬が大量に残っている状態で廃棄したい場合は、無理に自分で中身を出そうとせず、処方された薬局に相談することをお勧めします。薬剤師が適切な廃棄方法をアドバイスしてくれます。

 

まとめ:正しく捨てて安全な環境作りを

吸入薬や点鼻薬の廃棄方法は、大きく分けて以下の3パターンを覚えておくとスムーズです。

1. DPI(エリプタ、ディスカスなど): ほとんどが「可燃ごみ」。内部のアルミが気になるなら自治体のルールを確認。
2. pMDI(エアゾール型): アルミボンベは「スプレー缶」、外側の枠は「可燃ごみ」に分別。
3. 点鼻薬: 大半が「可燃ごみ」または「プラスチックごみ」。

お住まいの地域によって「プラスチック」が資源ごみになるか、可燃ごみになるかは異なります。基本的には、「金属が含まれるか(スプレー缶か)」を最大の基準に判断すると間違いが少なくなります。

正しい知識で適切に分別し、安全に薬の治療を終えられるようにしましょう。迷ったときは、自治体の発行するゴミ分別表を確認するか、かかりつけの薬局で「これは何ごみですか?」と気軽に尋ねてみてください。

 

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