「ザイディス錠とOD錠の違い」と「オランザピンOD錠の甘味」について
2016年6月に発売予定となっているオランザピンOD錠は14社から発売される予定です。どの製品も先発品との比較データで有用な値を示しています(AUC比:98~105%)
そのため薬物動態以外のポイントを考慮しながら、オランザピンOD錠の違いについて検討してみます。
~ジプレキサザイディス錠の特徴~
添加物である「ゼラチン」が剤形構成におけるメイン成分です。ゼラチンを主添加物としている製剤にはザイディス錠以外にはシクレスト舌下錠、マクサルトRPD錠などがあります。さらにジプレキサザイディス錠には人工甘味料であるアスパルテーム(砂糖の100~200倍の甘さ)が含まれています。通常の口腔内崩壊錠の水中崩壊時間が20~30秒であるのに対し、「超速崩壊錠剤」として知られるザイディス(登録商標)技術は15秒未満で水中崩壊します。
ザイディス錠はカーディナルヘルス社が開発した技術でゼラチンを主成分としながらマンニトール等とともに懸濁状態とした後に凍結乾燥して迅速分散性固形経口投与剤形として精製する登録商標技術です。
一般的な口腔内崩壊錠は服用後20~30秒程度で崩壊します。しかし服用を強く拒否する患者様の場合錠剤が崩壊している間に吐き出すことがしられています。
しかし、錠剤崩壊時間が数秒であれば服用時に不快に思う前に錠剤が崩壊するため服用を促すことができます。このような需要に対して開発された剤形がザイディス錠です。
2016年4月に発売予定となっているオランザピンOD錠はいわゆる「口腔内崩壊錠」です。製剤見本が手に入ったので37度の温湯で水中崩壊してみたところ20~30秒で崩壊することが確認できました。
OD錠を崩壊性という観点からザイディス錠と比較しても相手になりません。成分は同じですが、剤形は違うことをしっかり患者さんにお伝えする必要があると思います。
また甘味に関しては「ニプロ」「ヨシトミ」「テバ」「タカタ」から発売されるオランザピンOD錠には”アスパルテーム”が含まれます。(ニプロとヨシトミは同一薬剤と思われます)。それ以外のメーカーから発売されるオランザピンOD錠にはアスパルテームが含まれておりません。ザイディス剤形に含まれるアスパルテームとOD剤形に含まれるアスパルテームとでは口に含んだ時の感触や甘味に違いはあるとは思いますが、”甘味”だけに重点を置くのであれば上記4社が候補となります。
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ザイディス錠は1錠ごとにブリスター包装されているため単剤開封して使用することを想定しています。一方でOD錠は1包化が可能ですので、単剤のみならず他剤と一緒に服用することも想定されます(バラ錠が発売しいます)。この点を採用メーカー検討に加味すると、OD錠における甘味というのは採用メーカーを左右する理由となるかどうかは難しいところかと思います。(現在発売されている各OD製剤のうち約50%にアスパルテームが含まれています)
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また、甘味以外のポイントとしては「JG」「ファイザー」「TCK」から発売されるオランザピンOD錠2.5mgが楕円径の製剤です。(上記3社の薬物動態がな時であることから同一薬品と思われます)。2.5mgを楕円径にした理由は「半錠にしやすい」、「他規格との取り間違え対策」がどが考えられます。先発品が円形であるため、このポイントをどのように捉えるかも選定ポイントの一つかと思います。
割線の有無を確認してみると「トーワ」「テバ」「タカタ」「アメル」には割線が入っています。割線を「割りやすい」と捉えるか「割れやすい」と捉えるかで採用基準が真逆になりますので、ここも選定ポイントになるかと思います。
それ以外には製剤の色はいずれも「黄色、微黄白、淡黄白」といずれも先発に近い感じの色となっております。形は先発が「薄くて軽くて平べったい」というザイディスに特徴的な形なのに対して、後発品はOD錠にありがちな「厚みがある円形」となっています。オランザピンOD錠の質量は軽いものでは200mg、重いものでは400mgと重量に大きな違いが見られます。このあたりはOD錠のメーカー特性が出ている気がします。