過活動膀胱治療薬である“選択的β3アドレナリン受容体作動薬vibegron”の日本人を対象とした第Ⅲ相試験データ開示
過活動膀胱治療薬である“β3アドレナリン受容体作動薬vibegron(以下ビベグロン)”の日本人を対象とした第Ⅲ相試験データ開示されました。
ビベグロン50mg服用群:370人
ビベグロン100mg服用群:368人
プラセボ服用群:369人
ウラリット服用群:117人
評価項目
主要エンドポイントとして排尿回数の平均値の変化を設け、副次評価項目として過活動膀胱変数(緊急度合い、緊急性失禁、失禁、夜間頻尿などのエピソード)におけるベースラインからの変化を調査しています。
結果
ビベグロン50mgまたは100mgを12週間経口投与した群は主要エンドポイント、副次エンドポイントの両評価項目についてプラセボと比較して有意な改善を示しました。
具体的には
主要エンドポイント(排尿回数の平均値)
ビベグロン50mg:-2.06
ビベグロン100mg:-2.03
プラセボ:-1.21
ウラリット:-2.06
緊急エピソード
ビベグロン50mg:-2.28
ビベグロン100mg:-2.44
プラセボ:-1.77
ウラリット:-2.15
緊急失禁エピソード
ビベグロン50mg:-1.35
ビベグロン100mg:-1.47
プラセボ:-1.08
ウラリット:-1.51
失禁エピソード
ビベグロン50mg:-1.40
ビベグロン100mg:-1.53
プラセボ:-1.10
ウラリット:-1.47
夜間頻尿エピソード
ビベグロン50mg:-0.58
ビベグロン100mg:-0.62
プラセボ:-0.47
ウラリット:-0.63
ビベグロン50mgと100mgの臨床データを比較した結果、排尿回数以外の過活動膀胱症状変数の変化において100mg群の値が大きいデータとなっています。
ビベグロン錠による治療を開始して4週間後には症状の改善が確認され、有効性は試験中のすべての期間で維持されています。
副作用報告
下痢・口渇・鼻咽頭炎・血液アルカリ性ホスファターゼ
口渇の副作用頻度に関しては、
ウラリット(抗コリン作用):7.7%
ビベグロン:0.5~1.4%%
現在選択的β3アドレナリン受容体作動薬としては2011年に発売されたベタニス錠が使用されていますが、ベタニス錠はCYP2D6を阻害するためタンボコールやプロノンとの併用が禁忌となっています。
一方、ビベグロンはCYPに対する誘導および阻害活性を示さない薬剤であるため薬物相互作用を起こしにくい過活動膀胱治療薬として期待されている成分です。