抗血小板薬がDo処方で続く患者様への薬歴
プラビックスやバイアスピリン、プレタールなどの抗血小板薬を継続服用している方へお薬をお渡しする際に「青あざ(皮下出血)・歯茎からの出血」などの出血傾向の有無を確認することが多いのですが、そればっかりを確認するだけでは、すこし業務を行う上で心もとないところもあるので、もう少し自分の幅をひろげてみようと思いました。今回は抗血小板薬をお渡しする際に患者様へお伝えする文言・薬歴の内容について、検討しました。
抗血小板薬:主に動脈内において血小板が凝集して血管内が細くなることを防ぐ薬(バイアスピリン・プラビックス・シロスタゾールなど)
抗凝固薬:主に左心房や静脈で血流がうっ滞することで、フィブリン網が作られ赤血球などが固められてしまう(赤色血栓)ことを防ぐ薬(ワーファリン・リクシアナ・イグザレルトなど)
検討するにあたり、先日、調剤薬局の個別指導に参加して厚生局の薬剤師から薬歴の指導を受ける機会があったのですが、その際に投薬時には重大な副作用が生じていないかどうか、その前兆・初期症状が生じていないかどうかを確認するよう指導を受けました。さらに、それに追加する形で、その他の副作用に関しても確認するよう指導を受けました。
(副作用が生じていないか確認する場合は、「重大な副作用・その他の副作用を分けて確認することが薬学的管理にとって有益である」という説明を受けました)
抗血小板薬の副作用発現率
プラビックス
禁忌:ウプトラビ錠(肺動脈性肺高血圧症治療薬)の活性代謝物の血中濃度が上昇するため
バイアスピリンとプラビックスを併用した場合
皮下出血頻度:5.7%
鼻血出血(2.33%)
穿刺部出血(1.53%)
紫斑(0.8%)
ALT(GPT)上昇:7.9%
AST(GOT)上昇:5.6%
γ-GTP上昇:5.1%
上記の報告より、肝機能障害の副作用頻度は皮下出血の副作用頻度と同程度に起こりうることがわかりました。
パナルジン(チクロピジン)
副作用に関する報告例
皮下出血:3.9%
鼻出血:3%
皮疹:1.3%
胃不快感:1.3%
γ-GTP上昇:20.1%
ALT(GPT)上昇:13.6%
AST(GOT)上昇:10.6%
肝機能障害に関する副作用発現率が高い印象です。
出血時間や血小板数に影響を与えずにコラーゲン誘発性の血小板凝集を阻害することで血小板凝集を阻害する“ACT017”に関する臨床データ
バイアスピリン
消化管障害:2.81%
(胃炎・胃部不快感・胸やけ・消化管出血・潰瘍など)
出血・凝血障害:0.15%
過敏症(発疹):0.07%
消化管関連の不調や消化管関連の出血に関する副作用発現率が高い印象です。
プレタール
禁忌:うっ血性心不全の患者
頭痛・頭重感:6.7%
動悸:3.07%
頻脈:1.63%
悪心・腹部不快感:1.06
皮下出血:0.27%
鼻出血:0.27%
肝機能異常:0.38%
出血関連の有害事象よりも頭痛や循環器系の副作用発現率が高い印象です
重大な副作用とその初期症状を確認する薬歴
頭蓋内出血の初期症状である激しい頭痛・悪心・嘔吐・意識障害・片麻痺・もうろう状態などの自覚症状は出ていないことを確認した。
消化管出血の初期症状である吐血・下血(便が黒っぽくなる)・急にお腹が痛む・お腹が張る・出血を伴う胃の痛みといったSEは生じていないことを確認した。
肝機能障害の初期症状(発熱・食欲不振・掻痒感・褐色尿・嘔気・下痢・白目の黄色化)などの主訴はないことを確認した。
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の初期症状である倦怠感・食欲不振・手足に小さな斑点がたくさんでる・歯茎出血・鼻血・言葉がしゃべれないという自覚症状はでていないことを確認した。
(TTP:全身の細い動脈が血小板の凝集塊(血小板血栓)で詰まる病気です)
その他の副作用に関する薬歴
皮下出血・紫斑・鼻血・血小板減少に伴う点状出血などの自覚症状はなく経過していることを確認した。
食欲減退・倦怠感・掻痒感・白目の黄色化・吐き気といった肝機能障害の前兆となる症状はでていないことを確認した。
腹痛・吐き気・胃腸の不快感・腹部膨満感・口内炎といった消化器関連のSEはでていないことを確認した。
発疹・かゆみ・湿疹・紅班などの皮膚トラブルに関する副作用は生じていないことを確認した。
シロスタゾールの服用に伴い、血管拡張作用に付随する頭痛・頭重感・頻脈・動悸などの有害事象に関する自覚症状は出ていないことを確認した。