イギリス・台湾での大規模臨床データによると前立腺肥大症治療薬アボルブ・男性型脱毛症治療薬ザガーロ・プロペシアの服用により糖尿病発症リスクが増加する可能性が報告されました。
アボルブ・ザガーロ服用群:2090例
プロペシア服用群:3445例
ハルナール服用群:4018例
追跡期間中央値:5.2年
2型糖尿病の新規発症は2081例であり、その内訳は
アボルブ・ザガーロ服用群: 368例
プロペシア服用群: 1207例
ハルナール服用群: 506例
1万人当たりの新規糖尿病発症率
アボルブ・ザガーロ服用群:76.2人
プロペシア服用群:76.6人
ハルナール服用群:60.3人
ハルナールと比較して、アボルブ・ザガーロの服用による糖尿病発症率が1.3倍、プロペシアの服用による糖尿病発症率が1.26倍高いという結果となっています。
アボルブ・ザガーロ服用群:1251例
プロペシア服用群:2445例
ハルナール服用群:2502例
追跡期間中央値:3.1年
1万人当たりの新規糖尿病発症率
アボルブ・ザガーロ服用群:152.8人
プロペシア服用群:109.1人
ハルナール服用群:74.7人
ハルナールと比較して、アボルブ・ザガーロの服用による糖尿病発症率が1.34倍、プロペシアの服用による糖尿病発症率が1.49倍高いという結果となっています。
アボルブ・ザガーロ群とプロペシア群との間には有意差は確認されませんでした。
アボルブ・ザガーロ・プロペシアの添付文書・副作用情報の欄には糖尿病発症リスクが増加するといった文言は記されておりません。筆者らは、その理由の一つとしてアボルブ・ザガーロの第Ⅲ相臨床試験の期間が2年間、プロペシアの第Ⅱ第Ⅲ臨床試験の期間が1年間と記されており、いずれも短期間の服用では糖尿病リスクへの影響は懸念されなかったことを理由として考えています。
前立腺肥大症の治療薬としてアボルブを5年以上継続するケースも往々にしてあります。そのためアボルブ・プロペシア・ザガーロを長期間服用する場合は、糖尿病発症リスクが上がる可能性があることを念頭に入れて、血糖値の推移を確認することも視野にいれることを推奨しています。
アボルブ・ザガーロ・プロペシアを飲むと糖尿病発症リスクが1.3倍増加する可能性について