再生医療製品「ルクスターナ注」片目で1本4960万226円(2023/5/24)
網膜の異常で目が見えにくくなる「遺伝性網膜ジストロフィー」という病気の遺伝子治療薬「ルクスターナ注」が2023年8月23日、中央社会保険医療協議会により医薬品として認可されました。
1本あたりの薬価は4960万226円であり、1本を片眼に使用します。両眼に使用するため薬価はおよそ1億円となります。この薬価は日本で2倍目に高額な薬価です。
注)一番高い薬は「脊髄性筋萎縮症」の遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」で1億6700万円です。
ルクスターナ注は、遺伝性網膜ジストロフィーの原因遺伝子の1つである「ヒトRPE65遺伝子」を搭載した非増殖性組み換えアデノ随伴ウイルスを成分とする再生医療製品です。
目に投与することで、目の細胞の中の遺伝子が組み替えられて、1回の投与で治療が完結します。
「アデノウイルス」と聞くと、ウイルス?と疑問を呈する方もおられるかもしれませんが、ウイルスとはヒトの細胞内にウイルス自身が持っている遺伝子を組み入れて、ヒトの細胞内でウイルスを増幅するという特徴をもった生き物のことです。
ルクスターナ注は非増殖性組み換えアデノ随伴ウイルスを成分としていますので、ウイルスのように増殖はせず、無害化したウイルスの「殻」に目的とする「ヒトRPE65遺伝子」を搭載させて、ヒトの目の細胞内に組み入れてしまおう。という狙いの医薬品です。
遺伝子組み換え製品は、出始めたばかりですので薬価の高騰は致しかないと私は考えます。それよりも、一度の注射で遺伝子が組み変わり、これまで不足していた必要な物質(蛋白質)を自己の力で生産できるようになるという再生医療が少しずつ進んでいることに未来を感じます。