おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

ビタミン 抗コレステロール薬 糖尿病

ビタミンD摂取がインスリン感受性を改善する可能性について

投稿日:2018年5月3日 更新日:

ビタミンD摂取がインスリン感受性を改善する可能性について

ビタミンD摂取が肥満患者におけるインスリン感受性を改善するかどうかに関してイタリアの研究チームが3か月間の調査結果を公開しました。

対象
糖尿病を患っていないビタミンD欠乏症患者18人(BMI>25kg/㎡)

調査内容
3か月間にわたり以下の食事を摂取した時のインスリン感受性を調査しています。
経口ビタミンD摂取群:低コレステロール食+経口コレカルシフェロール(25000IU/週)
プラセボ群:低コレステロール食+プラセボ
(両群ともにn=9)

ビタミンD摂取がインスリン抵抗性を改善する可能性について

vitamine-D

vitamine-D

結果
両群ともに有意な体重減少が確認されました。
経口ビタミンD摂取群:-7.5%
プラセボ群:-10%
体重減少において両群に差はみられませんでした。

経口ビタミンD摂取群において血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の上昇が確認されました。(36.7±13.2nmol/L→74.8±18.7nmol/Lへ上昇)

インスリン感受性の変化
経口ビタミンD摂取群:4.6±2→6.9±3.3mg/kg/min)
プラセボ群:4.9±1.1→5.1±0.3 mg/kg/min)

低コレステロール食とビタミンD製剤の摂取は、非糖尿病肥満患者においてインスリン感受性を有意に改善する可能性が示唆されたと筆者らはまとめています。

同グループはビタミンDの血中濃度とインスリン感受性および肥満におけるBMIとの相関についても報告しており、生活習慣病予防におけるビタミンDを含む食品の有用性に関する調査が進むかもしれません。

ビタミンDの1日の推奨摂取量は成人男性・女性ともに5.5μg程度となっており、食品としては魚類(干物・焼き・生食)に多くふくまれています。通常の食生活ではビタミンDの摂りすぎとなることはありませんが、サプリメントや医薬品を摂取している場合は念のため過剰摂取に注意が必要となります。

ビタミンD摂取がインスリン抵抗性を改善する可能性について

血中ビタミンD濃度と癌の発症リスクに関する日本人を対象としたデータ

血中ビタミンD濃度と癌の発症リスクに関する日本人を対象としたデータ

 

-ビタミン, 抗コレステロール薬, 糖尿病
-インスリン感受性, インスリン抵抗性, ビタミンD, 改善, 糖尿病, 肥満

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

関連記事

white-cap

ロスバスタチン錠とクレストール錠の適応症問題について

ロスバスタチン錠とクレストール錠の適応症問題について クレストール錠、クレストールOD錠の適応症は ・高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症 という2つです。 AG薬であるロスバスタチン錠「 …

linzess-chronic

7月27日リンゼス錠に慢性便秘症の効能追加/フェブリクに小児用量/トラディアンス承認可否が検討

7月27日リンゼス錠に慢性便秘症の効能追加/フェブリクに小児用量/トラディアンス承認可否が検討   厚生労働省は2018年7月27日の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において以下の品目の審 …

metabolic-chewing

噛む力が弱いと高血圧、糖尿病になるリスクが3倍(2022/1/6)

噛む力が弱いと高血圧、糖尿病になるリスクが3倍(2022/1/6) 新潟大学・大阪大学などの共同研究によると日本人男性では「噛む力が弱い、噛めない」人ほど高血圧・糖尿病などのメタボリックシンドロームを …

differece-between-parmodia-and-lipidil

パルモディア錠(ペマフィブラート)とリピディルとの比較データ

パルモディア錠(ペマフィブラート)とリピディルとの比較データ 高脂血症治療薬“パルモディア錠(ペマフィブラート”が2017年6月9日に厚生労働省で開催される薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において新 …

type-1-diabetes-hba1c

1型糖尿病患者における超低炭水化物食によるHbA1c管理について

1型糖尿病患者における超低炭水化物食(VLCD)によるHbA1c管理について   1日の炭水化物摂取量を30g程度で管理する超低炭水化物食を行った1型糖尿病患者群に関するデータが開示されまし …