「病的ひきこもり」と「健康なひきこもり」を評価するツール
九州大学が「病的ひきこもり」と「健康なひきこもり」を評価するツール「HiDE評価法」を公開しました。
コロナ禍以降、多様化する「ひきこもり」の状況に対応すべく、「病的」か「非病的」かを区別できる評価法としてHiDE法が開発されました。
病的ひきこもりの特徴としては、ゲーム障害によるリスクが高く、意外なことに社交的で社会的成功を強く願う人が病的ひきこもりになるリスクが高いことも判明しています。
HiDE法の活用が、ひきこもりの早期発見の適切な支援が可能となり、うつ病やゲーム障害なおdの精神疾患の予防につながることが期待されます。
HiDE法(12問)の概要を以下に記します。
1.この1カ月間、ゴミ捨てやコンビニに行くといった「短時間の外出」は週に何日あったか?
2.この1カ月間、上記「短時間の外出」以外の、仕事や学校、買い物などを含めた「合計1時間以上の自宅からの外出」は週に何日あったか?
3.「合計1時間以上の自宅からの外出」が週3日以下の状況は、どのくらい続いているか?
上記の1~3の質問は「物理的ひきこもり」の有無と程度を評価しています。
ここで言う「物理的ひきこもり」とは、オンライン授業・在宅ワークの普及によって、直接的な社会参加や対人交流がなくとも健康的な生活ができる状況を指します。
4.あなたは、この1カ月間の自分自身のがいしゅつをどのようにとらえていますか?
5.この1カ月の外出状況によって、つらい感じや、苦しい感じがありますか?
6.この1カ月の外出状況によって、寂しい感じや、孤独な感じはありますか?
7.あなたのこの1カ月の外出状況によって、家族や周囲の人はあなたのことを心配している様子ですか?
8.あたなのこの1カ月の外出状況について、家族や周囲の人はあなたのこをどこかに相談に行っていますか?
9.この1カ月の外出状況によって、仕事や就職活動に支障が出ていますか?
10.この1カ月の外出状況によって、家族との関係に支障がでていますか?
11.この1カ月の外出状況によって、交友関係に支障がでていますか?
質問5~質問11までの全7問について、すくなくとも1つは「はい」があると、「病的ひきこもり」(支援を要するひきこもり)の可能性があるとしています。
12.現在のあなたの就労や就学の状況について当てはまるものを選んでください。
子供のスクリーンタイムと自閉症スペクトラム様症状の関係について
子供たちがスマートフォンやパソコン・タブレットなどを使用してyoutubeやゲームアプリをする時間がどんどん増えてきています。
テクノロジーの発展が私たちの生活を豊かにしてくれるわけですが、心と体が未発達な子供たちにとっては、時としてスクリーンタイムの増加が睡眠障害・肥満・視力障害などの身体的、精神的なデメリットを享受する可能性があります。
今回はサウジアラビアの子供たちを対象として、スマートフォンやタブレットなどン電子機器を使用する時間とがコミュニケーション能力に及ぼす影響に関する報告がありましたので、目を通してみました。
今回の報告で使用する評価基準には「ソーシャルコミュニケーションアンケート(SCQ)」を使用しています。SCQは「対人コミュニケーション質問票」であり、合計得点が多いほど「自閉症スペクトラム障害」の症状が強いと判断されます。
自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群について
・自分なりのやり方・ルールにこだわる
・臨機応変は対人関係が苦手
・マイペースを優先し、本能的志向が強い
・相手の気持ちを察するのが苦手
・同じようなミスを繰り返す
・人間関係がうまくいかない
・急な予定変更にパニックになる
など社会生活における柔軟さに乏しい症状を言います。
どうやら、子供時代にスクリーンタイムが長いと上記のように自閉症スペクトラムのような症状になりやすいようなんです。
サウジアラビアの4~6歳の子供を対象として、スクリーンタイムと社会的コミュニケーション能力との関連性についての調査報告を以下に記します。
被験者:サウジアラビアに住む4~6歳の健常小児(308名)
調査方法:社会的コミュニケーション質問票(SCQ)40項目に回答し、総得点とスクリーンタイムとの相関について調査する。
被験者(小児)のスクリーンタイム時間
毎日3時間以上:51%
毎日2時間:33.1%
1時間以下:15.9%
結果
平均SCQスコア:9.26
SCQスコア15以上を「高値」と定義しています。
SCQスコアが高いの子供の割合
電子機器の使用時間が3時間以上の子供:19.7%(31人)
電子機器の使用時間が2時間の子供:7.84%(8人)
電子機器の使用時間が1時間以下の子供;10.2%(5人)
年齢とSQCスコアに相関はなく、電子機器使用時間と平均SQCスコアとには有意な相関が確認されました。
今回の調査前に行われた先行研究によると、自閉症スペクトラム児は健常児と比較して、幼少期にスクリーン視聴に顕著に興味を持つことが結論づけられていました。
これは社会的な興味が少ないという特徴をもつ自閉症スペクトラム児の性質により説明ができ、社会的つながりよりも、コンピューティング活動を好むことが示唆されています。
また、SCQスコアが15を超える場合、養育者の婚姻状況や学歴・子供の年齢や性別に相関は見られませんでした。
幼児期のスクリーンタイムが言語発達に与える影響を調べた韓国データによると、言語の遅れはスクリーンタイムに比例し、テレビの視聴時間が2時間の子供は言語の遅れリスクが2.7倍になることが報告されています。
筆者らは結論として、4~6歳の子供が3時間以上のスクリーンタイムでデバイスを使用する場合、SCQスコアが15点以上となる割合が高く(相関があり)、自閉症スペクトラムのような症状となる可能性が示唆された。
とまとめています。