小児期の腎疾患が完治した30年後の腎疾患リスクについて
小児期に腎疾患(腎盂腎炎・糸球体疾患・先天性腎尿路異常)を患い、青年期に腎機能が正常に回復した患者さんの予後に関する30年間の追跡調査の結果が報告されました。
対象:1967年~1997年に、イスラエルにおける徴兵検査を受けた1521501人
フォローアップ期間:30年
評価項目:青年期以降で末期腎不全リスク
注意)青年期における腎機能および血圧は正常である(高血圧患者は含まれていない)
結果
30年間のフォローアップ期間注意に2490人が末期腎不全を発症した。
末期腎不全を発症した2490人に関して、小児腎疾患に以下の疾患に罹患していると末期腎不全を発症するリスクが高いというデータが示されました。
末期腎不全発症リスク
先天性腎尿路異常:5.19倍
腎盂腎炎:4.03倍
糸球体疾患:3.85倍
さらに、小児期の腎疾患病歴は、40歳未満における末期腎不全発症リスクとも関連していました。(40歳未満での発症リスク:10.4倍)
筆者らは「小児期に患った腎疾患が、青年期で正常値へ回復したとしても、青年期以降の末期腎不全発症リスクが有意に増加している」とまとめています。