サル痘(さるとう)についての情報
サル痘がヒトから犬へ病原体が伝播され、ヒト→犬への感染が報告されましたので下記します。
WHOの事務局長はサル痘を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言しており、流行に関して「男性と性交渉をもつ男性に集中している」として注意喚起を行っています、。
2022年6月10日、ヒトから犬への感染報告
ラテン系男性(44歳、HIV陽性)と同居する白人男性(27歳、HIV陰性)の2名がサル痘を発症しました。
症状:肛門周囲の潰瘍、顔、耳、足、背中などに小水疱性膿疱性皮疹、発疹の4日後に無力感・頭痛・発熱
彼らは飼い犬と一緒に寝ていたのですが、この飼い犬がサル痘を発症しました。
4歳のイタリアン・グレイハウンド(雄)という体毛の短い犬種です。
同居する男性2名がサル痘を発症してから12日後に、飼い犬の皮膚に腹部の膿疱と肛門の薄い潰瘍を含む皮膚病変が確認されました。
この犬かの皮膚病変部および肛門周囲・口腔内のスワブを採取しPCR検査を行ったところ、サル痘ウイルス陽性が確認されました。
同居する男性および飼い犬から採取されたサル痘ウイルスのDNA配列がどちらもhMP型ウイルスであることが報告され、ヒト→犬感染が確認されました。
筆者らは、人と犬との密接な接触や空気感染(あるいはその両方)による人→犬感染と示唆しており、サル痘ウイルス陽性患者からペットを隔離する必要性について述べています。
サル痘感染者の皮膚症状
2022年5月~7月、ロンドンにおけるサル痘感染に関する報告がありました。
参加者:PCR検査にてサル痘感染が確認された197名(年齢中央値:38歳)
197名全員が男性で、196名がゲイまたはバイセクシャルでした。
全員が皮膚病変を発症し、性器病変(111名:56.3%)、肛門周囲(82名:41.6%)が最も多く報告されました。
全身症状としては、発熱(122名:61.9%)、リンパ節腫脹(114名:57.9%)、筋肉痛(62名:31.5%)
直腸痛(71名、36%)、咽頭痛(33名、16.8%)、陰茎水腫(31名:15.7%)
筆者らは、サル痘感染に関して、「ゲイ・バイセクシャル・その他男性とセックスする男性の間で、前例のない伝播が進行している。直腸痛、陰茎水腫など、サル痘感染による新たな症状が確認された。これらは早期診断と伝播の抑制のために対処が必要だとしています。」
以下に患部の皮膚病変を含む報告書を添付します。(閲覧にご注意ください)
2022年ロンドン中心部におけるサル痘感染の臨床的特徴(閲覧にご注意)
サル痘感染者の98%がゲイもしくはバイセクシャル
英国の国際共同研究グループは2022年4月27日~6月24日の期間で16か国43施設にてPCR検査を実施し、サル痘と確認された528例について症状、経過を調査し、NEJM誌に公開しました。
感染者の背景は、98%がゲイもしくはバイセクシャルの男性と報告しています
(白人:75%、HIV陽性:41%、年齢中央値38歳)
性感染症を併存しており、精液を分析した結果、32例中29例にサル痘ウイルスDNAが検出されています。
感染経路:95%が性行為による感染が疑われています
症状は95%に発疹・皮膚病変を発症しており、発症部位は
肛門性器:73%
顔:25%
体幹・手足:55%
皮膚病変以外の症状としては
発熱:62%
リンパ節腫脹:56%
倦怠感:41%
筋肉痛:31%
頭痛:27%
咽頭炎:21%
潜伏期間:中央値7日(3~20日)
日本国内でサル痘感染者を確認(2022/7/26)
日本国内で2022年7月25日に、サル痘の感染者が確認されました。
東京都内在住の30代男性です。国籍は明らかにしていません。
6月下旬に欧州への渡航歴があり、渡航先にてサル痘と診断された者と接触歴が確認されています。日本には2022年7月に帰国し、7月15日に倦怠感を発症しています。7月25日に医療機関を受診して感染が確認されました。
世界保健機関(WHO)は2022年7月23日に、欧米で感染が広がっているサル痘について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に当たると宣言しています。
75か国・地域で1万6000件以上の感染が確認されています。
サル痘に感染すると、発熱・頭痛などが初期症状としてあり、その後、発疹が顔から手足に広がります。数週間で治癒するといわれていますが、小児ではまれに合併症を引き起こし、死に至るケースがあると報告されています。
2022年5月28日にこの記事を書いています。
「サル痘」とgoogle検索してみたところ
「WHO(世界保健機関)が「異例」と警戒!欧米を中心に200人の患者」
という記事を目にしました。
お恥ずかしながら、私は「サル痘って何ですか?初耳です!」のレベルの人間でしたのでサル痘について少し調べてみることにしました。
サル痘とは
病原体:サル痘ウイルス
感染経路:アフリカに生息しているリス・サル・ウサギなどがサル痘ウイルスを保有しており、その接触によってヒトに感染する。接触感染・飛沫感染するとされています。
具体的には感染動物に噛まれること、あるいは感染動物の血液・体液・皮膚病変(発疹部位)との接触により感染することが報告されています。
ヒトからヒトへの感染は稀ですが、濃厚接触による感染や、リネン類(シーツ・枕カバー・タオルなど)を介した感染が報告されています。
サル痘への対応について
感染後の経過
発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が0~5日程度持続する
発熱1~3日後に発疹が出現する
皮膚湿疹は顔面や四肢に多く出現する、皮膚湿疹は徐々に隆起して水疱となる
予防法
マスク着用・手洗い
2021年12月15日~2022年5月1日までの期間における感染者数
コンゴ民主共和国:1238例
ナイジェリア:46例
カメルーン:25例
中央アフリカ共和国:6例
ポルトガル:5例、疑い20例
英国:9例
2022年5月以降、欧州、北米等でサル痘の感染および感染疑い事例が報告されています。
サル痘について、日本国内では4類感染症に位置付けられており、サル痘の患者を診断した医師は、都道府県知事等に対して、直ちに申し出ることが義務付けられています。
2022年5月20日時点において、日本国内ではサル痘は検出されていないということです。
サル痘に関する情報提供及び協力依頼について(厚生労働省)