睡眠導入剤“レンドルミン錠”のジェネリック医薬品について、患者様へお伝えすると「効き目は同じなの?」「今まで通りレンドルミン錠を飲むと安心するんだけど・・・」「睡眠剤は先発がいいわ」といった声をよく耳にします。そこで今回は発売されているレンドルミン錠のジェネリック医薬品について、先発品と薬物動態を比較して先発品との違いを具体的に患者様へお伝えできるようデータを作成してみました。
ジェネリック医薬品は先発品の薬物動態(AUC、Cmax)と比較して80~125%の効果があれば製造許可が得られます。私としては可能なかぎり先発の薬物動態に近いジェネリック医薬品が理想だなぁと感じます。特に睡眠薬は飲んだ時の安心感も効果に直結しますので、レンドルミン錠からジェネリック医薬品へ変更するのであれば、具体的なデータも添えて安心感と共にご使用いただきたいと私は考えます。
一般的なジェネリック医薬品の説明としては「主成分が同じで添加物が異なる製品です」という感じで記されていることが多いのですが、私のイメージですと、睡眠薬に関してはそれでは物足りない気がします。
ゴクンと飲んでからの「効くまでの時間」、「持続時間」、「起床時に睡眠薬の効果がスッキリ切れること」といった具体的な薬物動態を患者様へお伝えできると、よりいいかなあと感じます。
以下にレンドルミン錠とブロチゾラム錠、ブロチゾラムOD錠に関する薬物動態の比較表(エクセル)を添付いたします。どの製剤も体に取り込まれる薬物量(AUC)は先発と比較して90~115%程度の値を示しているため有益な製剤です。
先発品の薬物動態(AUC、Cmax、Tmax、T1/2)に対する後発品の薬物動態をパーセンテージで表示しています。
AUC比:レンドルミンと比較してジェネリック医薬品がどの程度体に取り込まれるか
Cmax比:睡眠導入時の効き目のピーク
Tmax:薬の効き目の早さ(値が小さいほど効き目が早い)
T1/2:薬が消失されるまでの早さ(値が小さいほど早く消失する)
各メーカーから販売されているブロチゾラム錠の中でレンドルミン錠と比較した時に特徴がある製品について見てみます。
レンドルミンと比較してTmaxが低く、Cmaxが高い製品=早く効く、良く効く製品
と解釈した場合、以下の2品目が早く良く効く製品に近いと思われます。
ブロチゾラム錠0.25mg「NP」
ブロチゾラムOD錠0.25mg「サワイ」
レンドルミンと比較してT1/2が低く、AUCも低い製品=眠剤の効果が早く切れる
と解釈した場合、以下の品目は翌日に眠気が持ち越しにくい製品に近いと思われます。
ブロチゾラム錠0.25mg「TCK」
ブロチゾラム錠0.25mg「アメル」
ブロチゾラム錠0.25mg「オーハラ」
ブロチゾラム錠0.25mg「日医工」
ブロチゾラムOD錠0.25mg「アメル」
レンドルミンと比較してTmaxが30%以上大きい製品=効き目が遅くなる可能性がある
と解釈した場合、以下の品目が該当します。レンドルミンから以下の品目へ変更した際に「効き目が前より遅い気がする」といったコメントを患者様から頂いた場合は、Tmaxの確認を行ってもいいかもしれません。
ブロチゾラム錠0.25mg「YD」
ブロチゾラム錠0.25mg「オーハラ」
ブロチゾラムOD錠0.25mg「アメル」
ブロチゾラムOD錠0.25mg「JG」
ブロチゾラムOD錠0.25mg「テバ」
レンドルミンと比較してAUCまたはT1/2が10%以上大きい=効き目が長い
と解釈した場合、以下の品目が該当します。残眠感があると日常生活に支障が出る可能性もありますので、ジェネリックへ変更後は確認が必要です。
ブロチゾラム錠0.25mg「日新」
ブロチゾラムOD錠0.25mg「JG」
ブロチゾラムM錠0.25「EMEC」
効き目が早い。それ以外はレンドルミンの薬物動態と非常に近いデータとなっているためです。
ブロチゾラムOD錠0.25mg「サワイ」
効き目が早い。それ以外はレンドルミンの薬物動態と非常に近いデータとなっているためです。
ブロチゾラム錠0.25mg「NP」
効き目が早い。それ以外のデータはレンドルミンを少しずつ上回っているため、レンドルミンからブロチゾラム錠0.25mg「NP」へ変更した場合、「物足りなさ」は感じないのではないかと思うためです。
ブロチゾラム錠0.25mg「日新」
効き目の早さはレンドルミンと一緒です。それ以外のデータがレンドルミンを少しだけ上回っているため、レンドルミンからブロチゾラム錠0.25mg「日新」へ変更した場合、「物足りなさ」は感じないのではないかと思うためです。
注:データはすべて添付文書に記されている薬物動態をもとに作成しておりますので、効果に関しては個人差があることをご了承ください。
レンドルミンからジェネリック医薬品へ変更する際は、各ジェネリックの薬物動態を確認して「効くまでの時間」、「持続時間」、「起床時に睡眠薬の効果がスッキリ切れること」といった特徴を頭にいれておくと、患者様のお力になれるのかもしれません。